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春になるまで その2
君のいる四季を知ってしまうこと
冬眠忘れうたた寝の祈り
君と出会って季節が一周して、君と恋人になってからの全ての四季を知ろうとしている。
この1年、温かな君の隣で過ごしていた私は、冬眠の仕方なんてすっかり忘れてしまった。
もう一度冬が来たときには死んでしまうだろう。そんな事を怖がりながら、今はただこの微睡みに身を預けて祈るしか無いのだ。
冬が一生来ませんように。
ちんかした はいのこころの す
春になるまで その1
体調を崩した。
高熱。悪夢をみて、全身汗びっしょりで目が覚める。スポーツドリンクを飲み、1時間おきに重い体を引きずってトイレに行く。それだけを必死に繰り返していた。
発熱してから2日経った午後、目が覚めたら春がきていた。
熱も下がり、酷かった怠さも落ち着いている。
窓から入る心地よい風が、汗で湿った皮膚を撫でる。おひさまと若草、土が混じったような匂いがする。
さっきまでは私を拘束する鬱屈した部屋