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暮らしの記録

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#夫婦

身近な人の言葉は素通りしやすいけれど

身近な人の言葉は素通りしやすいけれど

最近、夫の方がわたしよりも娘の扱いがうまい。
娘が泣いたときに泣き止ませるツボも心得ているし、笑いのツボも心得ているので、夫と遊んでいるとき、娘は終始大爆笑している。

でも、それ以上にわたしにとって意味があるのは、娘にごはんを食べさせるのがうまいということ。

食べ物の好き嫌いがはっきりしてきた時期ということもあり、最近の娘は偏食が目立つ。特に白米を食べたがらないので食事が一向に進まない。お気に

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誕生日はいつもと変わらない朝から始まった

誕生日はいつもと変わらない朝から始まった

我が家の玄関の扉を開けると、細い廊下の先に行く手を塞ぐように突っ張り棒がかけられていた。そしてその棒にはまるで暖簾のように画用紙がぶら下げられていた。画用紙には、「誕生日、おめでとう」の文字が。下の方には小さく、「焼き鳥食べ放題、お茶飲み放題、ケーキもあるよ」という文字も。

手作りの暖簾をかいくぐり、扉をあけると、懐かしい音楽が聞こえてきた。これは夫婦の思い出の曲。
「いらっしゃいませー!」

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深夜に夫婦で料理をしながら、取り止めのない会話を繰り広げる

深夜に夫婦で料理をしながら、取り止めのない会話を繰り広げる

『結婚は、生涯の遊び相手を手に入れることだ』

これは夫の言葉。

結婚当初から、いや結婚前から言っていた。

ところで、遊び相手と言うからには、実際的に何がしかの遊びをするのだろうか。それとも比喩的に「人生は遊びだ」と言うこと?

夫の言葉の真意を、ことさら深く考えることも問い直すこともなかったけれど、「遊び相手だ」と言われる度に、「そうだね」と同意もできない日々が続いていた。

というのも、私

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一年間「大変だった」と言えることも「良かった」と言えることも、大切な人がいたから

一年間「大変だった」と言えることも「良かった」と言えることも、大切な人がいたから

「今年はどんな一年だった?」何度となく夫婦の間で繰り返されていた質問は、その度に違う答えになった。

単純に「良い一年だったね」と言う時もあれば、過ぎた一年を通して経験したこと、出会った人のことを振り返りながら、印象に残ったことを話すこともあった。

でもある日、夫が同じ質問をした時、「一年間大変だった」という言葉がつるりと口から出てしまった。

言葉にすると、苦々しい感情がふっと心の中に落ちてき

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家族そろって風邪を引いた夜

家族そろって風邪を引いた夜

習慣のように開いた天気アプリは、気温17℃を示していた。とはいえ、数字よりも体感というやつをもっと重視している私は、窓から差し込む暖かい光に騙されてまだ暖かいのだと勘違いをしていたらしい。
衣替えはとっくに済ませていたのにもかかわらず、いつまでも夏服に少し着込んでいる程度の格好で、家の中でも外でも過ごしていた。
でも、風邪を引いてしまったのは格好のせいだけではない。地域柄なのか、やたらと乾燥するの

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在宅ワーク&育児〜スローペースで積極的に楽しむ〜

在宅ワーク&育児〜スローペースで積極的に楽しむ〜

「あなたは、子どもにどんな離乳食をあげているかも知らないでしょ」
言ってから「しまった」と思う。最近こんなことの繰り返しだ。
子育てと、仕事や家庭とのバランスが未だに不安定な私は、ちょっとしたことでもイライラが溜まってしまい、そのストレスが夫に向かってしまう。

しゅんとしてしまった夫に、「イライラしてしまってごめんなさい」と謝る。「いいよ」と言ってくれる夫。でも自分の感情を、自分で思う以上にコン

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秋風が石鹸の香りを運んできた

秋風が石鹸の香りを運んできた

恥ずかしい話、出産後はずっと朝寝坊だった。朝8時過ぎてしまうのは当たり前。大抵は9時を少し回ったあたりでようやく目覚め、それから一日の活動を始めるのだ。娘が何時に起きているのか、それすらわからないていたらく。私が目覚める時にはすでに娘は起きて、側で遊んでいる。

言い訳をするならば、就寝時間が遅いのだ。それしかない。いかんせん終わらせなければならない仕事は多いのに、子どもが元気に這い回ったり(最近

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「ごめんなさい」がうまく言えなかった

もうすぐ生後8ヶ月になろうとする娘は、ずいぶんと指先が器用になってきた。台所でキャベツの千切りをしていて、キャベツの切れ端が下に落ちようものなら、2、3メートル離れたところからであってもお腹をはって近寄り、小さな指先でキャベツをつまみ上げ、しげしげと眺めるのだ。もちろん、口に入れると不衛生なのでつまみ上げた瞬間、わたしによって没収される。

先日、そろそろ寝る時間だからと娘と寝室にいた。夫はまだ仕

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当たり前のことを当たり前に

当たり前のことを当たり前に

「じゃあ、洗い物ジャンケンしようか」
夕食を終えて、空になった皿を前に夫が言う。これは我が家の恒例の光景だ。負けた方が洗い物をする。
最初はグーと言って、手を出す夫に対して、わたしは後出しジャンケンをして勝利する。これもお決まりのパターン。わたしは我が家においてジャンケン無敗なのである。要するに、夫は毎日食器を洗ってくれる。

当初は、料理をしていない方が食器を洗っていたような気がするが、いつの間

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カメラを向けられて「いいおかお」をしていた

カメラを向けられて「いいおかお」をしていた

「いいおかお」というタイトルの絵本がある。松谷みよ子さんが文章を、瀬川 康男さんが絵を担当しており、この二人は誰でも一度は名前を聞いたことはあるだろう、「いないいないばあ」という絵本の作者だ。

ふうちゃんという女の子が、「いいおかお」をして座っているところから始まり、
「いいおかお見せて」と言って、ねこがやってくる。
そしてそのねこも「いいおかお」をして女の子の横に座る。

そして次々と動物たち

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大切なものを見失っていた記念日

大切なものを見失っていた記念日

朝から娘が騒がしい。こんな小さな体から、どこからこんな大声が出るのかというほどの声量で泣きながら、最近覚えたずり這いで、わたしの方に近寄ってくる。
「ちょって待っててね」
そんな娘を素通りして、キッチンに向かう。残念ながら、いつも抱き上げてやるわけにはいかない。こちらもお腹が減っているし、トイレにも行きたいのだ。

夫が在宅の時にはふたりで娘の世話をすることができるのだが、最近の夫は家にいないこと

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