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大好きな人達、桜

2024/04/04

大好きな地元のインドカレー屋さんへ行った。
このカレー屋さんは、実家にいた際は夜勤の日に必ず訪れていたお店で、インド人の店長さんとも個人的に仲良くさせてもらっている。
引っ越してからは中々行けなかったので、久しぶりの訪問となる。
春休み中の妹を誘って駅の反対口のお店へ歩く。
お店までは徒歩で40分ほどかかる。距離はあるが、高校生の妹の恋バナや、最近行ったお出かけの話等を聞きながら歩いていたらすぐについてしまった。

私は、このお店のトマトがたっぷり入ったチキンジャルフレイジというカレーが大好物だ。
注文が入ってから生のトマトやピーマン、玉ねぎを炒めるので、その食感も美味しい。
ナンも絶品でそのふかふかさ、小麦粉とバターの香り、塩味と甘さのバランスが絶妙なのだ。
店長さんは変わらず優しく、賄の鯛の頭が入った豆のカレーをサービスしてくれた。
インドカレーを食べると、豆の美味しさに感動する事がおおい。この日の賄カレーも、豆のしみじみする旨味と鯛の頭の出汁が相性ばっちりであった。
妹と一緒に、美味しいねぇ。ナンはずっと匂い吸えちゃうねぇ。と話しながらカレーを食べた。

チキンジャルフレイジ 



2024/04/05

職場に顔を出した際に、休職中の期間を使って興味のあるセミナーを会社のお金で受講したいと打診した所快く承諾して貰えた。セミナーの申し込みや、サロンの予約、弁護士さんへのメール等など細々としたTodoを片付ける日だった。
精神看護分野のセミナーだったので、ついでに大学時代のゼミの資料を引っ張り出して予習とした。
ようやく春が来た!と思ったものの、お天気はすぐれなくてなんだか気分も落ち込む。
だらだらと鉛筆を走らせる。

曇天に宙ぶらりんの手のひらに
鉛の柔さ 木の温かさ

明日は好きな人と会える日なので、長風呂をしてマッサージをしたり、パックをしたりした。

2024/04/06

お花見デートの日である。

最近買ったシアーシャツを着ようと思っていたが、普通に肌寒そうなので祖母から貰ったカーディガンを着た。

愛なんて無かっただから大丈夫
ぬいぐるみはまだもこもこしてて
 お題「無」

自分って短歌の才能無いんだなぁ、と思うこの頃。
丁度うたの日のお題は「無」だった。
実家に帰ると、元カレとクリスマスデートの横浜で買ったくまのぬいぐるみがあった。数年前のものだが、新品のような毛並み。

日々のうた頭上に並べて目が合った
電車のファンのすごい働き

電車の中でうたを考えながら上を見上げると、空調のファンと目が合った。天井の奥の方でくるくると回転しているファン。思ったより早い回転で、頑張って回っているのが健気だった。
短歌を作っているとすぐ上野駅についてしまった。

駅につくと、恋人から「改札の真ん中にいるね!」とLINEが来ていた。
改札の…?真ん中…?
どうゆうことだ?と思いながら中央改札に向か合うと、改札を出てすぐの広場、長く伸びる改札の丁度真ん中くらいの所にくるくるの頭が飛び出しているのが見えた。
先に見つけられたのが嬉しくて、改札の中から手を振ってから駆け寄った。
小さい女の子が駅の床に大の字になって寝っ転がって駄々をこねていたのが可愛くて、二人で笑った。お母さんも笑っていた。

桜を見に公園へ行く。
上野公園では骨董市をやっていて、桜が並ぶ通りに行く前に古物が並べられている出店に捕まってしまった。
2人ともアンティーク好きである為、目移りしてしまう。顔を見合わせて「全然桜にたどり着かないね」と笑った。

桜は満開で、そこまで散っていないのに若葉が少し出ていた。
今日がお花見ベストタイミングだね、私達の日頃の行いがいいからだねと言いながら歩く。
出店も出ていて、あれも美味しそう、これも美味しそう、と言いながら、結局選べずにとりあえずビールを買った。

なんて素敵な春なんでしょう

出店の道の終わりに、とってもいい感じのおでん屋さんが出ていたので吸い込まれる。私はちくわとはんぺん、恋人は大根とぎょうざ天を買った。

桜を眺めながら池をぐるっと回る。
もう少しなにか食べたいね、と話す。
恋人は久しく上野に来ておらず、それもあまり良いお店の記憶がないと言うので、上野に酒呑みとして育ててもらったといっても過言ではない身として黙っていられなかった。
上野の楽しさ教えます!と息巻き、アメ横へ向かう。
夜はお肉の予定なので、お魚を食べましょう。
大好きな立ち食い寿司の二郎へ向かった。
休日のアメ横は歩くのが大変なくらい混んでいたけれど、運良く二郎には並び無しで入ることができた。
ウニやイクラが乗っかった、品のない巻物や寿司が本当に美味しい事、元々マグロにはあまり興味がなかったのだが、ここの赤身で大好きになった事等を話した。
本格的に呑むモードになっちゃいますね、ダメですね、と言いながら瓶ビールを注文する。

夜ご飯の為にお腹はあけとかないとね。でもお寿司ならちょっとだけつまめるから丁度いいんじゃない。とかなんとか言ってお寿司を選んだのに、結局鉄火巻やら握りやらをしっかり食べ、二人で3本ビールを空けた。

17時に最寄り駅で友人カップルと待ち合わせだったので、それまで少し時間がある。
母の誕生日プレゼントを選びに、かっぱ橋まで散歩をした。
お目当ての可愛いサラダボウルは見つからなかった代わりに、実家用にコーヒー豆を買った。

