あまくちわさび

「ルナル」というファンタジー世界でシナリオを作り続ける漢たちが築き上げた無駄な時間の結…

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「ルナル」というファンタジー世界でシナリオを作り続ける漢たちが築き上げた無駄な時間の結晶⌛ ほぼ本人たちの記録用📚 読みたい方はご自由に~ ちなみに飼い猫の画像は本編と無関係ニャーฅ^•ω•^ฅ

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【ルナル・エピック プロローグ】

10年戦争が始まる1年ほど前… ロベール・ベルリオース・シスターンの沿岸の町が海賊らしき集団に襲われる事件が相次いだ 被害はそれだけではなく、周辺海域を航海している客船や貨物船、漁船に至るまで及んでいた 3国はそれぞれ調査を行なうが襲撃を行なった集団に対する認識はまちまちで実態の解明には至らなかった 襲われる少し前に霧が発生することを除けば… 3国は徐々に互いの国に対する不信感を募らせていったが表向きには特定の国に対して嫌疑をかける事はなかった しかし日増しに被害は増え、緊張

    • BRIDGE②~アルフレッド~

      <ペローマの箱庭>から外に出たアルフレッド、バート、そしてプリメラ高司祭。 3人は、エクナのペローマ神殿の入口扉の前に立っていた。 バートが念の為、もう一度神殿の扉を開けてみる。 が、中は何の変哲もない、街の小さな図書館そのものだった。 「なるほどね」 納得して扉を閉めるバート。 「で、アルフはこれから、プリメラ師匠に修業をつけて貰うんスよね?」 「ああ。そのつもりだ」 バートの確認に頷くアルフレッド。 「だったらオイラは、ここから別行動を取っても良いスか?

      • BRIDGE①~箱庭にて~

        アルフレッドとバート、ふたりを乗せた定期船は、数日の航海の後、エクナ島へと入港した。 船を下りたふたり。アルフレッドがシャストア信者として己を一から鍛え直す。そのために師匠であるシャストア高司祭プリメラを捜す。その手掛かりを求めてエクナ島へとやって来たのだ。 まずは情報収集だ。勇んで歩み出そうとしたアルフレッドの出鼻を挫くかのように、彼に声を掛けてくる人物が。 「アルフレッド様、そしてバート様とお見受けいたします」 その人物は、全身を覆うローブ姿のため体形が判らず、ま

        • 逆襲のシャーク⑦【逆シ7】

          時間を僅かに、遡るーーーー。 レーナとミオ、師弟の会話。 「判ったでしょミオ。超速での再生を繰り返す触腕への攻撃は無意味。とは云ってもなまなかな攻撃は、分厚い触腕の壁に阻まれてしまい彼女の本体には届かない。今必要なのは、どんなに厚い防御をも突破する高出力の一撃」 「師匠、それって……」 「そう。あの魔術しかないわ。貴女が使うのよ、ミオ」 レーナの宣告。 「そんな! あれはアズバン大師匠の魔術でしょ!? あんな精密な魔術、ボクには無理だよ。師匠が使うべきじゃ……?」

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        【ルナル・エピック プロローグ】

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        • BRIDGE
          2本
        • 逆襲のシャーク篇
          7本
        • エクナ篇序章
          14本
        • 一狩り行こうぜ!
          9本
        • ベルリオース叛乱篇
          10本
        • ベルリオース篇序章
          4本

        記事

          逆襲のシャーク⑥【逆シ6】

          リトの街を出発し、街道を南下。<ブラッディ・シャーク>との因縁深き難破船跡をみたび訪れたアルフレッド、バート、ミオ、ミリィの一行。 更に今回は、ミオの師匠レーナも同行してくれている。頼もしい限りだ。 難破船を外からじっくりと観察する一行。と、バートが。 「あれ、なんスかね?」 船首を指差しバートが問う。そこには彫刻が施されている。劣化が進んでいるため判別しにくいが、どうやら魚の彫像のようだ。鋭い牙と大きな胸ビレを持つ魚の彫刻が、あしらわれている。 過去2回ここを訪れ

