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エッセイ

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#日記

ウラジオ日記を書籍化しました。

ウラジオ日記を書籍化しました。

noteで連載したものに、書き下ろし「写真を捲る」と詩を15篇加えた特別版です。栞も付いてきます。

リンク先の紹介文は、深夜特急のパクリです。最初の一人旅がインドだったこと、香港で大小にハマったこと。深夜特急は旅に行く度に思い出す。今読むと、あんな感傷的になるかとうそ臭くも見えますが、それがまた魅力的なのでしょう。参考にしようと深夜特急の紹介文を見てみたら、ウラ

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この日々のことを覚えておくための日記

2020/4/5 友達に会いたい

2020/4/6 外から不思議な鳴き声が聞こえる。カラスのようだがとても低いふるえるような音色で鳴いている。そっと窓を開けてみても姿は見当たらない。在り処を探して外に出ると、少し大きめのカラスが電線に留まっているのが見える。鳴き声はしない。あれかなとそっと見守っていると、カラスが飛び立つ。もう一羽同じところから飛び立つ。一羽のように見えたカラスは二羽いたようで、

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夜明け前の白い塊

夜明け前。

家の前でタバコを吸っていたら、隣家のドアが一瞬開いて、白い何かを玄関先に勢いよく投げつけるとまた閉まった。

なに、なに、ってびっくりして近寄ってみると、なにか白いものが玄関先の土の上に落ちている。まだ外は暗く、あやしがりて寄りてみても光りたることもない。家に帰って明かりを探しても、手ごろなものがない。懐中電灯も電池が切れていて、電池を換えようと中を開けたらバネとか諸々も飛び出てきて

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生々しい娯楽に触れにくくなってきた

実は書籍を販売しているのですが、三月中は送料無料にすることにしました。
生々しい娯楽に触れにくくなってきた今、生々しい力を持っていると思ったからです。
よかったら。

行く予定だったライブは軒並みキャンセル。眉村ちあきもカネコアヤノも三四郎も。でもみんなそれに真摯に対応していて、それを伝える言葉と、伝えた後の行動にとても好感を覚えました。やっぱり推せる。三四郎のオールナイトニッポンでイベントが決ま

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一生ついていこうと改めて思った日

ちゃんと自らの判断に責任を持ち、理由を説明すること。その理由にも模索の跡と愛を感じられる。何かを決定する立場にある人は皆こうあってほしい。素晴らしい。「ごめんなさい」なんて言わなくていい。と思わせる言葉の力。「山に篭って集合してきます」と少し軽いユーモアで終わらせることで、ただ重いお知らせとしてではなく、業務連絡ではない自らの言葉として語ることに成功しているし、その心地いい軽さによって人に届く言葉

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サンバレーホテルのカレー

サンバレーホテルというカレー屋がおいしい。

スパイス一つ一つの香りがする。この食材に対して、このルーに対して、どのスパイスを立たせ、どのスパイスを控えめにし、どのスパイスを抜いて、どのスパイスを増やすか。そういう繊細な取捨選択の上に完成したそのカレーは口に入れてから飲み込み、舌に残る後味や、バスマティライスと合わさったときの豊潤さまで計算されているような、あまりに贅沢な味覚だ。

ぼくはカレーが

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ゲームばかりしてると馬鹿になる

何百年か前は小説なんて読むんじゃない、みっともない。と言われていたらしい。
「映画ばっか見てるとバカになる。」「マンガばっか読んでるとバカになる。」「テレビばっか見てるとバカになる。」
大人はいつだってバカにしているが、その子どもが大人になるころにはそれがリテラシーになってたりする。映画やマンガは日本を代表する文化の一つだし、居酒屋での会話を聞いていると、大人たちはテレビの話題で盛り上がり、有名人

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親戚との年越し

年末年始の休みを殆ど親戚や両親と過ごした。それは一般的には「普通」とされることなのかもしれないけれど、ぼくにとっては異常なことだった。ぼくは親戚と言うのがとても苦手だ。子どもの頃の親戚に対する印象は、「血が繋がっているというそれだけの理由で親しげにしてくる知らない人」だ。その感覚は今でも変わらず、奇妙だなと思っている。

親戚の集まりの中で、何だかいつも浮いている感じがする人がいた。それが叔母だ。

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弱い生物

インターネットを絶っていた。何日くらいだろう?9日くらい?もっとか?自覚がないくらいにストレスがなくって、絶つという程、気合のいる行為でもない。tverとかradikoとか期限のあるものも一週間を越えれば、思ったよりショックは受けない。ぼくはガラケーを使っているから、スマホユーザーよりもよりインターネットに触れない環境を演出できる。とても気分がよかった。ぼくは本当にはインターネットを必要としていな

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ガラケーを使っている

ガラケーを使っている。iモードのサービスは次々と終了していく。もう何年も前だがyoutubeが見れなくなった。その少し前、youtubeで動画を再生すると動画の速度に携帯がついて来れないのか、音だけがスローモーションで流れるようになった。それでももいろクローバーZの動画を見た。映像の中では明るく元気に踊っているのに、流れる音が遅くそれ故に低音でのっぺりとしていて、地中から泥の化け物のうめき声が聞こ

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すてきなホリデイ

こたつを出してからなんにもできない。部屋はどんどん散らかっていくし、台所には洗い物が溜まっている。

寒さが目立ってきてから、体調がすこぶるよくて、よく食べて、よく飲み、よく遊んで、よく寝た。その時もすでにこたつは出していたのだから、こたつの所為にしているだけで、単に体調が優れないのかもしれない。

ぼくはクリスマスが大好きで、クリスマスソングを働いているお店のプレイリストの中に混ぜこんだ。でもプ

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根本宗子「今、出来る、精一杯。」を観た。

漫画を読んでいると、絵と絵の間のモノローグをうらやましいなと思う。こういう言葉のあり方で書けたらいいなと思う。漫画だったら言える台詞とかもある。小説で書くと何だか恥ずかしい台詞。映画でもいいな。ゴダールみたいに言葉をバンと出して、意味なんて知らないよーと言えたら、最高だろう。もちろん、意味なんてないんだけどね。

何か、言葉の中だけにある言葉は寂しそうだなと思う。もっといろんな世界を見せてあげたい

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日記「カネコアヤノとか最近出会った音楽とかツヴァイのCMとか」

こないだカネコアヤノのライブに行った。カネコアヤノはなんだか光っていて、バンドメンバーに囲まれて歌う彼女が「バンドの正しさよ 恋に似た何かだな」と歌うことのかけがいのなさ。観客は音に合わせて頭を揺らしている。縦に振られた頭は、カネコアヤノのひとつひとつの言葉にうなずいているようにも見えて、光を見つめる目というのは輝くから、それも含めてなんて素敵な場所にいるのだろうと思った。同じ時代に生きていてよか

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「退屈」

昨日と今日と明日は繋がっている。十二時に境目なんて無くて、ぼんやりと続いていく。朝は夜の続きでしかなく、夜もまた。同じ朝を同じ夜を繰り返しているだけで、何も変わらない。そこには違う人が立っていて、温度や湿度が違って、明るさが違う。でもいっしょだ。構成要素が違うだけで、印象は何も変わらない。それに場所の違いってのも無い。旅に出たことがある人ならわかるだろう。身近な場所にあの場所と重なる瞬間があること

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