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ナポリの物語

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エレナ・フェッランテ『ナポリの物語』関連の記事を集めています。その他、ナポリの雰囲気を伝える記事も加えてもいいかな。
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#ナポリの物語

どうしてエレナがレヌッチャになったり、レヌーになったりするの? 『逃れる者と留まる者 ナポリの物語3』のあとがき公開。

どうしてエレナがレヌッチャになったり、レヌーになったりするの? 『逃れる者と留まる者 ナポリの物語3』のあとがき公開。



はじめまして、エレナ・フェッランテ『ナポリの物語』シリーズ(早川書房)訳者の飯田亮介です。イタリアの人口千人未満の過疎の村に住んでいます、、、が、詳しい自己紹介はまた今度ということで、とりあえずはじめての投稿はタイトルどおり、第3巻『逃れる者と留まる者』のあとがきを公開してみたいと思います。第1巻『リラとわたし』と第2巻『新しい名字』のあとがきは早川書房公式noteのほうで公開されてますので、

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今まで書いた中で多分いちばん自己満足色濃厚なあとがき 
『失われた女の子 ナポリの物語4』のあとがき公開。

今まで書いた中で多分いちばん自己満足色濃厚なあとがき  『失われた女の子 ナポリの物語4』のあとがき公開。



こんにちは。ときどきヒツジの数のほうが村人の数よりも多くなる、イタリア中部の過疎の村に住む、翻訳家の飯田亮介です。みなさま、いかがお過ごしですか。この冬は雪どころか雨もろくに降らず、夏の干ばつが今から心配です、、、が、身の回りの話はまた今度ということで、先日の第3巻あとがきに続き、お約束どおり、第4巻あとがきをお届けします(1巻あとがき、2巻あとがきはこちらをご覧ください)。

すでに第3巻あ

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「女性の物語」との和解ー『ナポリの物語』

「女性の物語」との和解ー『ナポリの物語』

私は長いことフィクションの「女性の物語」が苦手だった。今もまだ完全に和解できているとは言い切れない。それでもこの数年で以前よりも幅広いストーリーに接したおかげで随分とわかってきたことがある。自分の思考の整理も兼ねてこれまでの経緯とターニングポイントとなった作品について書いてみたい。

子供の頃から小説が好きでよく読んでいた。フィクションの物語が好きだったけど地方で映画は超大作をたまに観る程度、テレ

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誰かと内容を語り合いたいと本気で思った本、エレナ・フェッランテ『逃げる者と留まる者』レビュー

誰かと内容を語り合いたいと本気で思った本、エレナ・フェッランテ『逃げる者と留まる者』レビュー

★トップの写真はサンテルマ城から見下ろしたナポリの街並み。ちょうど去年の今頃はナポリを含む南イタリアを旅行中だった。ナポリはまた絶対に訪れたい街。

※最後の方にネタバレ含みます。

エレナ・フェッランテ『逃げる者と留まる者』(訳:飯田亮介)を読了した。ずいぶん時間がかかったが、言い訳をすると、物語に夢中になっている反面、終わらせたくない、という矛盾した感情が終盤にもつれ込んできたからだ。

『ナ

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こんな本に出会えるから、読書は辞められない。類まれなる読書体験を与えてくれた、傑作フェッランテ。

こんな本に出会えるから、読書は辞められない。類まれなる読書体験を与えてくれた、傑作フェッランテ。

※ネタバレあります。ごめんなさい。

とうとう読み終えてしまった。エレナ・フェッランテ作『ナポリの物語』四部作。最終章を読み終わったのは、まさにホリデーに向かう機内で、思いがけないラストにおいおい泣いてしまった。しかし、有難いことにフェイス・マスクでなんとか涙を隠すことができた。

基本的に「去る者は追わない」性格なので、「~ロス」などを感じたことはなかったのだが、今回は「フェッランテ・ロス」とも

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