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【システム導入編11:システム担当が孤立したらプロジェクトは崩壊する。】

本マガジンの過去投稿は上記に入れています。

本マガジンは、ものづくりの現場でシステム導入する場合のポイントについて解説するシステム導入編です。工場のIoT推進部に配属された清史朗は、あるプロジェクトの担当になりますがなかなかうまくいっていません。そこに新米課長の紫耀もサポートに入って指導しながら、奮闘していきます。細川義洋氏著「システムを「外注」にするときに読む本」の内容を学びながら自分の立場にでどうすべきかを考えていきます。これまで要件定義と業務フロー図の作成について、そして、発注者として責任・姿勢、そして、ベンダの選びについてまなんできました。今回は、第4章「社内の協力を得るために」を解説します。

・・・・・

◆肝心の製造課長がシステム導入に主体的にならない

👶:おはようございます。

🧒;おはよう。その後はベンダさんと話をしたかい?困っていること、手伝えることはないかい?

👶;はい。先日、双方の事情を腹割って話しました。先方の情報もこちらの情報も公開しながらリスク管理をしていくことになりました。工程表をもう一度練り直して報告させていただきます。でも・・・。

🧒:でも??

👶:製造課が、あまり協力姿勢でないというか・・。詳細の工程やテスト計画の予定を再調整しようとしても日々の仕事が忙しいのか、担当エンジニアがでて来てくれますが肝心の主任が打ち合わせに出てこなかったり、課長がきちんと把握していなかったりしています。使うの部署の責任者は製造の課長たちなのに。。なので、工程表のく見直しをしても、また別の遅れが発生してしまいそうな気がしていますし、そもそも返答が返ってきません。会社としてまとまっていないというか。このままでは本当に製造が使いやすいシステムを入れられるかどうか不安です。

🧒:そうか。それは私にも責任があるな。工場長も使いながらきちんと課長同士で重要性を理解してもらい、課長が自ら指示を出す。つまり君の要求に答えるようにしなければならない。そうか。今日は第4章を解説するが、この章は、社内の人間の参加がいかに重要かが書かれている。一緒に学んでいこう。

👶:よろしくお願いします。

◆「社員が協力してくれない」はシステム開発最大の危機

🧒:今回は、蒲田社長率いる京浜マーケットという大手スーパーチェーンを舞台に話が進んでいくよ。白瀬さんは引き続き美咲さんの会社に出向中だ。主役は京浜マーケットのシステム開発課長の赤羽さんだ。赤羽さんは、中途でベンダからやってきた男性で新システムの「京浜マーケット御用聞きシステム」の開発を進めているようだ。そんな中、各部署に要望のヒアリングしているだが、なかなかうまくいかない。システム屋のように暇じゃないんだから時間を奪わないでくれとまで言われている様子だ。

👶:おお、それは私の置かれている状況よりもひどいですね・・。

🧒:本の中にも、「往々にして社員たちは、本来の忙しさんを理由に要望の取りまとめに協力してくれない」と書いてある。だから、あるあるなんだね。そんな状態なものだから、赤羽さんの相談相手は、社内にはおらず大手ITベンダの女性中野さんだけだった。

👶;なるほど、社内に相談できず・・。社外の機密を話せる人だけが相談相手であったと・・。ところで、今回はどんな目的でシステム導入したいのでしょうか?

🧒:下記のように記載されている。

京浜マーケットが開発しようとしている「御用聞きシステム」とは、商品配達員が得意先の家を訪問して注文を取るサービスで、かつて町の酒屋がやっていたものを参考に、蒲田社長が思いついたものだった。

京浜マーケットはインターネット通販にも参入しているが、それだけではなく、配達員に担当地域のお得意様を訪問させて顧客におすすめ商品を紹介する。そのおすすめ商品は、セール品や話題になっている食材だけでなく、購買履歴や家族構成を元に、その人が必要としそうな、または好みにあった商品をまとめたお客様ごとの「おすすめリスト」に記載される。配達員は、それを持って各家庭を回る。

一般に高齢者は、一度良いと感じたことを簡単には変えたがらない。「御用聞きシステム」を便利だと感じてもらって囲い込めれば、今後の高齢化社会においても安定した売上を確保できる。それが、このサービスを考えついた蒲田社長の狙い。

