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小ぎたない恋のはなしEx21「好きでZ世代に生まれたわけがない」

▼前回

https://note.com/fuuke/n/ndf70166dc44f

散々コストパフォーマンスを強要してきた世代に対して理解を示さなければ話は始まらないのかも知れないと思うことがある。

ITインフラが発達していなかったころ、当該世代にとっては「図書館で調べ物をする」みたいな地道な努力が必要だったんだろうと想像する。

そしてそれはいつしか美徳となったことだろう。いつの時代も振り返られる過去は美化されるのだ。

かたや現在だと、検索窓に目的語を入れて押すという行為さえできるのであれば調べ物に困ることはあんまりない。コストパフォーマンス大好き世代からしたら、夢のような環境なんじゃないかと僕は思う。

だけど明日も、上方の世代は検索欄一発で物事を片付ける行為にやれタイパだの0-100(ぜろ-ひゃく)だのと一方的に名前を付与して「なんか悪しきもの」というニュアンスで揶揄してくるはずだ。

言い分としては「一発で答えを出す行為には情緒がない」あたりが妥当か?

いわゆるまとめページみたいな「極端な物事を言って知識人ぶるインフルエンサーもどき」的なメディア出演者(YouTuberとかTikTokerとか)が、集客のために言う「極端な結論」を自分にとっても解としてまんま受け売りする若年層的行動について「自分の答えを持てていない」と指摘したりする。後者については割と同感だ。

どうやら彼らの美徳と照らし合わせて、役立つ知識を効率的に摂取しようとする姿はあさましく見えるらしい。でもそれは「自分たち初老の人間は新しいITインフラすら使いこなせない、化石になる一歩手前の原始生物です」と自白しているようなものだ。

「自分たちが汗水たらして得た知識」を、「タップやクリックひとつで手に入れる行為」がある。

これが許せない。

新しい文化や技術があるからこそ、いま自分たちがその立ち位置にいられるということも理解し得ないのだろう。

なぜなら彼らにとって、年下はすべて言いなりであり、自分より劣っていて「御せて当たり前の手駒」だと当然見做されているからだ。

多分新しい技術も文化も、自分なら当然支配下において使いこなせるけどあえてやっていない風を装っているんじゃないか。なぜならそんな手段を用いなかった自分たちの現役の頃が黄金時代だったから。

現役じゃなくなった時点で存在意義がなくなったことに気づいたほうが良い。

僕は思う。多分、普通の学生生活さらには集団生活も送れなかった悲しくて哀れなやつが不幸にもメンバーシップ型終身雇用で権力を持ってしまった場合にこうなるんじゃないかと。

そして同調圧力でその世代以下の連中も同じ思想を抱く。その哀れな者の機嫌を取ろうと同調する。

僕らは好きでZ世代に生まれたわけじゃない。

なぜ世代などというものを定義したがるのか?それは、大人とは「わけのわからないもの、定義できないものが嫌い」だから。

前述のように「御せない可能性」が少しでもあるものが怖くて仕方がない。自分が変わりたくないから、自分の生活が変わらないものであるという保証が脅かされることが怖くて仕方がない。

Z世代と呼ばれてしまった人々の出現は彼ら大人にとって恐怖だった。これまで見てきた自分たちの子供だの孫とどこまでも違い、対処方法が思いつかないほど突飛だったから。

これまでの「対人・勝ちパターン」に当てはめられない。勝利の図式が得られない(他人に対して、勝利なんて得て一体何になるんだろう?)。

どのパターンかわかっていれば対処ができる、という思い込みそれ自体が短期記憶や長期記憶の低下につながっていることに気づけない。脳死で選択してるだけだからだ。

なまじ敬遠するITインフラがこのような層の近くにもあるがゆえに、新しい世代を恐れる情報を自ら発信し、その「怪物像」に自分で尾ひれを付与しまくっている。なんて情けなく矛盾した生き物たちなんだろう?

自己を研磨することなく過去の例だけで対応しようとして、それだけで自分なら対応できると思い込み、自分を高く見積もっているが故に実力低下を引き起こす。

緩やかではありながら確実に衰退しているのと同義だ。


▼次回
ザポリージャがウクライナの地名なのかファンタジーRPGのキャラ名かも思い出せない世代へ

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