マダム ハルコ

パンデミック中にたまたまこのヴェルディの評伝に出逢いました。オペラは好きでよく観に行き…

マダム ハルコ

パンデミック中にたまたまこのヴェルディの評伝に出逢いました。オペラは好きでよく観に行きましたが、彼の人生については全くNo Ideaでした。とても感激して、翻訳したくなりました。最後に著者も書いていますが、彼は偉大な人間です。私も同感で、それで私は題に「人間」をつけ加えました。

マガジン

  • 人間ヴェルディ

    彼の音楽と人生、そして その時代

  • 萩原治子の「この旅でいきいき」

    アメリカでキャリア・ウーマンを20年。退職後、食文化を中心に著作生活に入り、現在は世界を飛び廻る旅行家として活動中。 歴史、文化、芸術、料理に至るまで、旺盛な知的好奇心で世界を見つめます。ニューヨーク/マンハッタン在住。

記事一覧

第23章:イル・トロヴァトーレ 吟遊詩人 1852〜1853年 38〜39歳

ヴェルディとストレッポーニは1851年から1852年にかけての冬をパリで過ごした。秋にブセットを立つ前から、彼はすでにイル・トロヴァトーレ(吟遊詩人)の作曲を始めていた…

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第22章:ブセットでの生活1851〜1852年 37歳〜38歳

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第21章:「リゴレット」 1850〜51年:37歳

初めての方へ:ジョージ・マーティン著、萩原治子訳の「人間ヴェルディ:彼の音楽、人生&その時代」の第1部と第2部は公開済みで無料です。著者については第5章の、翻訳…

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第20章:「ルイザ・ミラー」と「スティッフェリオ」 1849~1850年 35歳~37歳

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (19)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 予想通り、1849年2月9日、ロー…

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (18)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 パリに戻ると、ヴェルディは初…

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (17)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 ヴェルディがミラノに戻った184…

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (16)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 パリとミラノ、1848年という年 …

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (15)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 オペラ「群盗」初演のためにパ…

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (14)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 ご挨拶: いつもご愛読いただ…

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (13)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 ガレー船(苦役)時代、その2…

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (12)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期 ガレー船(苦役)時代、 その1…

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (11)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第二部  ヴェルディアン・オペラの確立期 ヴェニスと「エルナニ」 …

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (10)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 この本で著者、ジョージ・マーティンはヴェルディの充実した87年の生涯…

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(9)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 本人が語った「ナブッコ」初演までの様子 ヴェルディは一生…

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(8)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 第8章:当時のオペラのスタイルと、 「一日だけの王様」 183…

第23章:イル・トロヴァトーレ 吟遊詩人 1852〜1853年 38〜39歳

第23章:イル・トロヴァトーレ 吟遊詩人 1852〜1853年 38〜39歳

ヴェルディとストレッポーニは1851年から1852年にかけての冬をパリで過ごした。秋にブセットを立つ前から、彼はすでにイル・トロヴァトーレ(吟遊詩人)の作曲を始めていた。リゴレット初演の1ヶ月後の4月、彼はナポリのカンマラーノから、スペイン語の戯曲、「エル・トロヴァドール」の筋書きを受け取った。彼は気に入らず、すぐに彼自身が書いた筋書きを送り、こう書いた:貴殿のような才能を持ち特異な人物に、こう書

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第21章:「リゴレット」 1850〜51年:37歳

第21章:「リゴレット」 1850〜51年:37歳

初めての方へ:ジョージ・マーティン著、萩原治子訳の「人間ヴェルディ:彼の音楽、人生&その時代」の第1部と第2部は公開済みで無料です。著者については第5章の、翻訳者については第6章の【翻訳後記】をお読みください。

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (19)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (19)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

予想通り、1849年2月9日、ローマ市の人民議会は、法王領の政府体制は憲法に基づいた共和党政権で、ローマを首都とすると宣言した。議会ではこれを実現させるために、法王の複雑な政治的権利を無効にする決定で乗り越えた。将来、牧師や司教や法王自身も、もしローマに

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (18)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (18)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