          逆襲のシャーク⑥【逆シ6】

          逆襲のシャーク⑤【逆シ5】

          「……あたしはお前さんのこと、べっぴんさんだと思うがね?」 掠れた声で<オルカ>が云う。だが『彼女』は、<オルカ>の云うことを素直には受け取れないようで。 「この触腕のお蔭で皆が私を化物か色物扱いするわ。私の容姿を褒めたりするのは貴方だけよ。申し訳ないけど、貴方のその意見は貴方が眼が見えないゆえだと思うわ」 云ってしまってからはっとする『彼女』。<オルカ>の障害を引き合いに出すなんて最低の云い草だ。 気を悪くしたのではないかと、ちらと<オルカ>の表情を覗き見る『彼女』

          逆襲のシャーク⑤【逆シ5】

          逆襲のシャーク④【逆シ4】

          「やったよ!! アルくん!!」 ミオがそう云って、アルフレッドに思いきり抱き付く。 「あの<ブラインド・オルカ>に一騎討ちで勝っちゃうなんて、凄いよ!!」 「そんな。皆の助けがあってこその勝利だよ」 アルフレッドが応えるが。 「いや。<ブラインド・オルカ>は<ブラッディ・シャーク>幹部の中でも屈指の実力者だ。本当に凄いことだよ」 ミリィも心から感心している。 「<スタージェン>の時みたく、報奨金が出るんスかね?」 バートがおどけて問うと。 「<スタージェン>

          逆襲のシャーク④【逆シ4】

          逆襲のシャーク③【逆シ3】

          「……何故、ガヤン神殿は高額の懸賞金をかけてまで<ブラッディ・シャーク>の幹部を追っているか、判るかい?」 ミリィが傷の痛みに耐え、ミオの治療を受けながらアルフレッドたちに問うてくる。 「……残党たちが再び組織を起ち上げようとするなら、新たな首領(ボス)、つまり船長(キャプテン)の存在が必要になる。かつての船長<クリムゾン・シャーク>亡き今、その地位を担えるのは幹部たちをおいて他にないからさ。……当局は、元幹部による<ブラッディ・シャーク>再興を怖れている」 ミリィが、

          逆襲のシャーク③【逆シ3】

          逆襲のシャーク②【逆シ2】

          海賊団<ブラッディ・シャーク>の元幹部、<ブラインド・オルカ>に拉致されたミオ救出へと動き出したミリィ、レーナ、アルフレッド、バートの4人。 街道を南下し、ようやく指定された難破船跡が見えてきたところで、アルフレッドとバートが一行を離脱し、気配を殺しながら海側の死角へと難破船を回り込む。 一方でミリィとレーナは陽動も兼ねて正面から堂々と近付く。そして難破船の目前で立ち止まり、ミリィが周囲を警戒しながら大声で呼び掛ける。 「指示通り<神の鳥>の羽を持って来たぞ! ミオを返

          逆襲のシャーク②【逆シ2】

          逆襲のシャーク①【逆シ1】

          アルフレッドとバートは、<花の街>リトへと向かう乗合馬車に揺られていた。 ーーーーベルリオースからエクナ島へと航ったふたり。 ここでアルフレッドのシャストア信者としての師匠、プリメラ高司祭の居所に関する手掛かりを探す、のかと思いきや、ひとつ片付けておかねばならない案件の存在を思い出したのだ。 そう。役目を終えた<神の鳥>の羽を、<スター・アイテムズ>のミオの許へ返却することである。 そうしてアルフレッドとバートは、エクナ島からロベールへと航った。以前にも寄港した小港街

