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雨の日のカレー

2024/06/18

雨。予報では知っていたが、やっぱり気分が上がらない。
新しいレインコートを開けて職場へ向った。
職場についてからも雨はどんどん強くなり、午前中の訪問ですでに全身総着替えする羽目になった。

こんな日に限って、訪問件数が多い。幸い職場から近いお宅が多かったので、傘をさして徒歩で向った。

休職中に職場においておいた長靴が中々見つからず、スニーカーで移動したらどうしようもならない位に真っ黒のびしょびしょになった。

2024/06/19

予定外の新規訪問がありバタバタした1日だった。これから忙しくなるぞ。と確信する。

お昼休憩は看護師の先輩と職場近くのステーキガストに行った。
野菜をもりもり食べながら、職場のチャラい先輩の素行と今週末の飲み会について話したりした。

冷蔵庫のアイスが無くなりそうだったので、帰りにシャトレーゼに寄った。

誕生日だったシルバニア好きの先輩にうさぎの赤ちゃんセットをプレゼントしたら、娘さん2人が楽しそうに遊んでる写真が送られてきて嬉しかった。

2024/06/20

朝はココナッツとチョコレート味のプロテインクッキーに、先日作ったピーナッツバターを塗りながら食べた。
絶対コーヒーに合うんだけど、昨日から切らしているのが残念だ。
クッキーを口に入れて、バターを塗った方を舌に迎え、溶かすと砂糖とピーナッツの甘い脂が溶け出してくる。甘い幸せを堪能しながら、今日はピンクのラインの入ったスクラブを着るから、アイシャドウも少しピンクを入れよう。と考えていた。

新しい利用者さんの初回訪問に2件行った。
どちらも毎日の訪問が必要な家庭だったから、ガラガラだったスケジュールが一気に埋まった。

寝たきりで、家族も不慣れな家庭なので自転車を漕ぎながら次の訪問では何をしようか考えた。
考えながら、とってもわくわくした。
看護師の資格をとってやりたかった事がやっと出来そうな気がする。

仕事終わりに病院へ行った。
職場から直接行ったのでスクラブのままリハビリ室へ行ったら、理学療法さんに

「そういえば看護師さんでしたね、なんだかこの格好の人にマッサージするの変な感じがします」

と笑われた。

訪問先の家がとっても暑かったので、全身に汗が纏わりついていた。帰ってすぐにそれをシャワーで洗い流し、パスタサラダを食べた。
色んな言い訳をしてアイスクリームを2本食べた。

2024/06/21

朝、起きなくちゃいけない時間の30分前にアラームで起きる。知らない名前の鳥の声や、散歩しているおばあちゃんの声が窓の外から聞こえる。
枕元のスピーカーからLaura day romanceを流す。
朝のすんだ空気をゆっくり吸いながら、裸足の、他の部位より少し分厚い皮とシーツをこすり合わせるのが好きだ。
泥の中でフィカスの血管を眺める。
朝ご飯のクッキーの味を考える。

お仕事がある日の大好きな朝が最近戻ってきた。

2024/06/22

夕方から職場の飲み会だったので、午前中は掃除や洗濯や1週間分の買い出しなんかをした。

一息つこうとベッドに座ったらいつの間にか眠ってしまった。
1時間ほど眠っていたらすぐに集合の時間になってしまった。

慌てて洗濯物を取り込んで待ち合わせの駅へ向かう。

私が職場を離れている4ヶ月で色んなことがあったらしい。
ごたごたの話を聞く中で、沢山の陰口を聞く。
今の職場の人たちは皆とても優しくて大好きだ。
好きな人が好きな人の陰口を言っているのがかなりしんどかった。

いつも距離が近い先輩も参加すると言ってたのを恋人は心配して、終電近くになるとLINEや電話をくれた。普段はそんな事は無いので、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

件の先輩は早々に酔い、私を守ってくれた先輩2人をつれていつものスナックで朝まで飲んだ。

恋人も友人等と夕方から飲んだ帰りだったので、お互いフラフラになって帰った。

帰り道は小雨が降っていた。
恋人は「気持ちいい」と雨を浴びていたので、私も真似をして雨に濡れようと思ったのに、「それはダメ。風邪ひいちゃうから」と傘を渡されてしまった。
私は「ずるい」と口を尖らせていたが、反面、恋人の過保護がとても嬉しかった。
それでも何か一緒に悪い事がしたかったので、玄関をあけてすぐに床で寝てしまった恋人の隣で私も横になった。
ふんわりとつめたい木のフローリングが気持ちよかった。

2024/06/23

12時に目が覚める。
恋人は二日酔いで完全にダウンしていた。
いつものようにサプリや水分を渡す。
いつも以上にしんどそうだった。
ゆっくり寝る他ないので、私はひとりのんびりとSNSを眺めたり、日記を書いたりしていた。

低気圧のせいだろうか、昨日沢山摂取してしまった陰口達が浮かび上がってきて悲しい気持ちになってしまう。
他人の気持ちや人間関係なんて、私が傷ついた所で何も変わらない事はわかっていても、やっぱり悲しい気持ちになってしまう。

つらい気持ちを文字にする。
うーん、うーーーん、としばらくうなされていたらお腹が空いてきた。

なにか元気になる食べ物を食べよう。

恋人はまだダウンしていて、食事に外に出られるような状況ではなかったのでひとりで外に出た。

洋食屋さんのキラキラしたエビフライやハンバーグでも食べようかと思っていたが、生憎店はまだあいていない。
空腹は限界だったので、気になっていた近所のインドカレー屋に入った。
スパイスで元気になっちゃおう作戦だ。

お肉ももりもり食べたい気持ちだったので、ビールとタンドリー3点セット付きのメニューを頼む。
選べる2種類のカレーはほうれん草と豆にした。

食事を待つ間は、店内のテレビで流れていたちびまる子ちゃんを眺めていた。
ちびまる子ちゃんを見るのは何年ぶりだろう。
まるちゃんも、まるちゃんのお姉ちゃんも声が変わっていて慣れなかった。
「お姉ちゃん、妹になって甘えたいの巻」は、長女としてまるちゃんのお姉ちゃんに共感して泣いてしまいそうになった。

はじめにビールが運ばれてきたので、すぐさまジョッキを口に当てる。
雨でぱっとしない空気を、炭酸と喉を通る冷たい小麦の液体がふきとばす。

運ばれてきたナンはバターたっぷりの、しっかり味がついたもちもちナンだったので、心のなかで「大当たりだ!!!」と叫んでしまった。

「ナンのおかわりを我慢する代わりにビールを頼んじゃおう」と、ビール付きのセットにしたのに、結局おかわりをしてしまった。

ぱんぱんになったお腹を抱えて家に帰ると、ようやくベッドから出られるようになったらしい恋人が帰り支度をしていた。

金曜日の夜から一緒に過ごせたので、来週の予定を聞くのは野暮な感じがして、「気をつけてね」とだけ言って送り出した。

さっきまで恋人が寝ていたベッドに戻り、ぼーっとしているとすぐに血糖値が上がってきたのか、そのまま寝てしまった。





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