少し時間がギリギリになってしまったが、無事17時に自宅の最寄り駅に着いた。

夜は友人が私の快気祝いに焼き肉に連れて行ってくれた。自宅からすぐ近くの人気のお店で、記名制である。
順番を待つ間、馴染の立ち飲み屋で時間を潰した。
店内のテレビでは丁度桜が満開というニュースをやっていて、上野公園の上空からの映像が流れていたの。そういえば、公園でヘリが飛んでたね。私達もこの中にいるかもね。とニュースを眺めた。
1時間ほどで順番が来たので焼き肉屋さんへ向かう。

安くて美味しい焼き肉屋さん。
友人がちょうどいい頃合いで肉をひっくり返してくれるのを、うわ〜〜!とか美味しそ〜〜!とか言いながら眺める。
特にハラミが美味しかった。
美味しいお肉を頬張りながら、

「生きててよかった〜〜!!」

と言ったら、恋人は

「言葉の重みが違う…」

と言っていた。

美味しいお肉でお腹が一杯になったものの、まだまだ呑み足りなかったので先程行った立ち飲み屋へ戻る。
そこからはかなり早い段階で酔ってしまい、ただ楽しかったという記憶しかない。
次の日になってから、友人から恋人私の楽しそうな写真が送られてきた。恋人はギターを弾いたり、私は腕相撲のように恋人手を組んで、満面の笑みを浮かべていたりしていた。

私が早々にギブアップし、二人で自宅へ戻る。
ジンベースのチューハイを飲みながら、バンドでやるレッチリを流し、難しい箇所を教えてもらった。
大学で言語学を学んでいた恋人が、日本語の「ん」の発音における舌の使い方が単語によって違うことを教えてくれた。
面白くて「にんじん」とか「ぴんぽん」とかを何回も何回も唱えた。
コンビニで買ったアーモンドチョコはあっという間に食べてしまって、空になった箱を振りながら、「あれだけお肉食べたのにすごいねぇ」と感心された。

化粧すら落とさなかったけど、胃薬はしっかり飲んだ。
一緒のベッドでくっついて寝た。
こっちを向いてくれるのが嬉しかった。
ジェルでパキパキの髪の毛が顎にあたるのすらも嬉しい。
多分2人とも焼き肉とお酒の匂いを纏っているんだろうけど、くっついてしまえばそんな事は気にならなかった。


2024/04/07

私は14時から病院へリハビリへ、恋人は13時からスタジオでバンドの音合わせの予定だ。
9時すぎに起きて、シャワーを浴びたりだらだらしていたら2人ともお腹が空いてきたので家系ラーメンを食べようという話になった。
家系のラーメン屋は家から徒歩5分くらいの距離なので、眉毛とリップだけ塗りジャージを羽織って家を出た。
お目当てのラーメン屋は店長就任キャンペーン初日でひどい行列だった。
恋人の予定に間に合わなくなってしまうということで、以前行こうと話していたつばめ軒に行った。

1年前に初めて一蘭で博多系を食べてから2回目の博多とんこつラーメンだ。
恋人は、「この後ずっと声を出すのにニンニクを入れても良いものか…」と悩んでいたが、結局二人して卓上の生ニンニクをがっつり潰して麺を啜った。
1杯目は硬め、替え玉はハリガネで食べた。
芯がしっかりと残っている麺はとっても美味しかった。次は3秒だけ茹でる粉落としを食べてみよう。

お寿司に焼き肉、翌日にはラーメンなんて、なんともわんぱくな休日だ。
おいしい写真達を眺めながら

「昨日は本当に幸せだったね。」

と言ったら、

「ほんと。お昼の上野が楽しいってことと、焼き肉は美味しいっていうことを学んだよ。」

と言っていた。
もっともっと楽しいことや嬉しいことを一緒に見つけたいな、と思ったけど恥ずかしいので言わなかった。

私は14時のリハビリまで1時間以上時間があったので、散歩をしてから向かうことにした。
駅に向かう恋人とは、公園の前でさよならをした。
「練習頑張ってね」と手をあげたら、恋人は「ありがとう、じゃあね」と手を上げてくれたので、少し手を触れてからばいばいと手を振った。
好きな人は最後までキラキラしていて、かなわないな、という気持ちになった。

いいお天気でそよ風が気持ちいい。
公園では、あちこちでピクニックをしている。
少し歩いてからベンチに座ってぼーっと噴水を眺めた。さよならをした時の恋人の優しい笑顔や昨日合った友人の可愛い笑顔を思い出したりした。
噴水の近くで、子供がしゃぼん玉をしている。
虹色に光るまんまるのシャボンが、温かい日差しに照らされながらふわふわと飛んでいる。
ぱっと消える。
つい最近になって、命はぱっと消えてしまうものなのだと知った。
吹き上がる水飛沫、穏やかな風、しゃぼん玉。儚い命だからこそ、一瞬一瞬のきらきらを目一杯受け止めたい。

春の日の噴水公園虹色の魂たちが風に運ばれ

帰り道にセブンイレブンに寄り、スムージーを買った。お店で作るスムージーを使うのは初めてだったので、凍った果物が機械にガーっと混ぜられている様子を覗き込み、お〜っと感嘆の声を漏らしていた。連日不摂生な食事だったので、果物の繊維やビタミンに身体が喜んでいる気がする。

家に帰るともう14時を過ぎていたが、病院は16時半までやっているので1時間近くだらだらしてしまった。いい加減病院が閉まっちゃうぞ、という時間になってのそのそとベッドを出た。
リハビリでは新しいストレッチを教えてもらった。
丁度リハビリが終わった頃に、スタジオ練が終わったらしい恋人からLINEが届いた。
うまくいったようで、私も嬉しくなった。


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