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感情の置き場所
2021年2月27日 09:35
急な斜面を登っていた。ぼんやりとした頭ですれ違う人にあいさつをする。「ああ、こんなに朝早いのに同じように登っている人がいるんだ」と心の中の誰かと話をする。前日は雨だった。どろどろの道を靴が汚れないように気をつけて登る。暑いのか汗がとめどなく流れる。山に登るのは久しぶりのことだったということに気付いた。呼吸が荒い。ベンチがあった。ザックを下ろし、登ってきた方向を見ると、曇り空の中に、晴れ間が
2021年2月16日 07:22
月曜日の夜から、飲んだくれている。いつもは適量と言われている量を律義に守っていたが、今日は3~4倍は飲んでいる。飲んでもちょっとやそっとのことでは、悪酔いはしない。家にいるときほどあまり酔わない気がする。外で飲むときは、よく限界突破してしまう。特に職場の飲み会がそうだった。職場の人達とは、話したいことはあまりないし、あまりないからこそ、それを紛らわすために、頻繁にグラスを口に近づけてしまう。そ
2021年1月19日 00:01
新聞を読むわけでもなく、パラパラとめくっていると、なにかの問題と答えのページがあった。題に目を向けるとそこには、大学入学共通テストと書いてあって、センター試験の名前が変わったんだっけと頭に浮かんだ。その日は雪が降っていた。しきたりなのか、この地域の特徴なのか分からないが、例年試験の前日に近くのホテルに前泊するのが恒例になっていた。会場は大学のある隣の市だった。車で1時間あれば、行くことが出来る
2020年11月21日 00:35
どこで間違ったんだろう?小学生の時なのか、中学生の時なのか、働き始めてからなのか。最初からなのか。どこで間違ったんだろう?自分の弱さを認められなくて、自分を偽りながら生きていた時から少しは変われたんだろうか?変わった気もするし、変わっていない気もする。まだ自分を騙しているような気もする。むしろ騙し騙ししていかないと生きていける気がしない。本当は何もしたくない。もう生きたくないのかもしれ
2020年12月27日 00:04
化粧水を手に取って、それを塗ろうと顔に近づけた。指の先から石鹸の匂いに混じって懐かしい匂いが、鼻の中を通っていき、頭の中にある情景が浮かんできた。忘れていたことを思い出し、冷蔵庫から、にんにくの欠片を手に取り、薄皮を剥いている。つるんと白い表面が見えたところで、それをまな板の上に置き、薄くスライスして、更に長細く切って、みじん切りにした。熱したフライパンの隣では、沸騰したお湯が鍋の中でぶく
2020年12月29日 00:01
鉛色の空に飽きた僕達は、隣の県に向かうための車の中にいた。相変わらずぼこぼこの道は、ハンドルを取られ運転することが難儀だ。無事にたどり着けるのか不安な気持ちになりながら、トロトロ走るトラックの後ろを30分は、追走している。途中で買ったブラックコーヒーを飲みながら、暖房で暑くなった車内の空気を入れ替えるため、ウインドウを下げた。外からは、湿った冷たい空気が入り込んできて、気持ちをしゃきっとさせる。ト
2020年12月30日 00:04
世界が一変した夜から数日後の夜、包丁を持ち、街灯が照らす道と、その明かりから外れた真っ暗な道を交互に歩いていた。存在する全てのものから身を隠したかったし、この世界にまだ留まりたいとも思っていた。梅雨が明けたのか明けていないのかも、よく分からなかったが、じめじめとした空気が漂っている。あてもなくふらふらと歩いていると、他人の住宅の前に差し掛かり、この中にはどんな世界があるのだろうと通り過ぎる。前方に
2021年1月7日 00:03
大きな駐車場に車を停めようとすると、混雑した通路で誰かとぶつかるかもしれないし、帰りに駐車場から道路に出るときに、手間取ってしまうかもしれない。そんなことを頭の中で考えながら、車を左折させようと、ハンドルを左に切った。結局、少し歩くことにはなるが、大きな駐車場の近くにある小さな駐車場に車を停めることにした。隣に座っている薄い黄色のワンピースを着た彼女は、手に持っていた麦わら帽子を頭に乗せ、
2021年1月12日 00:00
しゃぶしゃぶに行きたい。高いところには行かなくていいから、お腹いっぱい食べたい。大体チェーンだけど、温野菜より、しゃぶ葉よりも、ゆず庵が個人的には好きだ。肉の質なんてよく分からないけど、柔らかくて一番食べやすい気がする。高いところに行けば、量を食べなくても満たされるのかもしれないが、しゃぶしゃぶはお腹いっぱい食べたいのだ。ゆず庵はだしが選べるのが良い。どんなものがあったか忘れたけど、薄味の