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たいやきの街で1年

おとなって呼ばれるようになってから
言えなくなった言葉がピアスに

イヤリングはすぐ失くすのでピアスしか付けない。
そのピアスもよく失くしてしまう。
ピアスが無くなる時は大抵、楽しい記憶のその後だ。

今日が終わらなければ良いのに。
まだ貴方と一緒にいたいな。
私の安いピアスはそんな言葉を蓄えて、楽しかったあの時間から、私の掌にある片割れへと光を送り続けている。

愛着が生まれた頃にいなくなる
鉛筆みたいな 君の優しさ
 (お題 愛着)

57577展の応募歌はこれにした。

町田市でケースに入れられてた

愛されるネオトニーの夢を見る
細胞殺す光の冷たさ

久しぶりに脱毛に行った時につくったうた。
「ムダ毛のない美しい肌」という感性は、未熟性を好む男性によってつくられたという仮説がある。

私は、お洒落も、ネイルも、化粧も、全て「自分が嬉しいから」している。と思っている。
脱毛もすベすべの肌が気持ちいいから。毛がない方が綺麗だから。

普段散々忌み嫌っている男性の支配欲。
私の「なにかを綺麗だとおもう価値観」も男性の支配欲からつくられたものだとしたら。
お金を払って、パチパチと痛い冷たい光を浴びながら考える。

蒟蒻の鳴き声何度も再生し
ぱちぱち笑う火をいつまでも
 (お題 鳴)

好きな人がなんでもない動画を繰り返し眺め、いつもの笑い声をあげている。
そんな温かさを一生眺めていたい、焚き火。

ワンルーム「いただきます」のふりかけで
ご飯が艶めく暮らしを愛す
 (お題 ごはん)

通学路パンの香の道春からは
Good morningたい焼きの道
 (お題 パン)

うたの日のどんまい短歌。どんまい!だったけれど、個人的にはとっても好きなうただ。

私の実家から最寄り駅までは徒歩で25分くらいあって、少し距離はあるけれど大学時代は毎朝歩いて通っていた。
運動目的が2割。あとの8割は、通り道のパン屋さんの匂いを嗅ぐためだ。
朝の少し冷たい空気の中、小麦粉とイースト菌、お砂糖が焼ける匂いを肺いっぱいに吸い込むあの数秒が大好きだった。
この街に引っ越して、朝のパン屋さんは無くなってしまった。
その代わり、新しい街には駅前にたい焼きやさんがある。朝の香りは砂糖の割合が幾分多くなった。

この街に引っ越して1年が経った。





2024/04/19

職場の歓迎会があった。
私が休職している間に4人新しい人が入ったらしい。
上司2人と0次会をしている時にそんな話を聞いた。

「浦島太郎じゃないですか…!」

歓迎会が始まるまでは、新しい人にちゃんと挨拶できるか、久しぶりの職場の人たちと上手く話せるか緊張していたけど、お酒が入ればすっかり楽しくなってしまった。
かなり年上の先輩のTシャツの上から乳首を押したりしてしまったので、違う意味で職場復帰に対して緊張することになりそうだ。

2024/04/20

前日かなりしっかりお酒を呑んだが、この日は昼から高校の友人2人とその彼女とピクニックという名の公園呑みの予定であった。
本来はお花見の予定だったが、いくら今年の桜は後倒しだったとはいえ20日ともなれば散っていた。すっかり新緑1色となった公園で待ち合わせをした。

この友人達とは約半年ぶりに会う。
事故にあった、としか伝えていなかったが、心配した友人が大きな新品のキャンピングチェアを持参してくれた。
私は公園へ向かう途中で人数分のロング缶とお団子を買っていった。
先に場所取りをしてくれていた友人と、2番目に到着した私でビールをあけ、お団子をたべた。
通りかかったカップルの男のほうが、

