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散文の仲間

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ジブラルタル峻が綴る、理性や科学の外側のテクスト。
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#散文詩

しゃがみタイガー【非線形詩・現代詩】

しゃがみタイガー【非線形詩・現代詩】

満足度でできたカッテージチーズの日を、落としたら割れてしまいそうな日を真昆布でくるみます。進軍していたという誰かの嘘の記憶が、落下傘でひらひらと着地して何かの行為の双葉が歌いはじめます。世界で最も優しいパイルドライバーを決めたいと願うのは大陸棚に群生する二酸化炭素を吸収するいきものたちでした。

3歩進んで3歩退くサフランライス。
これをリトミック料理として仕上げてから、読めない肝臓系生物の学名を

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現代詩『テーマ』

現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。
それは時曜日の日課です。

彼女はテレビを消しました。
その通りです。テレビを物理的に消したのです。

すると、平方根が無数に飛び交う砂浜で、子供たちが熱の束を掴みながらはしゃぐサウンドスケープが立ち現れるではないですか。
そこにアキアカネが駆け付けます。ポケットにオニヤンマへの不等号的な手紙を隠していますが、それはラブレターを徹底的に微分し

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創作:存在しない本の感想文

創作:存在しない本の感想文

 エトケン・ガリダール(1901-1979)と言えば『全体化と極限性』のほうが有名かも知れません。彼の文学的な言葉づかいは本書でも際立っていました。ガリダール哲学は積極的に異化あるいは矛盾律を採用します。それが嫌な人はきっとこの人の著作を読まないのでしょう。「カンガルーの群れがいつも跳ねているわけではないのと同じです」(本文954ページ参照)。

 開き直るわけではないですが、理解できない箇所のほ

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創作:足りない紫

創作:足りない紫

 胸から取り出した地図を軽く剪定して庭に配置します。
 円盤状の雑音とひな飾りを同象限で眠らせて、分子間力の作用に委ねます。逆さまになった果実はやがて飲み干されると予測でき、ハンマーは少しだけ揺れます。

 岩盤浴に行き、束の間のエーテル体験の後に、ぶっきらぼうなレアチーズケーキをおかわりするのでした。よく焙煎された黒を対置して。

 ビロード戦隊のピンクはブルーに恋焦がれ、最終回の2話前で大博打

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創作:フルーツパフェ・ジャンケン・ラプソディー

創作:フルーツパフェ・ジャンケン・ラプソディー

 フルーツパフェを観ました。どのフルーツが、あるいはどのスイーツが好みだろう?
「どれも好き」
 それは素顔の上で響き渡るファンファーレの答えでした。

 イソフラボンの絶対値と生類憐みの令の近似値を算出して、ジャンケンにおける第四の手を繰り出します。
 その手は、グーにもチョキにもそしてパーにも勝つことはありません。なぜなら戦いは発生しなかったのですから。

 第四の手の到来は、真のファンファー

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創作:カゲロウの成虫に口はありません

創作:カゲロウの成虫に口はありません

 カゲロウの成虫に口はありません。そうですね。捕食しないのですね。だから口は要らない。そうやってコヒーレントな波形を老舗デパートの包装紙に包みつつ歌います。
 メロディーは例外なく100パーセント可食部である。そう言っていたあの人はどこか遠くの国へ行ってしまいました。そのことと、人類の起こりをハンガーラックにかけてレオロジーを測定してばかりの日々です。

 常に既に、散らすこととしての記述を通して

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小説:ダンプカーはマシュマロと同一、を含む言葉の塊(433文字)

小説:ダンプカーはマシュマロと同一、を含む言葉の塊(433文字)

 輪投げをして、ベーカリーの香りを手に入れる。それをクリアファイルに収め、ジュラルミンケースに格納する。

 ダンプカーはマシュマロと同一だから、常に既にきりたんぽの内角の和に収束する。指数関数的に昼寝をする。
 ハキリアリの生態と究極ハリキリスタジアムの出荷数を足し合わせ、60進法で微分する。
 その時、祈祷する内容はグルタミン酸ナトリウムのオブジェだった。遠近法とコートジボワールの風をクイック

