第16話 初恋

僕は野球部と陸上部の2つの部活に入り、毎日忙しかったが楽しんでいた。当時は厳しくて、練習中は一切水を飲めなかったので帰りにアイスを買って食べるのが嬉しかった。でも、買い食いも禁止なのでたまに先生が見回りに来て怒られていた。

僕はとても楽しく過ごすのが好きなので、授業中も何か面白いことや発言がないかいつもそんなことばかり考えていた。よくノートを回しながら、いろんなことを書いてみんなで回しながら遊んでいた。

そんなある日、休み時間に一人で教室に向かって階段を上っていると同じクラスのあきちゃんが僕のことを待っていた。そして突然こう言った。

「ひでのり君は、私のこと好きでしょう?」

それまで僕は、あきちゃんとは小学校も別々だし同じクラスになったとはいえ授業中のグループ学習でしかまともに話したことがなかった。

それなのに急にそう言われ、一瞬よく理解できなかったが嫌いではなかったので、

「うん、好きだよ。」

と言った。

「よし!じゃあ付き合おうね!」

と言われ、僕とあきちゃんは付き合うことになった。僕の初めての彼女だ。

あきちゃんはとても明るくて、いつもニコニコしていて英語の発音がとても上手だった。身長も僕よりだいぶ小さくて可愛らしかった。キンキキッズの光一君が好きで、よく下敷きやうちわを見せてくれた。そして、吹奏楽部に所属していたので野球部の公式試合では毎回応援席で演奏してくれた。

野球の試合では、打席に入る時に一人ひとり自分の好きな曲を吹奏楽部が演奏してくれるので僕はノーラン・ライアンの曲をお願いしていた。

※登場人物名は、僕を除いて仮名にしています。

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