「うわ〜〜!ここで昼間っから酒呑みてぇ〜!」

と言っていたのも相まって、缶ビールが旨かった。

もう一人の友人は普段から遅刻グセがあるので、公園でお互いの近況を話しながらのんびり待っていた。
今年はじめてのかき氷も食べた。
友人がブルーハワイを買ってきて、私も少し貰った。友人は口の中を真っ青にしていて、私はピンク色のリップが歯についてしまって、二人してキキララみたいな口だった。

夕方になってももう一人は来ない。どうやら起きてはいるようなので、友人の最寄り駅の酒場で集合することになった。

前々から気になっていた味のある大衆酒場だ。
ガラガラと引き戸を開けると、コの字カウンター。隅に常連さんが5,6人。カウンターの中では、祖母くらいの年齢の女将が炭火で魚を焼いていた。
若い衆4人にも皆優しく、瓶ビールが旨かった。

はじめましての友人の恋人は、ショートカットの似合う可愛い年下の女の子だった。普段のらりくらりとしている友人が、デロデロで可愛い可愛いと繰り返す姿が面白かった。

出張で大阪から返ってくる恋人と、21時に待ち合わせだったので間に合うように3人と解散した。

いつもの酒場で恋人と合流した。
いつものスーツケース。いつもと違うのは、その上にある茶色い紙袋だ。

「りくおじ買ってきたよ」

やった〜〜〜!!紙袋を持ってジャンプした。
大好きなチーズケーキと一緒に帰ってきてくれたのだ。その晩3時過ぎまでのんだ後に、二人で我慢ならなくなって1切れずつ食べた。
電子レンジで少し膨らまして食べる。
りくおじのチーズケーキをはじめて食べると言う恋人は、その美味しさに

「こんなに美味しいなら毎回買ってこなきゃね!」

と感動していた。嬉しい。

2024/04/21

いつもはくるくるの髪の毛をジェルで固めている恋人が、その日はジェルが切れたと言ってストレートにしていた。

「『どうしたん?話聞こか?』系のバンドマンになっちゃうんだよね…」

と恥ずかしそうな姿が愛おしかった。
大学時代はストレートだったというから、こんな感じだったのかなと想像する。
別人のようで、またねのハグをするのが少し恥ずかしかった。

恋人を玄関で見送ってからリハビリへ向った。

昨日沢山食べたはずなのに、お腹が空いてしまったのでバーガーキングに行った。

いつもワッパー1つでは物足りない…でも流石にもう一つ頼むのは罪深すぎる…と躊躇していたのだが、今日は何かのタガが外れてトッピング全マシワッパーとワッパーJrをポテト付きセットで頼んでしまった。

2024/04/22

近所の眼鏡屋にサングラスを取りに行った。
生憎の曇空だったけれど、嬉しかったのでサングラスをかけて帰った。
その足でプリンターのインクを買いに文房具屋、夕飯の買い出しにスーパーとはしごした。

夕方になって病院から電話がかかってきた。
父がつけている心電図に危ない不整脈が出たらしい。
そのまま父は入院してしまった。
電話で不整脈の種類くらい聞けばよかったと後悔した。幸い症状はないようで、明日母の代わりにお見舞いと手続きに行く事になった。

仕事終わりの恋人と電話をして、ゴールデンウィークの予定をたてた。はじめて二人で熱海へ旅行に行くことになった。

日中の活動量が足りなかったのか、色んな考え事をしていたせいか、その夜は全く眠れなかった。
2時にはもう眠るのを諦めて、1階のリビングに降り勉強をしたら思いの外捗った。

2024/04/23

恋人と熱海に行けると決まったのが嬉しくて、起きてすぐに妹に自慢してKroiの「熱海」を聴いた。

父の入院した病院は、偶然にも私が救急車で運ばれた病院だった。
といっても先に循環器にかかってたのは父なのだが。
私が事故で入院していた際に松葉杖を借りていたため、ついでに返却しに行く。

夜は大学の友人と飲む予定であったが、お互いに日にちを勘違いしていた為延期になってしまった。
代わりにランチに大きな肉うどんを食べた。

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