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小説:半呼吸体とは(421文字)

小説:半呼吸体とは(421文字)

 常識を片目で見る。あるいはできる限り遠くに置く。あいつはそういうことをやっているのだろう。

 スクランブル交差点を渡り切った呼吸体は、イヤフォンのボリュームを上げた。
 正解は誰かのルールにおいての正解であり、絶対的ではないのよ、と三叉路を通り過ぎたペンペン草が喋る。
 ルートの記号を7個集めて、オオトカゲに願う。するとどうだろう。旧邸の鍵が見つかり、みりんで味付けされた縦横無尽体が振る舞われ

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小説:透明な猫(374文字)

小説:透明な猫(374文字)

 誰も持たない道具を使う。それはピッケルの先端を納豆巻きにすることであり、幕末のヒキガエルの鳴き声にフランジャーを掛けて仕上げるものだった。
 遥か遠くに見えるミートパイは、あっけなく情報戦に埋もれ、パラダイムのキャップに嵌め込まれたチゴイネルワイゼンとともに祝杯を上げる。
 漬物石で覆われたエレクトーンがひとりでに鳴り響き、ウーロン茶はそのときだけ、複製物ではないよという表情を浮かべる。
 ミシ

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駄菓子の真実(418文字)

駄菓子の真実(418文字)

 隠れマルコフ作戦を偏微分する。額縁の友達は「それは妥協じゃなくて挑戦だよ」と言う。そのセリフを第五象限にプロットしたまま暮らす。
 
 時間と握手をする龍が、予定調和にかじりつき、真夜中色のアジサイが咲き続けることになる。
 感情という言葉をナノテクノロジーで解体し、まだ問われていない素子に代入する。

 駄菓子の真実を過冷却し、動的粘弾性を計測する。誰も認めようとしないのは承知しているが、パレ

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小説:ピンボールで20点というイカの色素のようなスコアを叩き出してから。などを含む言葉の塊(403文字)

小説:ピンボールで20点というイカの色素のようなスコアを叩き出してから。などを含む言葉の塊(403文字)

 雪の結晶が健気に伸ばす片手を握りしめて男は走る。ピンボールで20点というイカの色素のようなスコアを叩き出してから。
 スペア7連続で別室にいざなわれ、畳の部屋でマッコリを飲み続ける。記憶のほつれ髪に淫することを禁じ得えなかった。

 側転4回で失格になった国道98号線はハレーションを塗り広げて喜ぶ。タウリンとハイタッチ。
 黒い遵法精神が街に降り注ぐ。あくなき平泳ぎはブルーライトカットではにかみ

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小説:言塊(481文字)

小説:言塊(481文字)

 名前のない盤上の遊戯。その読み合いを制する。ねじり切れたのは、身体と大脳というよりもむしろ、旧来のマニュアルだった。半世紀前の事実は、簡単にキムワイプで拭き取られてしまう。

 遥か彼方の万華鏡はゆっくりと回転し、精神残量の無い魔導士は、一行の荷物となる。杖による殴打は意味をなさない。
 遥か彼方の万華鏡はゆっくりと旋回し、精神力のある装甲闘士は混乱状態に陥る。その結果一行の荷物となるばかりか、

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小説:祈りを紙ヒコーキとして折り、桃源郷に向けて飛ばす。などの言葉の塊(483文字)

小説:祈りを紙ヒコーキとして折り、桃源郷に向けて飛ばす。などの言葉の塊(483文字)

 ハンマー兄弟は桃姫の足跡を追う。彼らが主人公であってもいいのに。彼らがキノコを食べたとしてもいいのに。

 パンダの寝姿を模した粘性の雲。それを目指すシンリンオオカミの群れは、脱走兵と合流する。極めて軽微なフランケンシュタイナーの衝撃を足がかりにしてクロサイを追うモルフォチョウはヒガンバナの花言葉になる。たとえそれが、戦火の拡大を招こうとも。

 群れに見惚れながら、夕暮れは朝焼けに手を貸す。そ

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