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はよ桜咲け


散る桜そんなもので思い出す
初夏へと向かう僕らに乾杯
 お題「散」

散る桜を美しいと思う気持ちには、桜の散り様といのちを重ねている所があると思う。
美しく散る桜を見て、人はいつか死ぬという事、幸せな今の時の尊さを思い出す。好きな人達とまた温かな春を迎えられたことを喜び、同じ桜を見て同じ時を過ごす。
一緒にお酒を飲むということは同じ苦しみを味わう仲間になるという事だ。死は一人でしか迎えることはできない。その孤独な不安を、同じく個々に死に向かっていくわたし達で集まって癒す。
普段忘れられている死が少し浮かび上がるからこそ、今あるいのちの尊さ、その輝きを目一杯味わえるお花見は格別なのだと思う。

星屑を集めた島に住んでいる
君の体も僕の体も 
お題「島」

日々のキラキラ、忘れちゃう私達の尊さの短歌その②
私達の体を作る原子の一つ一つは大爆発から生まれた宇宙の温度が下がって生まれた結晶から始まったらしい。

さざ波も荒波もみな飲み込んで光ってるから海に祈れる  お題「波」

空と海の境界線は沢山の波をぜんぶ飲み込んで、太陽の光を反射して光ってる。
だからもやもやとした時には海を眺めたくなるのだと思う。
とっても有り難い光だ。

この部屋の本棚を君に見せてみる
辞書を指差す弄られてる
 お題「棚」

本棚を見られることは裸を見られるより恥ずかしい。だからこそ、見てほしい。私をつくった本はこんな感じです。

かのひとはこぼれイクラの鉄火巻
これはdisりになるんでしょうか

調子が良い時には「色々あったけど、大事な経験をさせてもらった。もう好きではないけど、どこかで幸せになって欲しい。」なんて言っちゃうけど、性格が悪いときにはこんなうたも作ってしまう。



2024/03/15

私は書類の作成、妹は勉強をしながらリビングで過ごしていた。
お互い集中力が切れたところで、事故の際にやむを得ずゴムを切ってしまったブラジャーを復活させようと裁縫セットを取り出す。普段裁縫はボタン縫い位しかやらない為苦戦していると、妹が代わりに綺麗に仕上げてくれた。
お互い手元を動かしながら世間話をしていると、今後の仕事についての不安をぽつぽつと溢しはじめた。
私も大きな病院を2年で辞め、ふらふらした身なので迷う気持ちは少しはわかるつもりだ。
うんうん、とひたすら聴いていると、妹の綺麗なアーモンド型の目が涙でいっぱいになっていた。

職種も立場も違うので、気の利いた言葉やアドバイスはできなかった。どんな声かけもわかったような口調になってしまうのではないかと思い、ただ話を聞くことしかできなかった。

「『なんとかなるよ。』て言ってほしいだけなんだと思う。ありがとう。」

自分の力の無さに申し訳無く思ったが、妹の言葉に逆に救われてしまった。
話を聞くことしかできないかもしれないけど、いつでも頼ってね。美味しいもの食べに行こうね。と伝えた。

22の時の広さに怯えてるひとと見つめる珈琲の黒  お題「広」

2024/03/17

大学時代の友人とずっと気になっていた地元の喫茶店に行った。
私の脚を心配して遠くから車で地元へ来てくれた。
事故以来はじめて会った友人は近況を話すと、私以上に運転手に対し怒ってくれた。
自分が上手く表出できない怒りの感情を変わりに出してくれているようで、とても有り難かった。
最近ボディーメイクに力を入れている友人は以前会ったときより明らかにスタイルが引き締まっていて格好良かった。

アンティークに囲まれた店内は温かな雰囲気で、どこを見てもときめく小物で溢れている。
二人共食べることが大好きなので、別々のモノを頼んで一緒に食べようという作戦にした。
普段はケーキにはコーヒーを合わせるのだが、薬膳カフェとのことでくるみの薬膳ラテを頼んだ。
塩漬けの桜が乗ったレアチーズケーキは、濃厚なクリームチーズの絶妙な甘さと塩味がラテにぴったりだった。
あんバタートーストは、小豆が大粒で豆の味わいを堪能できて幸せだった。


価値観が合う上に二人共話好きな為、お互いの近況や結婚、男性との価値観の違いについて、食生活について等、話題は尽きることがなかった。
大きいとは言えない店内で、長居してしまったのにも関わらず店主の女性は快く「ゆっくりしてくださいね」と言ってくれてとても過ごしやすかった。

2024/03/18

中学からの友人がランチに誘ってくれた。
地元駅に12時に集合だった為、少し早めに家を出て歩いて駅まで向かう。
先に仕事で家を出た妹から「風が強いから気をつけてね!」とLINEをくれていたので心構えはしていたが、本当に風が強かった。
セットした髪の毛は一瞬で崩れ、家を出て5分で手ぐしで直すのも諦めた。
せっかくセットしたのに…と気分が下がりそうになったが、丁度柴田聡子を聴いていたのでジャケットの気分で駅まで歩くことができた。


無事に駅までたどり着き、友人と合流する。
駅から500m程の蕎麦屋さんへ向かう。
突風が吹く度に歩けなくなり、二人で「わ〜〜!」とか「ぎゃ〜〜!」とか叫びながらなんとかお店に辿り着いた。
可愛いピンク髪の友人はyonigeになっていた。

お洒落なお蕎麦屋さんは、酒造に平造されたお店である。その為、お昼から美味しい日本酒が堪能できるのだ!
友人の恋人が快気祝いとしてランチ代を出してくれた。
いいんですか…!?じゃあ呑んじゃいますよ…!?
この頃すっきりとしたお酒を飲むことが多かったので、趣向を変えてみようと濁り酒を頼んだ。
すっきりと甘く、しっかりとした醸した香りと丸さが蕎麦の香りと相性ばっちりでお酒が進んでしまう。真っ昼間から日本酒を飲んですっかりいい気分になり、2杯目も頼んでしまった。

あまりに風が強い為、友人の恋人が車で送ってくれた。
家に向かう途中の川沿いの道は毎年桜が綺麗に咲く。同じ地元の友人と、桜が咲いたら缶ビールかな!なんて話しながら橋を渡った。

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