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【創作SS】 No.4 列車が、自身の路線とは異なる路線を『自認』しだしたら?
夜中、とある駅の車庫。
その日の仕事を終えた列車が、2つ並んでいます。
彼らはお互いに、自分の担当する路線の話をしています。
「…なあ、君はどこから来たんだい?」
そう尋ねられた列車は答えます。
「僕は□□方面から来た、□□線の列車だよ!」
「…ほう、□□方面から。私は行ったことがないなぁ」
「そうなんだ!君は、どこから来たの?」
「…私は、○○方面から来た○○線だよ」
「そうな
【創作SS】 No.2 『優しい誰か』と、ノラネコと、私
20××年10月初旬、某県でのお話。
海の見える丘の途中に東屋があった。
近くの道の駅の施設の一部だろうか。
サイクリングの途中、坂を必死に漕いで疲れた私は、ちょっと休憩しようと寄った。
車が脇をビュンビュンと通っていくので、静かではなかったが、他に腰を落ち着ける場所は無い。
ベンチに腰掛け、水を飲もうと荷物をおろすと、
「みゃあ」
と力ない声が聞こえた。
ベンチの裏に痩せこけた子
【創作SS】 No.1 『被差別者』という上級市民
「やあ、旅人さん。ご機嫌いかがかな」
「突然話しかけてしまって申し訳ない。見かけない外国人の方がいた者で、つい」
「この国には?…そう、初めてかい」
「そうだね…少なくとも私は、いい国だと思うよ」
「…ふむ…私たちについて、かい?」
「そうだね…ここに住む人たちは『痛みを忘れない』、素晴らしい人たちばかりさ」
「少しだけ、この老いぼれの話を聞いてくれるかい?」
「…私の一族、××××