葉月

はらよわにんげん。30歳になりました。

葉月

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記事一覧

震災の記憶

大雪の朝。車でいつもの道を走っていると、道の両側に連なる一面灰色がかった景色に、震災のときの記憶が重なった。全く違う場所だし、もちろん瓦礫なんてひとつもないのだ…

葉月
7年前
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冬の街

今朝の空は、異空間が開いたのではないかと思うくらい、煌びやかで厳かだった。 赤く透きとおった光を、山や川や家が吸い込んで、融け合っていた。 時間の感覚も、鮮やかな…

葉月
7年前
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似ている

今日は(と書いているうちに日付が変わってしまった)、大好き星野源さんの誕生日。 もうずっと、飽きもせず追いかけている。 最初に彼の著書を読んだとき、「この本は私…

葉月
7年前
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専門職は、辞めにくい?

あけましておめでとうございます。 新年ってありがたい。いつも新鮮な気持ちでいようと思っても難しいので、世の中全体が仕切り直す感じは、ありがたいです。 さて、今年…

葉月
7年前
1

結婚するって、なんですか?

友人たちの結婚式ラッシュは既に2回くらい収束し、第1子出産ブームもひと段落。 お祝い役に徹してきた私にも、「そろそろ結婚しないの?」という有難いお言葉が飛んでくる…

葉月
7年前
3

おばあちゃんと雪の降った日

うちのおばあちゃん、83歳。 もう何年も前から、認知症の症状がある。 新しい事柄はほとんど覚えておくことができない。 日付や曜日はわからないが、今でも畑仕事をして…

葉月
7年前

トイレの花子さん

小学生の頃、学校のトイレが嫌いだった。 暗いし汚いし臭いし和式だし、 なにより当時「トイレの花子さん」が流行っていたのである。 幸い今のようなハラヨワ人間ではなか…

葉月
7年前
3

温度

土曜日の夕方。 現実感をようやくつなぐように、車を走らせる。 休日の騒々しさは景色に溶けて壊れ、 違和感の輪郭だけが浮かび上がる。 どうにもならない自意識が襲いかか…

葉月
7年前

震災の記憶

大雪の朝。車でいつもの道を走っていると、道の両側に連なる一面灰色がかった景色に、震災のときの記憶が重なった。全く違う場所だし、もちろん瓦礫なんてひとつもないのだが、あのとき目の当たりにし脳裏に焼き付いた、瓦礫の街並みの映像が浮かぶ。こういうことが時々起こる。震災の記憶以外にも、9.11のニュース映像から、交通事故の現場、漫画に出てくる残虐な場面が想起されることもある。これはなんという現象なのだろう

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冬の街

今朝の空は、異空間が開いたのではないかと思うくらい、煌びやかで厳かだった。
赤く透きとおった光を、山や川や家が吸い込んで、融け合っていた。
時間の感覚も、鮮やかな感情がどこにあるのかもわからない身体で、私も、朝を浴びた。

一月が終わりを迎える。
新年の真新しさは瞬く間に消え、何もない日常がただただ続いている。
同じことを繰り返す、慌ただしい日々。
お客さんの顔もわからなくなってくる。
そんな

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似ている

今日は(と書いているうちに日付が変わってしまった)、大好き星野源さんの誕生日。

もうずっと、飽きもせず追いかけている。
最初に彼の著書を読んだとき、「この本は私が書いたのか?」という錯覚に陥った。
日本中から怒られそうだし、自分でも「本を1冊読んだくらいで何をわかったつもりになっているのか」と今ならツッコミを入れられるけれど、当時はそう思ってしまったのだから仕方ない。
もちろん、著者は自分で

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専門職は、辞めにくい?

あけましておめでとうございます。
新年ってありがたい。いつも新鮮な気持ちでいようと思っても難しいので、世の中全体が仕切り直す感じは、ありがたいです。

さて、今年は、仕事について考える1年にしたいと思っています。今年は本格的に、辞めることも続けることも考えたい。

私は専門職と呼ばれる仕事をしています。「私、専門家。」なんて思ったことは一度もありませんが、養成校を出て、資格を生かして働いています。

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結婚するって、なんですか?

友人たちの結婚式ラッシュは既に2回くらい収束し、第1子出産ブームもひと段落。
お祝い役に徹してきた私にも、「そろそろ結婚しないの?」という有難いお言葉が飛んでくるようになりました。

私は、結婚することの意味が、わからない。

人はどうして結婚するのか?
疑問に思った私は、友人や先輩たちに幾度となく質問してきた。
納得できる答えは、まだない。

特に解せないのは、
「責任をとるため」。

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おばあちゃんと雪の降った日

うちのおばあちゃん、83歳。
もう何年も前から、認知症の症状がある。

新しい事柄はほとんど覚えておくことができない。
日付や曜日はわからないが、今でも畑仕事をしているためか、季節の感覚はある。



この数年、毎年見られる現象がある。
寒い季節の、夜の食卓。
おばあちゃんが毎日毎日、同じことを私に訊くようになるのだ。

「葉月ちゃんの通勤路には、雪はまだ降ってないの?」

おばあち

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トイレの花子さん

小学生の頃、学校のトイレが嫌いだった。
暗いし汚いし臭いし和式だし、
なにより当時「トイレの花子さん」が流行っていたのである。
幸い今のようなハラヨワ人間ではなかったので、なるべく近づかないようにしていた。
それでもトイレのお世話になる時はやってくる。
3番目の個室は避け、息を止めて入り、最速で出る。
結局、トイレに間に合わないことはあったが、花子さんに遭遇することはなく、小学校を卒業した。
でも

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温度

土曜日の夕方。
現実感をようやくつなぐように、車を走らせる。
休日の騒々しさは景色に溶けて壊れ、
違和感の輪郭だけが浮かび上がる。
どうにもならない自意識が襲いかかってくる。
大海に、ひとり。

私は、無色彩の海に落ちていく。
#詩 #エッセイ