サービスエンドポイントを使用して特定のサブネットからストレージアカウントまで Azureバックボーンネットワークで行ってみよう!
突然ですが 『 サービスエンドポイント 』 ご存じでしょうか?
VNet 内から PaaSサービスのグローバルIPアドレスに向かって、インターネットからのアクセスではなく Azureバックボーンネットワークを経由して通信するための接続オプションです。
ちなみに、似たような接続オプションとして「プライベートエンドポイント」なるものも存在します。
後者は VNet と統合したオンプレミスネットワーク ( VPN / ER ) からでも PaaSサービスの「プライベートIPアドレス」に向かって通信できます。
ですが今回は前者についてです。
サービスエンドポイントを通り Azureバックボーンネットワークを経由する通信にて Azureファイル共有のフォルダをマウントしてみたいと思います。
環境を準備する
以前に書いたこちらの記事の環境に少し手を加えます。
作成する環境のイメージとしては以下の図になります。
サービスエンドポイント
対象となるサブネットに対して「ストレージエンドポイント」という種類のサービスエンドポイントを構成します。
Bicepファイルにおけるシンボリック名でいうと
subnet1 ➡ パブリックサブネット
subnet2 ➡ プライベートサブネット
subnet3 ➡ Bastionホスト専用サブネット
という役割の違う三つのサブネットを作成するのですが、今回対象となるのは subnet2 です。
subnet2 ( プライベートサブネット ) についてはそもそもインターネットにも接続できないようにするわけですが、この状態ではストレージアカウントにもたどり着けません。
そこでサービスエンドポイントを作成することでたどり着けるようにします。
なおサービスエンドポイントは、サービスごと、サブネットごとに有効になります。
今回の場合のサービスとは ストレージアカウントなので 💡 のように記述します。
var subnet2 = {
name: 'privateSubnet'
properties: {
addressPrefix: '${addressPrefix}1.0/24'
serviceEndpoints: [ //👈
{
service: 'Microsoft.Storage' //💡
locations: [
'japaneast'
'japanwest'
]
}
]
networkSecurityGroup: {
id: subnet2nsg.id
}
}
}
実際にこれを使ってデプロイしたものは以下となります。
ネットワークセキュリティグループ ( NSG )
プライベートサブネットに紐づける NSG に送信セキュリティ規則を一つ追記します。
これでサブネット( 厳密には VNet )からのストレージアカウントへのアクセスは許可するようにできます。
{
name: 'Allow-Storage-All'
properties: {
direction: 'Outbound'
protocol: '*'
access: 'Allow'
priority: 1000
sourceAddressPrefix: 'VirtualNetwork'
sourcePortRange: '*'
destinationAddressPrefix: 'Storage'
destinationPortRange: '*'
}
}
実際にこれを使ってデプロイしたものは以下となります。
ストレージアカウント
新しく、独立したモジュールファイル 「 storageAccount.bicep 」 を追加しました。
デプロイするリソースは、
ストレージアカウント ( 1️⃣ )
ファイル共有 ( 2️⃣ )
の二つです。
💡 については、subnet2 ( プライベートサブネット ) のリソースID の出力値を入れ込みます。
そして 1️⃣ でこのサブネットからのアクセスだけは許可するとします。
param location string
param subnetId string //💡
var storageAccountName = 'sta'
resource storageAccount 'Microsoft.Storage/storageAccounts@2021-08-01' = { // 1️⃣
name: '${storageAccountName}${uniqueString(subscription().id)}'
location: location
sku: {
name: 'Standard_LRS'
}
kind: 'StorageV2'
properties: {
networkAcls: {
defaultAction: 'Deny'
virtualNetworkRules: [
{
action: 'Allow'
id: subnetId
}
]
}
}
}
resource fileShare 'Microsoft.Storage/storageAccounts/fileServices/shares@2021-09-01' = { // 2️⃣
name: '${storageAccount.name}/default/forprivate'
}
実際にこれを使ってデプロイしたものは以下となります。
ストレージアカウント ( 1️⃣ ) の properties ( networkAcls )
ファイル共有 ( 2️⃣ )
Azure VM ( Windows Server )
今回は 2台の VM を使用します。
subnet1 ( パブリックサブネット ) と subnet2 ( プライベートサブネット ) に 1台ずつ Windows Server をデプロイします。
試してみる
ファイル共有への Z ドライブのマッピングを作成してみる
ありがたいことに、Azure portal で案内してくれる PowerShell スクリプトを Azure VM ( Windows Server ) から実行すると作成できます。
⇩
⇩ 下にスクロール
何やらコマンドが表示されていますのでコピーします。
Azureファイル共有をマウント
それぞれの Windows Server に作成した管理者ユーザーでサインインして PowerShell を起動して先ほどコピーしたコマンドを実行してみます。
詳細が気になる方は以下の公式ドキュメントもご参考ください。
🟡パブリックサブネットの Windows Server の場合
何やら赤字でイヤな感じの応答が返ってきていますね。
New-PSDrive : Access is denied
はい、狙い通りアクセスが拒否されています。
当然ですがエクスプローラーを見ても Zドライブはありませんね。
🟢プライベートサブネットの Windows Server の場合
CMDKEY: Credential added successfully.
Name Used (GB) Free (GB) Provider Root CurrentLocation
---- --------- --------- -------- ---- ---------------
Z 0.00 5120.00 FileSystem \\staavsgjemr76bak.file.core.win...
こちらはマウントがうまくいったようです。
エクスプローラーを見ると Zドライブが現れました。
狙い通りですね。
インターネットへのアクセス
PowerShell ( Test-NetConnection コマンドレット ) と Webブラウザで note.com にアクセスしてどのような応答が返ってきたか確認します。
🟡パブリックサブネットの Windows Server の場合
PS C:\Users\azureuser> Test-NetConnection -ComputerName note.com -Port 80
ComputerName : note.com
RemoteAddress : 13.32.50.5
RemotePort : 80
InterfaceAlias : Ethernet
SourceAddress : 10.10.0.4
TcpTestSucceeded : True
はい、特に問題なくネットワークの疎通が確認できました。
ブラウザの場合はどうかというと
こちらも特に問題ありません。
🟢プライベートサブネットの Windows Server の場合
PS C:\Users\azureuser> Test-NetConnection -ComputerName note.com -Port 80
WARNING: TCP connect to (18.65.202.117 : 80) failed
WARNING: TCP connect to (18.65.202.37 : 80) failed
WARNING: TCP connect to (18.65.202.34 : 80) failed
WARNING: TCP connect to (18.65.202.111 : 80) failed
WARNING: Ping to 18.65.202.117 failed with status: TimedOut
WARNING: Ping to 18.65.202.37 failed with status: TimedOut
WARNING: Ping to 18.65.202.34 failed with status: TimedOut
WARNING: Ping to 18.65.202.111 failed with status: TimedOut
ComputerName : note.com
RemoteAddress : 18.65.202.117
RemotePort : 80
InterfaceAlias : Ethernet
SourceAddress : 10.10.1.4
PingSucceeded : False
PingReplyDetails (RTT) : 0 ms
TcpTestSucceeded : False
はい、先ほどとは異なり疎通に問題ありです。
ブラウザの場合はどうかというと
はい、こちらも当然ながら表示できません。
🟠 さいごに 🔚
ということで、狙い通りの環境がデプロイできました。
ざっくり言えばプライベートエンドポイントの方が優秀といった感じですが、万能ではありませんし要件によってはこのようなサービスエンドポイントが必要になるかもしれません。
そんな時にはぜひ使ってみてください。
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