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名前をもらった女流棋士

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

2006年8月29日に投稿したブログより。

娘の名は棋士である高橋和たかはしやまとさんからヒントを得て、というか、まんまいただいております。

で、ご本人のことをどこまで知っていたのかというと、娘の名前を決めた時には正直知っていたのはお名前だけ。

本書の単行本版を読んでいたのは私の両親の方で、ちょうど娘が生まれた際に、本やらテレビやらで目にしていたらしく、いい名前があると薦めてきました。

それまでは、七つの海を股にかける女、七海ななみなんて、ずっとその名で呼んでました。

で、娘がドンドコ大きくなっても、結局名前の由来の本は読まないまま。実家の自分の部屋に本が置いてあるのは知っていましたが。とにかく他に未読本が常時400冊近くあったので、まぁいつか読むか程度に考えてました。

どこかの時点で、好きな作家である大崎善生さんの奥様であることを知って、「あら」なんて思った程度でした。

で、今回我慢できなくなって、ついに読み始めたきっかけは、実は少しずつ蓄積されてきていたのでした。

本をよく読むこともあって、まだまだマイナーであろう雑誌ダカーポの「本」の特集号をたまに買っていたのですが、以前に掲載されていた大崎氏のたしか西荻日記(その周辺で仲間と酒場をブラブラはしごしつつ、その時の様子や考えをスラスラッと綴ったようなものだったと思います)というエッセイに、さりげなく夫婦の姿が描かれていて、直接は記していないのに、何かいい関係そうだなぁ、というニュアンスを感じていたのが最初のきっかけでした。

次が、気になって買った単行本、「優しい子よ」、これがほとんど決定打ですが、大崎・高橋夫婦と男の子の交流が描かれていて、ますますこのご夫婦のあり方が気になっていきました。

で、この文庫版の方には実家にある単行本に加え、引退と結婚についての章が載っているとのことであったので、とにかく気になり手にいれてしまったというわけでした。

そういうわけで、もしこれを読まれていたら、すみません高橋さん、今まで全然読んでいなかったですし、全ては先ずは旦那さんの小説ありきで臨んでおりました。

読んでみて驚いたのが、文章のプロではないのに、ことの他読みやすいこと。そして、旦那さんの本からの将棋つながりで読み始めたからか、何の違和感もなくすらすらと読み進めてしまうこと。

違うのは、第三者として記す物語ではなく、ご本人による物語であるということ。

ここであまりくどくどと述べるつもりはありませんが、思ったのは、小さな頃からとても気づきの感性をお持ちの方だったのだなということ。

両親の、特にお母さんが負った傷への配慮そして遠慮。若い女の子たちにありがちな嫉妬心ややっかみに対しての感覚。

そして何よりも、実力を見ようとしない大人たちや業界の思惑に対しての感覚。

読んでいて、若いのに、また若いからこそ気にしなくてはならなかった壁というのをひしひしと感じます。

そしてそして、悩める主人公に対しヒーローの如く登場するおっさん大崎善生。

いやー、読んでよかったです。

娘も名前に恥じないように、自らを知って行動できる大人になってもらいたいと思いました。また、有名にならなくてもいいから、誰かから、あの人の名前いいわねぇー、何て言われて、名前の元になったする人物に育って欲しいものです。まぁ、親バカですな。

今回あらためて人間高橋さんのファンになったのはもちろん、本書を通じてやっぱり大崎善生いいなぁ、と思っちゃいました。別に男が好きってわけでは全然ありませんが・・・。

また、そもそもの和の名前の由来が、高橋さんのお父上の初恋の相手なんてのも知れてよかったかな。

まだまだこれから先のある方のお話でしたので、村山聖ばりの壮絶すぎる生き様とはまた違いますが、己の生き方を見つけるための本として、とても参考になるはずです。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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