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エクナ篇序章

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章ごとのまとめ⑥
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【エ序14】リーリュの独白

【エ序14】リーリュの独白

あの後の先生は、もう見ていられなかったよ。

あれが、反戦活動を邪魔に感じた主戦派の連中の仕業だったら、あるいは平和思想を広めてゆく先生の存在を脅威に感じた、黒の月の策謀だったりしたなら、まだしも先生は救われたかも知れない。明確な復讐の相手が出来るからね。でも、あいつらはそうじゃなかった。

あいつらは『悪』と云うよりは『欲』、つまりヒトの本質に近い動機で弟妹達を襲った。

あいつらを恨み、憎み、

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【エ序13】追憶のマルホキアス

【エ序13】追憶のマルホキアス

ーーーー夢を、見ていた。

ーーーーいや。これは夢なのだろうか? 今の『彼』は、夢を見ていられるような状況ではない筈だ。現実の『彼』は、上半身と下半身を両断され、瀕死の重傷を負っている筈だ。

ーーーーいや。そもそも『瀕死の重傷』なのだろうか? 躰を2つに両断されたのだぞ? 普通に考えれば、死…………。

そうだ。これは『走馬灯』だ。死に逝く者が、生と死のあわいにて観ると云う、人生の記憶を辿る旅ー

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【エ序12】エクナ篇序章⑩

【エ序12】エクナ篇序章⑩

「それで、今後の方針だが」

ビナークが、これから先の行動方針について言及すると。

「マルホキアスが死んだと云うなら、奴の指名手配は解除しても良いわね。代わりにレモルファスやその配下たちを新たに全土に手配するわ。容疑はそうね……。ベルリオースに対するテロリズム、国家転覆の共犯容疑と云うところでどうかしら?」

フルーチェが不敵に笑いながら提案する。

「可能か?」

ビナークが確認する。

「何

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【エ序11】エクナ篇序章⑨

【エ序11】エクナ篇序章⑨

「貴様!!!! マルホキアスの弟子だと!!!?」

激昂し、再び椅子から立ち上がるビナーク。だが。

「落ち着いてください陛下!!!! 彼は100%私たちの味方であり、<破滅の預言者>の敵対者です!!!!」

アザリーが一喝する。

するとビナーク、冷静さを取り戻して席に座り直すと。

「取り乱してしまい申し訳ない。見苦しい処をお見せした。騎士殿も、今の私の暴言は忘れていただきたい。……だがしかし

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【エ序10】エクナ篇序章⑧

【エ序10】エクナ篇序章⑧

ーーーーアザリーが、舞っていた。

美しい舞だった。かつてサリカ神が、死者たちの魂に後顧の憂い無き月への旅立ちを促したとされる舞、その模倣と伝えられる。

多くの友に見送られ、ドントーの魂は青の月へと召されるのだろう。

荼毘に付したドントーの遺体を埋葬する。墓標は彼とともにマルホキアスと闘い抜き、彼とともに朽ちた鉾槍(ハルバード)だ。

一通りの葬儀を終え、彼らは山を下りた。そしてフルーチェやア

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【エ序9】エクナ篇序章⑦

【エ序9】エクナ篇序章⑦

ドントーとカシアがマルホキアスを追って、<破滅の預言者>の旧アジトを目指すべくアイゼムの街に別れを告げてから、半刻後ーーーー。

アルフレッドとバートの入院する病室に、意外な人物が訪れた。

「久し振りだな。バートよ」

鮮やかな赤毛に眼鏡越しの翠の瞳、何処か偉そうなその人物の素性に、バートはすぐには思い至らなかった。

「あの…………どちら様でやんすか?」

ちょっとへりくだってみる。

「酷い

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【エ序8】エクナ篇序章⑥

【エ序8】エクナ篇序章⑥

数日前ーーーー。

予期せぬマルホキアスとの遭遇戦で、重傷を負ったアルフレッドを運び込んだペローマ施療院。自分自身も外傷の治療を受けつつ、アルフレッドの容態について説明を受けるバート。

傷を塞ぐことは《大治癒》でも可能だ。だがアルフレッドは内臓に損傷を負っており、その修復には上級治癒術が必要になる。だが、アイゼムのような小さな街には、上級治癒術を使えるような治癒術師は常駐していないとのこと。

