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2024年8月9日 19:30
夜は今にはじまってゆく曇る窓 雨をすべらせ思うことすべての魔法がほどける 旅する人へ夜は今しか見えないもので溢れかえる考えうる道のりに凝らす目 夜行の流れ夜は深く 通り沿いを過ぎる雨 壁をすべり向かいの 傘の上をオノマトペのように落ちる茂みに 糸がなびく水の楕円を振り返り考えうる姿を練る冷える風 たぐる右手川べりの香の中で気持ちは駆け抜けていくひとりの
2023年12月15日 19:35
扉を閉めたら街は静謐書く手から踊るよ文字がとけるよ何ごとも長く続いた方がいい望郷。星は空の水滴のよう暁闇の通りを今日も歩くけれどまだ、あの日の答えを分からないまま、立ち竦む比喩の漣がそのうちきっと聞こえてくるその手から込めるよ夜の轍を車の抜けるトンネルで空気はゆれるけれどまだ、この夜の空白をどこか置いたまま眺めている比喩の漣がそのうちきっと聞こえてくると
久住ハル
2022年12月2日 22:48
きれいに手入れされた白い手とネイルより土にまみれた岩のように黒く焼けた手美しい新しく煌びやかに磨かれた革靴踵が擦れ形は崩れているそれでも靴墨で手入れされ大切に使っている靴ブランドの文字が大きく目立ち来年は着ないかもしれないセーター何十年もの間手を加えながらほつれは繕い毛玉はきれいに取り愛されているセーター高級な流行デザインは奇抜今の空気にはピッタリ胸に輝く