見出し画像

アマプラ視聴終了間近、映画「見えない目撃者」

配信ドラマ・映画はとても便利なのだけれど、見放題がそうでなくなったり、配信自体が終了になってしまったり、もう見つけたら「今見とけ」ということが最近身に染みております。
こちらもいつか見ようと観ようと思っていた映画「見えない目撃者」。もうすぐ配信終了のようです。私のようなのんびり屋さんは、忘れずに期限内に視聴しよう。

警察学校を成績優秀で卒業し、数日後には交番勤務が決定していた浜中なつめ(吉岡里帆)。だが勤務外で起こした交通事故で弟は死亡、自らは視力を失い、失意のまま依願退職した。
そんな彼女が移動中、スケボーと接触した車の中から少女のSOSを聴く。証拠のない彼女の話を初め警察は信じないが、ただ1人捜査を続行しようとする刑事木村(田口トモロヲ)のおかげもあり、少女失踪事件へと繋がっていく。
家族に絶望し、スケボーだけが拠り所のもう1人の目撃者春馬(高杉真宙)とともに、なつめは視覚以外の感覚を研ぎ澄まし解決への糸口を掴む。

絶望からの再生

主人公である浜中なつめは三年前、希望と正義感を胸に警察学校を卒業した。ただ、現在のなつめは自殺に失敗し、精神科に通う日々。テープ起こしの仕事をしながら、自分の過失で死なせてしまった弟へのお墓参りにも行けず、絶望の中にいる。

そしてやがてなつめの目となって捜査に関わる事になる高校生の春馬は、将来特にやりたいこともなく、肝心な面談にも来ない無関心な親に絶望している。

スクリーンショット 2021-07-15 7.40.52

そんな2人が出会ったのは、事件にもなっていない少女の拉致誘拐事件。なつめが少女の声を聞いたという車と軽い接触事故を起こし「車の中には誰もいなかった」と証言する春馬。

関わりたくないと執拗ななつめの問いかけを適当にあしらっていたが、なつめの熱心さと的確な指摘が気になり出し、もしかして自分は目撃者なのではないかと疑い始めなつめに協力するようになる。

事件をきっかけに、何もかもに絶望していた春馬、春馬と同い年だった弟を亡くしたなつめ、2人が協力し事件解決へ尽力することにより、徐々に前向きに生きようと変化していく。

ただし、2人の絶望と再生を描くには少し犠牲が多すぎる気もした。最後は希望のある終わり方だったが、それは2人の人生にのみ(いやもう1人いるか)という感じで、ややご都合主義な感じも否めない。単純にあぁ良かったね、と思えないのはひねくれすぎだろうか。

刑事モノ、とは

警察のことを詳しく知っているわけではないけれど、これだけ刑事もののドラマが多いと、切り口によってリアルを追求するのか、従来のファンタジーに近い刑事もの(感動もの、ヒーローものなど)にするのか、分かれる傾向にあるように思う。それぞれに役割があっていいとは思うのだが、今回の刑事については、リアルらしい部分と、フィクションらしい部分が混在していて、ややフィクションが浮いてしまっている感じがした。

警察の縦社会の人間関係、瑣末な日常、定年後の暮らしぶりなど、現実はこんなものかなと思わせる一方で、犯人と対峙するといった場面では単独行動をしたり、格好つけたセリフを口にしたりと、これは今後ドラマティックな展開にするには、主人公を生かすにはそうだろうな、と観ながら頭に思い浮かんでしまった。やや本編の集中力を削ぐ結果となった印象だ。

スクリーンショット 2021-07-15 7.41.04

それゆえに、生存者がいて良かった、という展開にもやや「それはそうだけれど」とスッキリしない気持ちが残ったのも事実。

役者が揃っているのだから、もう少し抑え気味にしても良かったように思う。

視覚障害の感覚がリアル

なつめは事故が原因で失明した。元々の洞察力の鋭さに加えて、視力を失ったことにより他の感覚を研ぎ澄ますことを訓練してきた。

そんな彼女は空間把握能力が高く、触感や事前の情報、耳からの情報で大体のことを察知する。

その見えない状態から空間を把握していく過程を、スクリーンを通して視覚に訴えてくるのだけれど、その表現方法がわかりやすかった。

本来視覚を失った方がどんな方法で自分以外のもの、人を確認しているのかはわかるはずもないのだけれど、今回この映画を見て「こんな感じなのだろうな」と想像することができたし、逆になつめが視力を失っていくシーンでも同じように作り込んでいて、リアルな感覚として持つことができた。

スクリーンショット 2021-07-15 7.40.15

彼女は普段、見えない感覚を盲導犬によって補い、生活をしているけれど、事件解決にバディとして選んだのは高校生の春馬。この連携プレーが見事で、弟を失った姉と、家族の温もりを知らない春馬はお互いを補完し合う感覚で信頼関係を築いていく。

一瞬でわかってしまう、のは、日本のドラマ・映画の見過ぎか(ネタバレ注意)

ネタバレと書いておきながら何だけれど、このセクション(文章全体においても)で犯人を明かす意図はない。ズバリは書かないけれど、この書き方でピンとくる人は多かろうと思うので、絶対に知りたくない!という未視聴の方は注意していただきたい。

というのも、今回結果的に「こいつが犯人だ!」となる人物は初見(初登場)の時から予感させるものがあった。登場の仕方がやや不自然だったのと、何でもない会話にしては長尺だなと思わせる場面、これは監督が意図して作ったものだろうか。

韓国映画のリメイクらしいので、本国がどういう展開なのかわからないけれど、何となく顔つきとシーンの長さでどんでん返しまでイメージできたところはちょっと拍子抜けだった。

それでも見え見えというところまでは行ってなく、瞬間的にそこまで確信を持っていたかと言われればやや曖昧だけれど、真実に近づき始めたところではもう「絶対そうだな」と確信に変わってしまった。

私が日本のドラマ・映画を見過ぎなのだろうかと思うけれど、同じ感想を持っている人は少なくないのではと想像する。

演技の上手い役者さんばかりだし、今後の活躍に期待がある高杉真宙くんのイマドキな若者ぶりも光る映画。グロテスクな場面があるので、苦手な方は要注意だが、手に汗握りたい時にはちょうど良い作品なのでは思う。

※Amazonプライムでの配信は2021年7月19日に終了予定

※画像は映画.comさんよりお借りしました。




この記事が参加している募集

映画感想文

サポートをいただければ、これからもっともっと勉強し多くの知識を得ることに使います。