【コトダマ013】「私は、いわゆる”社会復帰”には・・・」
昨日の「コトダマ」で、中井久夫の「世に棲む患者」という言葉について触れましたので、今日はそれ自体がタイトルになった中井久夫の著作から引用してみました。
著者が相手にしていた精神障害のある人たちも、いざ「自立」「地域生活」となると、まず問題になるのが「住む場所」と「働く場所」です。ひきこもりの支援でも同じような傾向があるかもしれません(「住む場所」はそれほど問題にはならないかもしれませんが)。
もちろん「就労」は大事です。でも、それより大事なことがもっとあるんじゃないですか、と著者は問いかけます。それは、何らかの形で「世の中」との接点をもつことです。そして、それは多くの場合「趣味」や「消費者として」の関わりであったりします。
例えば、精神障害のある人が退院してコミケに行く。家族や支援者にとってみれば「仕事も見つからないのに、遊びにいくなんて」と思うかもしれません。でも著者によれば、それによって社会と接点が持てていることが大事なのですね。それこそが、彼らが「世に棲む」ための第一歩なのです。
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