パリに戻ると、ヴェルディは初めて、ストレッポーニと同じ屋根の下に住み始める。夏の間、彼らはパリ郊外のパッシーに庭付きの家を借りる。1867年にストレッポーニがマッフェイ伯爵夫人に書いた手紙に、郊外に家を借りることは彼女のアイディアだったと書いている。彼女

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (17)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (17)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

ヴェルディがミラノに戻った1848年4月頃の、政治的攻略の駆け引きは苛烈で、深刻だった。「あの5日間」中に、マンゾーニを含むミラノの政治的リーダーたちは、ピードモント王国のカルロ・アルバート国王へ援軍要請の嘆願書に署名をした。それは現実の中、常識的な方向

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (16)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (16)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

パリとミラノ、1848年という年

1847~1848年 33~34歳

ロンドンでの「マスナディエリ(群盗)」初回公演の2日目の後、ヴェルディはパリに向けて出発した。その時ラムリーから女王閣下劇場の音楽監督にならないかという申し出を受ける。給与はイタリ

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (15)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (15)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

オペラ「群盗」初演のためにパリ経由でロンドンへ( 1847年 33歳 )

ロンドンで予定された「イ・マスナディエリ(群盗)」の初演は、ヴェルディにとって、最初のイタリア国外の初演公演だったので、彼自身、いつも以上の興奮ムードに浸っていた。ロンドン市にと

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人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして   その時代 (14)

人間ヴェルディ: 彼の音楽と人生、 そして その時代 (14)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

ご挨拶: いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
この10月10日はヴェルディの誕生日で、生誕210年となります。
また私にとっては、この連載を始めて、ちょうど1年になり、お祝いしています。まだこの先は長く、かなりの月数が必要です。今後共よろしくお

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (13)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (13)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

ガレー船(苦役)時代、その2(1845 - 1846: 31歳から32歳)

1845 年の冬は問題が多かった。ヴェルディ自身の演出による「エルナニ」公演というスカラ座からのオファーを断った理由のひとつは、ナポリのサンカルロ劇場との新作オペラの作曲と演出

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (12)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (12)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部 ヴェルディアン・オペラ確立期

ガレー船(苦役)時代、 その1

(1844―1845 : 30歳から31歳)

ヴェニスでの「エルナニ」の初演大成功の後、ミラノに戻ったヴェルディは、その後「ガレー船時代(苦役ということ)」と自ら表現した時期に入る。1839年の「オベルト」初演以降、彼

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (11)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (11)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第二部  ヴェルディアン・オペラの確立期

ヴェニスと「エルナニ」

(1843―1844: 29歳から30歳)

「ロンバルディア人」の後、次の新作オペラ作曲を、ヴェルディはヴェニスのフェニーチェ劇場と契約した。フェニーチェ劇場は当時、そして現在も、イタリアで最も重要なオペラ・ハウスの一つ。

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (10)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そしてその時代 (10)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

この本で著者、ジョージ・マーティンはヴェルディの充実した87年の生涯を41章に亘って綴っていて、それを4部に区切っています。それぞれの部に副題はありません。私がつけるとすれば、第一部は「おいたち」と「初期」。今回始める第二部前半には「ヴェルディアン・オペラ確立期」にしたいと思います。

第二部

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(9)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(9)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第一部

本人が語った「ナブッコ」初演までの様子

ヴェルディは一生涯、自分と周りの人々のプライバシーを厳しく守ってきた。彼が68才の時、ベルリーニの生涯に関する記事を送ってきた友人に、「なぜ、音楽家の手紙を掘り出して、とやかく書くのか?音楽家の手紙は常に急いで、簡潔に、気遣いなしに書かれ、さ

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人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(8)

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(8)

著者:ジョージ・W・マーティン
翻訳:萩原治子

出版社:ドッド、ミード&カンパニー
初版 1963年

第一部

第8章:当時のオペラのスタイルと、
「一日だけの王様」
1839~1840年;26歳

オペラ・シリアとオペラ・ブッファの違い

メレッリとの新しい契約の下で、ヴェルディは喜劇オペラ、オペラ・ブッファではなく、深刻オペラ、オペラ・セリアが求められていた。1840年ごろにはまだはっきり

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