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朗読劇

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新しく始めてみました。こちらに投稿したものをスタエフで朗読して配信しています。
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#朗読劇

第16話 初恋

僕は野球部と陸上部の2つの部活に入り、毎日忙しかったが楽しんでいた。当時は厳しくて、練習中は一切水を飲めなかったので帰りにアイスを買って食べるのが嬉しかった。でも、買い食いも禁止なのでたまに先生が見回りに来て怒られていた。

僕はとても楽しく過ごすのが好きなので、授業中も何か面白いことや発言がないかいつもそんなことばかり考えていた。よくノートを回しながら、いろんなことを書いてみんなで回しながら遊ん

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第15話 野球漬けの日々

中学校から始まる部活動。僕は野球部に入部した。

遊びではいつも田んぼで野球をしていたが、きちんとした練習は初めてなのでとてもウキウキしていた。真新しい練習着にスパイク、西部ライオンズの秋山モデルのグローブを買ってもらった。

野球部はとにかく礼儀やあいさつ、大きな声を出すことがとにかく基本で厳しかった。野球場に入る前に、場所にあいさつ。先輩にあいさつ。顧問の先生が来るたびにあいさつだった。

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第十四話 中学校入学

一面銀世界だった雪が解け、梅の花が咲き始める。

ピカピカでブカブカの制服に身を包み、ウキウキしながら中学校へ入学した。中学校は、各地域の小学校から集まるので人数も増える。

僕は、昇降口に貼りだされているクラス表を確認した。1年D組だった。

真新しい内履きに履き替え中に入ると、小さな女性の先生が立っていた。僕たちのために案内をしてくれているのかな、と思い近づくと

「1年生はこの先は通らずに、

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第十一話 冬休み

冬は朝から雪が降り続く。でも雪が音を吸収するので、とっても静寂に包まれるから眠りやすい。

小学校では、クロスカントリーのスキー授業が始まる。僕はクロスカントリースキーは、長距離を一人で滑るので得意ではなかった。毎朝お父さん方が、スノーモービルでコース作りをしてくれた。僕も、後ろのカッターに重し代わりに座って引っ張られるのが楽しかった。

放課後になるとスキー練習がある。同じコースを延々と滑るので

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第十話 冬の生活

畑の収穫が終わるとだんだん雪虫が飛び始める。雪虫は飛ぶ力が弱いので、ヒラヒラと風になびき流される。

その頃には、白菜を新聞でくるみ編んだ藁で天井に吊るしていったり、大根を箱の中の土にいれたり冬のための保存の準備を進めていく。

僕も薪ストーブの準備をしたり、小豆を瓶に詰めたりお手伝いをしていた。そして、薪ストーブがつくと決まっておばあちゃんがあんこづくりを始める。あんこを焦がさないようにこねるの

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第九話 収穫祭

短い夏が終わりを告げ、実りの秋がやってきた。田んぼも黄金色に色づき、赤とんぼが飛び回る。

僕もこの季節は、たくさん美味しいものが食べられるから大好きだ。家の畑では、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類、大根やニンジンなどの根菜、キャベツや白菜などの葉物野菜、とてもたくさんの収穫作業に追われた。それと同時に田んぼの稲刈りも始まる。

僕の家にはコンバインのような大型農業機械が無かったので、家族や親せ

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第八話 すくすく農園

とても楽しかった夏休みが終わり、いつもの日常が始まった。
真っ黒に日焼けしたみんながニコニコで、朝顔の鉢植えやたくさんの荷物を持って登校してきた。

僕も一生懸命育てたホウセンカの鉢植えを持ち、ハンコでびっしりなラジオ体操カードと自由研究が書かれた方眼紙などを抱えながら行った。

自由研究では、家で飼っている猫のチャコの研究をした。チャコは僕と同じ年に生まれた猫なので、とっても仲良しだった。1日中

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第四話 探検クラブ

小学校にも慣れてきて、とっても楽しい夏がやってきた。

僕は夏が大好きだ。空は青で透き通り、大きな真っ白な雲はテレビでみたアニメのようだ。冬はとっても寒いし、すごく薄暗い色になるから苦手だ。

この年新しく赴任してきた校長先生は、とっても楽しい先生だった。

ある暑い日に僕たちが授業をしていると、水着姿で首にタオルを巻いた校長先生が教室の入り口に現れた。

「今日は暑いからプールに入ろうよ!!」

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第三話 小学校入学

小ぶりな赤い梅の花が咲き始める頃、僕はピッカピカのランドセルを背負い小学校の入学式に母と向かった。

初めて入る小学校。とても古い建物ではあったが、石造りの校門も立派で保育所よりもずっと大きい建物を見て僕は、とってもドキドキしていた。

体育館に併設されている昇降口に入ると、僕より背の高い子がすのこの上で「嫌だ~帰る~~っ!!」
と泣きながらダダをこねていた。同じ1年生のタカシ君だ。

僕よりも大

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第二話 保育所

僕は新しい家で大事に育てられすくすく成長した。日中は、もっぱら祖父母の側で昆虫を捕まえたり、畑仕事や内職のお手伝いというか真似事をしていた。

祖母は山菜採りが大好きで、春には毎日のように山へ登ってはたくさんの山菜を採ってきた。僕も一緒にゴミを採ったり、ゼンマイをもんだりさせてもらった。

祖父は川でカジカを採るのが大好きで、夜になると川に行き明け方までやっていた。その祖父母のおかげで僕は、山菜も

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新たな試み「朗読劇」第一話 プロローグ タイトルはまだついてません

暑かった夏も過ぎ去り山の紅葉も赤く色づき、まもなく空から白いタンポポの綿毛のようにヒラヒラ舞い落ちる季節になる頃、僕は産声を上げた。

農家の長男として生まれ、祖父母や母にたいそう可愛がられていた。

田舎の長男というのは、跡取りという名のもとにどの家庭でも宝物のように育てられるものだ。例外に漏れず僕もとても大事にされた。ある一人を除いては…。

それは父だった。父はあまり働くことが得意ではなく、

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