          逆襲のシャーク①【逆シ1】

          【エ序14】リーリュの独白

          あの後の先生は、もう見ていられなかったよ。 あれが、反戦活動を邪魔に感じた主戦派の連中の仕業だったら、あるいは平和思想を広めてゆく先生の存在を脅威に感じた、黒の月の策謀だったりしたなら、まだしも先生は救われたかも知れない。明確な復讐の相手が出来るからね。でも、あいつらはそうじゃなかった。 あいつらは『悪』と云うよりは『欲』、つまりヒトの本質に近い動機で弟妹達を襲った。 あいつらを恨み、憎み、復讐すると云うことはつまり、ヒトの在り様そのものを否定することになる。 ……少

          【エ序14】リーリュの独白

          【エ序13】追憶のマルホキアス

          ーーーー夢を、見ていた。 ーーーーいや。これは夢なのだろうか? 今の『彼』は、夢を見ていられるような状況ではない筈だ。現実の『彼』は、上半身と下半身を両断され、瀕死の重傷を負っている筈だ。 ーーーーいや。そもそも『瀕死の重傷』なのだろうか? 躰を2つに両断されたのだぞ? 普通に考えれば、死…………。 そうだ。これは『走馬灯』だ。死に逝く者が、生と死のあわいにて観ると云う、人生の記憶を辿る旅ーーーー。 そうして『彼』ーーマルホキアスの意識は旅をする。二度と観たくなかった

          【エ序13】追憶のマルホキアス

          【エ序12】エクナ篇序章⑩

          「それで、今後の方針だが」 ビナークが、これから先の行動方針について言及すると。 「マルホキアスが死んだと云うなら、奴の指名手配は解除しても良いわね。代わりにレモルファスやその配下たちを新たに全土に手配するわ。容疑はそうね……。ベルリオースに対するテロリズム、国家転覆の共犯容疑と云うところでどうかしら?」 フルーチェが不敵に笑いながら提案する。 「可能か?」 ビナークが確認する。 「何とかするわ。手配書に人相書きを載せる必要があるから、マリア嬢やアザリー高司祭の協

          【エ序12】エクナ篇序章⑩

          【エ序11】エクナ篇序章⑨

          「貴様!!!! マルホキアスの弟子だと!!!?」 激昂し、再び椅子から立ち上がるビナーク。だが。 「落ち着いてください陛下!!!! 彼は100%私たちの味方であり、<破滅の預言者>の敵対者です!!!!」 アザリーが一喝する。 するとビナーク、冷静さを取り戻して席に座り直すと。 「取り乱してしまい申し訳ない。見苦しい処をお見せした。騎士殿も、今の私の暴言は忘れていただきたい。……だがしかし、そなたの発言が聞き捨てならないこともまた、事実だ。差し支えなければ、是非詳しい

          【エ序11】エクナ篇序章⑨

          【エ序10】エクナ篇序章⑧

          ーーーーアザリーが、舞っていた。 美しい舞だった。かつてサリカ神が、死者たちの魂に後顧の憂い無き月への旅立ちを促したとされる舞、その模倣と伝えられる。 多くの友に見送られ、ドントーの魂は青の月へと召されるのだろう。 荼毘に付したドントーの遺体を埋葬する。墓標は彼とともにマルホキアスと闘い抜き、彼とともに朽ちた鉾槍(ハルバード)だ。 一通りの葬儀を終え、彼らは山を下りた。そしてフルーチェやアザリーの提案で、一行は一度全員、王城へと集まることとなった。 ーーーーーーーー

          【エ序10】エクナ篇序章⑧

          【エ序9】エクナ篇序章⑦

          ドントーとカシアがマルホキアスを追って、<破滅の預言者>の旧アジトを目指すべくアイゼムの街に別れを告げてから、半刻後ーーーー。 アルフレッドとバートの入院する病室に、意外な人物が訪れた。 「久し振りだな。バートよ」 鮮やかな赤毛に眼鏡越しの翠の瞳、何処か偉そうなその人物の素性に、バートはすぐには思い至らなかった。 「あの…………どちら様でやんすか?」 ちょっとへりくだってみる。 「酷いなバート。私の顔をもう忘れたのか?」 眼鏡を少しずり下げて苦笑する、その人物の

          【エ序9】エクナ篇序章⑦