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【コトダマ023】「答えは・・・」
質問する人は、必ずしも答えを求めていないんですよね。
そのことに気づくまで、私は、ずいぶん長い時間がかかりました。
でも、フランスの思想家モーリス・ブランショのこの言葉は、さらに深いところを突いています。
私の言葉で言い換えるなら、
答えは、質問を殺してしまうんです。
そこからは、何も生まれません。
質問に必要なのは、答えではありません。
では、何が必要なのかって?
ふふふ。
それを言ってしま
【コトダマ022】「われわれは他人の知識で・・・」
勉強が必要ない、ということではありません。役に立つ制度とか地域のキーパーソンとか最新の理論について「物知り」であることも、ソーシャルワーカーには必要です。
でも、どんなに知識を仕入れても、それだけではいずれ限界が来ます。私たちは自らの「英知」をつねに磨き続ける必要があるのです。そのためには、悩み、苦しみ、七転八倒し、しがみつき、そしてその間、常に考え続けることだと思います。
【コトダマ020】「今日の夜になって・・・」
ソーシャルワーカーの仕事って、必ずしも、目に見える成果があることばかりじゃありません。いや、成果がない、と感じられる日のほうが多いでしょう。
毎日、毎日、同じことを繰り返しているようで。
いったい自分は何をやっているんだろう、と思うこともあって。
でも、それは決して、無駄な日々じゃない。徒労じゃない。
私たちは気づかぬうちに「目に見えない建造物」を築き上げているんです。
黙々と、運ぶべき石を
【コトダマ018】「なんでも知っているというようにふるまうよりは・・・」
昨日に引き続き「わかる(知る)」ことをめぐるフレーズをご紹介します。
どんな人でも、目の前にいる人がどういう人か、何を考えているかわからないと、落ち着かない気分になります。だから、その人を「理解した」つもりになって、安心を得ようとする。その時に「活用」されるのが、その人のもっている属性、つまり「性別」や「年齢」や「人種」や「障害」や「疾病」といった要素です。
「わかろう」とすることは、人間の本
【コトダマ017】「相手に対して、あぁ分かるなぁと・・・」
はい。これは説明不要ですね。典型的な落とし穴のひとつです。
特に危ないのは、ソーシャルワーカーが「相手のことが分かってあげられてる自分」に酔っちゃってるときですね。で、クライエントをほったらかして勝手に盛り上がってしまっている。クライエントはそこに水を差したくなくて、「なんか違うんだけどな・・・・・・」と思いながら、それを口に出せないでいる。まあ、状況としては、最悪ですね。
面接はクライエント
【コトダマ015】「仕事っていうのは、別に・・・」
まあ、就労支援の現場などでは、今や「当たり前」の発想ですね。最近は高校でも(早ければ小学生ぐらいから)適性診断などをやって、「自分がどんな仕事に向いているか」を早い段階で自覚させようとするようです。
私が学生だった頃はそんなものはなく、誰かに相談しても「やりたいことを探せ」とか「好きなことを仕事に」なんて言われたものでした。今でも自己啓発本やネット上のインフルエンサーからは、そういう言葉をよく耳
【コトダマ014】「助けてもらった経験を・・・」
平日はなるべく毎日アップしようと思ってたんですが、昨日はいろいろバタバタしていて手が回らず。毎日noteを更新されている方々は、本当にスゴイと思います。
さて、気を取り直して本日は、新鮮な採れたてのコトダマをお届けします。福祉関係者必読の雑誌『月間福祉』(全社協)の最新号です。特集テーマの「身寄りのない人を地域で支える」もとても充実していたのですが、個人的にもっとも目を引いたのが上のフレーズ。フ
【コトダマ012】「わたしたちみんなが環境に・・・」
わたしたちのクライエントの中には、どうしても「環境に順応」できない人がいます。そのため引きこもりになったり、不登校になったり、うつ症状になったり、あるいは暴れてしまって刑務所に入ったりする。
ソーシャルワーカーの仕事は、そういう人を「環境に順応させる」ことなのでしょうか。もちろん、そういう対応が必要なこともあるでしょう。でも、多くの場合、必要なのは「環境に順応できないという事実を受け入れ、折り合
【コトダマ009】「世の中に分かりやすい本など・・・」
昨日に引き続き「わかる」ことについてのフレーズです。ただし、方向性は昨日とまったく逆ですが。
「本」についての言葉ですが、当然このことは「人」についても言えますね。わかりやすい人なんていない。ただ、その人の枠内で「わかりやすく」理解しているだけなんです。
もちろん支援に携わる人なら、クライエントのことをなるべく理解したいと思っていることでしょう。その気持ちは、とても大事です(このことについては