「生きる〜Living」(2022)は、余命宣告を受けた市役所官僚のあがきを描く映画である。黒澤明の代表作(1952)を同時代のイギリスに舞台を移して作られたリメイク作は、寡黙な英国紳士の主人公が何も語らず動きもせずで、何を「生きて」いたのかさっぱり分からない非常に困った感じで…
「コーダ〜あいのうた」(2021)は、聴覚障害者の家庭に生まれた健常者の家族である少女の独立と自立を描くホームドラマである。オリジナルのフランス映画にあったコメディ要素(!)を排し、家族の絆というお題目で子供を束縛する「毒親」と才能ある娘の対立という感動とは程遠い辛気臭い映画だ。