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つれづれ

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二つの逃避行――スピッツの「夜を駆ける」と穂村弘の"警官"短歌

二つの逃避行――スピッツの「夜を駆ける」と穂村弘の"警官"短歌

(1)はじめに 「夜を駆ける」(スピッツ)を初めて聴いてみたら、歌詞が素敵ですぐ好きになってしまった。と同時になんとなく穂村弘の短歌(警官が出てくるようなやつ)を思い出した。なんかどっちも逃避行だな……という印象を持ったのだ。

 この記事では、両者を比較して読んでみたい。まずはそれぞれの作品を読み解いて、最後に比べてみようと思う。

(2)スピッツ「夜を駆ける」の逃避行 歌詞を読むと、どうやら特

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『大正処女御伽話』について

『大正処女御伽話』について

桐丘さな先生のマンガ作品、『大正処女御伽話』『昭和オトメ御伽話』が好きだ。

この二作品はそれぞれ単体としても楽しめるが、大正→昭和の順に時間が連続して流れていて登場人物も一部共通するので、合わせて読むのが面白いだろう。

(以下ネタバレあり、注意)

とりあえずここでは、『大正処女御伽話』の自己批判的なところについて述べたい。

『大正処女御伽話』では、主人公たちのささやかで平凡な幸せを壊そうと

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サンドウィッチマンのコント動画ばかり見ている

サンドウィッチマンのコント動画ばかり見ている

このごろサンドウィッチマンのコント動画ばかり見ている。グレープカンパニーが公式チャンネルに動画をアップしてくださっているので、ありがたく見ている。

実は、お笑いとか漫才とかコントとかを全然見ずに育ってきた。あんまり私の家ではそういう番組を見ることがなかったからかな。なのでサンドウィッチマンの動画は、Youtubeを見漁っていたらたまたま見つけたという感じだ。

サンドウィッチマンのコントは面白い

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私と短歌②『世界中が夕焼け』から考えたこと

私と短歌②『世界中が夕焼け』から考えたこと

高校一年生のときに穂村さんの短歌が好きになった私は、『世界中が夕焼け 穂村弘の短歌の秘密』という本を図書館で借りた。

歌人・山田航さんが穂村さんの短歌を読み解き、それに対して穂村さんがコメントをするという形式の本だった。

短歌を読み始めた(詠み始めた)ばかりの私にとって、穂村さんの短歌は意味がわかるものもあればよくわからないものもあって、どう楽しめばいいのかちょっと掴めないでいた。(わから

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私と短歌①「雪のことかよ」

私と短歌①「雪のことかよ」

短歌を作り始めたのは高校一年生のときからだ。

きっかけは色々あるのだけど、原点は百人一首だと思う。

物心ついたときから家の本棚には「まんが百人一首」があった。幼稚園児の頃に読んでいたのは確かだ。なぜ断言できるかと言うと、まんがには「小学生の皆さんは記憶力がいいから100首全部覚えられるよ!」というようなコマがあり、それを見ながら「わたしまだ小学生じゃないもーん」と思っていた記憶がはっきりあるか

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祖父との電話

祖父との電話

つい最近、私は二十歳の誕生日を迎えた。

誕生日の翌日の夜、祖父から突然電話がかかってきたので驚いて出てみた。誕生日に連絡するのを忘れてたよ、おめでとう、とのこと。何かあったときのために互いの携帯電話番号は登録しているけれど、メールや電話はふだんぜんぜんしないので少しびっくりした。でもすごく嬉しかった。春休みに帰省したときは祖父は手術で入院していたから、しばらく会っていなかったのだ。

コロナで東

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