👶:なるほどわかりました。当たり前のことでもサービスで囲い込みをすると。

🧒;そして、その成功のためには他社よりもはたく顧客を囲いこむことが必要であった。だが、プロジェクトは思うように進まない。そうして、相談をしている中、ベンダの中央ソフト中野さんから、いよいよ、システム運用が期限通りにはならないことを告げられる。そして、機能を減らしていったんリリースし、徐々に増やしていきながら段階的にリリースを開始することを勧められるんだ。

👶:要件定義も社内でままならない赤羽さんからするとそれは飲むしかないですね。急ぎシステムを構築しても欠陥だらけになってしまう・・。でもそういう中途半端な方法は何事もうまくいかないのですよね・・。

🧒;ああ。でも、赤羽さんはそれを取締役会で説明することにするんだ。

👶:どうなることやら・・。

◆システム担当者の孤立。プロジェクトの崩壊

🧒:赤羽さんは取締役会で機能を減らしたリリース、全体のプロジェクトの延期を説明するが、案の定ボコボコにいわれてしまう。まずは副社長から。

「精一杯?バカいうんじゃないよ。この時期に要件を取りまとめられていないのは君の怠慢だろ?」
「現場の協力がないだと?冗談じゃないよ。君はマーケティングの忙しさも知らずsに、「早くしろ早くしろ」とさんざん仕事の邪魔ばかりしている」

そして物流担当の常務から

「赤羽さんの話は難しすぎると有名だ。通信方式だとか技術の話ばかりで何を言っているかわからないとね。」

そして極めつけに上司の部長から

「もういい!!!いいわけする間があったらとっとと戻って、ベンダとスケジュール調整してこい。私に恥をかかせるな。」

とね。

👶:ひどすぎる・・。そんな状態じゃシステム開発導入なんてうまくいくわけないですね。社長はなんて?

🧒:社長も黙ったままだというんだ。

👶:ガックシですね・・。

🧒:赤羽さんも「こんなのうまくいくわけない」とつぶやいて部署に戻るんだ。そりゃそうだよな。エンドユーザーとなる社員はみんな参加しない。そして、本当はトップは経営メリットを教えながら彼らに行動を起こさせないといけない。そして、上司もパワハラ上司。最悪だ。そして、さらに席に戻ろうとすると、部下が「赤羽さんではまとめられない、プロジェクトに入れられたら、泥船に乗るようなもの。中央ソフトの営業女性と不倫している。」など言われ、完全に四面楚歌状態となってしまう。

👶:そんな。赤羽さんどうなってしまうのでしょうか?

🧒:会社に来なくなってしまったんだ。

👶;やはりそうなのですか。むしろそんな時は、休むのが正解ですね。しかし。プロジェクトはどうなってしまうのでしょうか?

🧒;そこで、コンサルタントの美咲さんと白瀬さんの登場だ。蒲田社長がプロジェクトの立て直しのために、依頼をしたんだ。

👶;なるほど。そういうことですか。しかし、どうやって、立て直していくのでしょうか?

🧒:いやいや、美咲さんは社長に対して、この件引き受けることはできない、誰が音頭を取っても成功に導くことができないとはっきり言う。

👶:え?どういうことでしょうか?

🧒:美咲さんは、立て直しにはいくつかの不可欠な要素があるが、京浜マーケットにはそのどれもがないからだという。

👶:え?一体それは?

🧒:それはおいおい解説することになるが、ここで京浜マーケットを揺るがす事件が起きる。

👶:え?そこで事件?どんなものですか?

🧒:おっと今日は時間だ。それは次回解説しよう。不可欠な要素は次回までに自分なりに考えておいてくれ。

・・・・・・

 今回は、よくあるシステム担当者の孤立について描いた4章の序盤を解説しました。上述したようなひどいことにはならないにしろ、多かれ少なかれ、システム導入時エンドユーザーが他人ごとで要望や要件に本気にならないということがほぼ起きると思います。(私の周りだけかなと思っていたら、本にも書いてあるし、他業界の製造業の人に聞いても起きていました)次回は、これをどう変えていくか、システム担当者はどうしていくべきか4章にそって解説したいと思います。

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