第九話 収穫祭
短い夏が終わりを告げ、実りの秋がやってきた。田んぼも黄金色に色づき、赤とんぼが飛び回る。
僕もこの季節は、たくさん美味しいものが食べられるから大好きだ。家の畑では、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類、大根やニンジンなどの根菜、キャベツや白菜などの葉物野菜、とてもたくさんの収穫作業に追われた。それと同時に田んぼの稲刈りも始まる。
僕の家にはコンバインのような大型農業機械が無かったので、家族や親せきが総出でカマを持ち刈っていく。そして、あぜ道に杭を刺してそこに稲の束を重ねていき、乾燥させる。田んぼの中でみんなでおにぎりを食べるととても美味しかった。僕も手伝いながら、たくさんいるイナゴも捕まえていた。後で佃煮にして食べるためだ。
小学校のすくすく農園も同じように収穫の時期になる。太く立派な大根。みんながつまみ食いするので、ほとんど残ってない二十日大根。同じく残ってないトマト。サツマイモもとっても太くて立派なのがたくさん実った。
僕は、掘りたてをそのままかじる。とっても甘くて栗を食べてるように美味しい。みんなで一輪車に収穫したものを積んで、小学校に運ぶ。
みんな土だらけになりながら収穫を楽しんだ。
そして、待ちに待った収穫祭。山形では芋煮が郷土料理なので、小学校でも全員で河原に行き芋煮会をするのが収穫祭だ。
各班で木の棒をこすったり、火打石をカチカチやったりしながら思い思いの方法で火をかまどに起こす。
他のメンバーで、サトイモなどの野菜の下ごしらえをする。
僕は料理が大好きなので、勝手に自分用のかまどを作ってカレー作りも並行してやっていた。飯ごうさえあれば、ごはんも炊けるのでとても便利だ。
友だちには、出来たら味見させるからとなだめながら芋煮と自分のカレーをせっせと作った。
やはりみんな同じメニューを同じ方法でやっても、それぞれ出来栄えがぜんぜん違って楽しいものだった。材料の切り方が大きいところや細かすぎるところだったり、いつまでも火が起こせないところ、肝心な調味料を忘れてきたところなど本当にいろいろで面白い。
でも全員で河原に座って食べると、どんな芋煮でもとても美味しかった。
もちろん僕が作ったカレーも美味しかった。
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