春になるまで その1
体調を崩した。
高熱。悪夢をみて、全身汗びっしょりで目が覚める。スポーツドリンクを飲み、1時間おきに重い体を引きずってトイレに行く。それだけを必死に繰り返していた。
発熱してから2日経った午後、目が覚めたら春がきていた。
熱も下がり、酷かった怠さも落ち着いている。
窓から入る心地よい風が、汗で湿った皮膚を撫でる。おひさまと若草、土が混じったような匂いがする。
さっきまでは私を拘束する鬱屈した部屋だったのが嘘みたいだ。お布団に両手を預けて、布の感触を味わいながらしばらくぼーっ