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【エ序7】エクナ篇序章⑤

【エ序7】エクナ篇序章⑤

数刻前ーーーー。

<破滅の預言者>の旧アジトを目指し、山中を進むドントーとカシア。

そんなドントーの背中に、おもむろに話し掛けるカシア。

「……なあ爺さん。あんたの武器はどう云ったカラクリでその、マルホキアスの攻撃反転能力に対抗するんだ?」

するとドントー、カシアの質問を受け。

「お主らが<魔神封印の螺旋塔>で採って来てくれた魔鉱石があったろう? 大地と風の元素力が互いを打ち消し合ってい

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【エ序6】エクナ篇序章④

【エ序6】エクナ篇序章④

「ーーーーと、云うことがあったんスよ」

山を下り、港街に着いてからの経緯を、バートがドントーとカシアの2人に説明し終えた。

「ペリデナの宮廷魔術師……! 奴が、お前とアルフレッドをこんな目に遭わせたのか……!」

怒りに拳を震わせるカシア。そして。

「ドワーフ女王の宮廷魔術師……。 そうか……。そんなところに潜り込んでおったのか……」

大きく息を吐き出すように、感慨深げにドントーがそう零し

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【エ序5】エクナ篇序章③

【エ序5】エクナ篇序章③

ドントーとカシアに一時の別れを告げたアルフレッドとバートの2人。

ドントーの工房のある山の奥から、麓の港街アイゼムへと下りてきた。ドントーの武器製作が終わるまでの間、必要な物資を買い込んだり、情報収集をするためである。

あわよくばちょっとした冒険の依頼を引き受け、路銀を稼げれば良いなどと考えていた。

港の雑貨市にて日用品を購入したアルフレッドとバート。ちょうどその時、エクナからの定期船が入港

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【エ序4】インターミッション~母アザリー~

【エ序4】インターミッション~母アザリー~

娘マリアの、15歳の誕生日ーーーー。

アザリーは、マリアに自らが実母であることを明かしていない。

アザリーとその仲間たちは、エクナ諸島全土を戦火の渦に巻き込もうと目論む巨大な悪と闘っていた。

ゆえにもしもマリアがアザリーの娘と知られれば、マリアの身にも危険が及ぶ。悪の脅威と無縁では居られない。平凡な人生など、望むべくもなくなってしまう。

だからアザリーは、マリアとの関係を秘した。

当時か

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【エ序3】インターミッション~邪術師二人~

【エ序3】インターミッション~邪術師二人~

老人の持つ魔法の通信符が、呼出の合図を告げる。

老人の名はマルホキアス。かつてベルリオース王宮でアルフレッドたちと闘った男。ペリデナ女王に仕え、ドワーフ軍事政権の宮廷魔術師を務めていた人物である。

その後、女王<悪魔>と抵抗軍の戦闘の混乱に乗じて王宮から逃亡し、今なおフルーチェによりベルリオース国内にて指名手配を掛けられている。

しかし彼の正体は魔術師などではない。彼は邪術師。それも壊滅した

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【エ序2】エクナ篇序章②

【エ序2】エクナ篇序章②

「《持続光(コンティニュアル・ライト)》」

マリアの父が魔法を行使すると、室内は光に照らし出され、侵入者3人の姿を浮き彫りにする。

「何者だ?」

マリアの父が誰何の声を上げる。

「我らが何者かなどどうでも良いことだ。一応提案しておこう。おとなしく娘を渡せ。さすれば貴殿らに危害は加えぬ」

侵入者のリーダー格とおぼしき、中肉中背の男が提案する。

「答は否だ。何処の世界に、我が身可愛さに我が

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【エ序1】エクナ篇序章①

【エ序1】エクナ篇序章①

ーーーーエクナと云う名の島がある。

リアド大陸の西方に浮かぶ紫の群島。その一翼を成す諸島群だ。エクナ島を中心に、大小3つの島から形成されている。

まずは最大の版図と肥沃な大地を誇るロベール島。その豊かな実りを巡り、大小様々な国が興り、争い、滅びを繰り返す戦乱の島としても知られている。

次に南方のベルリオース。ただでさえ小さな島なのに、一面肥沃な平原に覆われたロベールと異なり変化に富んだ地形が

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