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春のカレー

愛着と言えばそれまでなんだけど
肌の居場所を無くしたようで

決着をつけようこれは
執着か愛着それともほんとの愛か

愛着があるわけではないボールペン
みたいな人と酒を呑みたい

相容れぬ愛を捨てる口実に愛着なんて言葉を使うの

傷ついてつやつやしてる方の鍵
選んで君に渡す告白

あと少し隣を歩いて
この恋が左の袖の艶になるまで

57577展の企画 お題「愛着」で作ったボツ歌たち。

君と手を繋げば湿る掌は
離れ難しと泣く涙の手

私の手はいつもしっとりとしている。
手を繋げば汗がすごい。
反対に恋人は乾燥肌なので、言い訳ができず恥ずかしい。恥ずかしいので、言い訳のうたをつくった。

まだ居たい言えない気持ちの結晶が
私が忘れたピアスの原料

よくピアスをなくす


2024/04/08

先日購入した木下龍也さんの「オールアラウンドユー」を読んでいたらいつの間にか眠ってしまった。

LINEの着信音で目が覚める。

恋人からだった。
私の家から歩いて20分くらいの居酒屋で呑んでいた。私にも来ないかと連絡をくれていたが、寝る身支度を整えてしまっていたので、泣く泣くお断りしていた。

この時間に電話をくれるという事は、終電を逃したのだろう。
電話に出ると、ふわふわの声と鍵の音が聞こえた。

「会いに行ってもいいですか?」

本を読んでいるときは、ちゃんと都内の自宅に帰れたかしらと心配していたはずなのに、結局帰れずに家に来ると聞くとやった〜と喜んでしまう。

私がやった〜!と言うと、恋人もやった〜!と喜んでくれた。その声色から、かなりべろべろに酔っているのがわかる。
こんな時間から会えちゃうなんて嬉しい。幸せだ〜。うれしいな〜〜。酔いからか、そんな事を繰り返し、繰り返し言ってくれる。その度にたまらない気持ちになってしまう。

歩きながら、今はここまで来ました。今日の立ち飲み屋はこんな感じでした。と報告してくれた。

「家から一番近いセブンイレブンまで来たよ。
あ!いつもの店員さんが黒髪になってる!めっちゃ似合いますね!」

セブンのBGMと共に、店員さんの元気な声が聞こえる。いつの間にか彼が店員さんにスマホを渡していたらしい。「‘店員’です〜〜」と電話に出たのが面白くて笑ってしまった。酔っぱらいが絡んですみません、今度髪色見に行きますね~と話したが、電波が遠くあまり伝わっていなかった。

新発売のキリンのビールとチューハイをお願いする。しばらくすると、ゴキゲンな恋人がチューハイとたこ焼きを買って帰ってきた。

ベッドから這い出て抱きつく。

「うわ〜、うれしい〜!」

抱擁を返す腕がそのまま私を持ち上げる。
はしゃぐ私をゆさゆさと降る。
うれしいねぇ、うれしいねぇ。半年ぶりの再会かのようだ。お昼まで一緒にいたのに。

午前1時。
アルコールの香りを纏った恋人が、今日の出来事を話す。缶ビールをあけて、耳を傾ける。

「そう!聞いてくださいよ!
スタジオ練がほんっっっっとに楽しかったの!」

丁度BGMが途切れたので、レッチリを流す。
今日演奏した曲をなぞりながら、どんな所が楽しかったのか、気持ちよかったのかを教えてくれた。
私も、初めて飲んだセブンのスムージーが美味しかった話なんかをした。

たこ焼きを3つずつ食べたら、買ってきたチューハイも無くなった。家だと酔いが回るのが早く、私もほろ酔いになって一緒にベッドに入る。
スーパーで適当に買ったというジェルは、昨日使っていたものよりセット力が弱かったらしく、いつもより髪の毛が柔らかかった。


7時半のアラームで目が覚める。
布団からはみ出している肩がひんやりとつめたくて、顔をくっつけると気持ちが良かった。

恋人はベッドから起きると、煙草だけ吸って仕事に向かった。
私はもう少しベッドでだらだらしていたかったけれど、午前中のうちにやる事を済ませておきたかったので一緒にベッドを出た。

リハビリをしに病院へ行く。
受付のおばあちゃんが、「素敵ねぇ」と服を褒めてくれて、素敵な気分になった。

今日の担当の理学療法士さんは、地元が同じだったので高校の話で盛り上がった。
帰りに職場に寄って書類を受け取った。

用事を済ませ、実家の最寄り駅に戻ると12時になっていた。
お腹が空いていたので、駅から近いカレー屋さんに向かった。
大学時代から通うお店で、その頃から顔見知りの店員さんとも会えた。
このお店のもちもちでおっきいナンが大好きだ。
焼き立ての小麦粉の香り、バターの香りを肺いっぱいに吸い込みながら2枚食べた。

このお店はドリンクサービスが凄いのだ。
食前に好きなドリンク、マンゴージュース、食後には紅茶がつく。ご厚意でチャイも頂いてしまった。
胃の中のナンが、ドリンクを吸って膨らんでいるのがわかる。パンパンのお腹を擦りながら家に帰った。
つい最近までお腹を壊していて、腹10分目まで食べるのは暫くはいいかなと思っていたが、そんな考えは一週間でなくなってしまったらしい。

桜を見ながら歩いて実家に帰った。

帰ると妹が地獄楽のアニメを見ていたので、ソファーでだらだらしながら眺めた。


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