第三話 小学校入学

小ぶりな赤い梅の花が咲き始める頃、僕はピッカピカのランドセルを背負い小学校の入学式に母と向かった。

初めて入る小学校。とても古い建物ではあったが、石造りの校門も立派で保育所よりもずっと大きい建物を見て僕は、とってもドキドキしていた。

体育館に併設されている昇降口に入ると、僕より背の高い子がすのこの上で「嫌だ~帰る~~っ!!」
と泣きながらダダをこねていた。同じ1年生のタカシ君だ。

僕よりも大きくてがっしりしているのに、実は泣き虫だった。
するとそこでは、担当の先生が新入生の名前が書かれたネームを渡してくれていた。僕も付けて欲しくて、急いで胸を張ってその先生に近づいた。

ウキウキで僕のネームプレートをよく見たら、名前が間違えていた。

僕はひでのりなのに、ひできと綺麗な字で書いてあった。確かに漢字ではそう読むのが一般的なので、しょうがないことではあるが僕はとっても悲しかった。

僕は自分の名前が大好きで、入学式のためにひらがなを覚えて読んだり自分で書いたり出来るようになっていた。だからすぐ間違いがわかったし、とても悲しくて泣いた。

すぐに母も気づき、先生に新しいプレートを持って来てもらい先生が綺麗な字で書こうとしたが、僕は自分のまだぶきっちょな文字で大きくひでのりと書いた。

そんなバタバタの昇降口から中に入ると、すぐに体育館とステージがあった。そのステージの横には黒くて立派なピアノがあった。

その奥に廊下があり、右手に進むと花飾りで彩られた1年生の教室があった。僕は初めて自分の木の机とイスに座ってとてもいい気分だった。

保育所は二つの地域から集まるから大人数だったが、小学校では別れてしまうので、僕のクラスは16人だった。担任の先生は、先生になったばかりの若い女の先生だった。

担任の先生は、とっても厳しい先生で忘れ物をするとすごく叱られた。

僕は叱られるのが初めてだったので、とっても怖かった。でも一人ひとりに真剣に向き合ってくれるし、何より明るかった。


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