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エッセイ

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#詩

年の瀬は傍若無人だ

2022年が今日で終わる。
私の22歳の1年間が終わる。大学生活が終わる。

今年は5年分位の濃さはあったと思う。

2回振られて、2回振った。
その出来事は動作動詞だけれども、心はずっとぬかるみを這いつくばってた。

誰も死んでないし誰も生まれてない。
でも、誰かと誰かの物語は死んだり生まれたりした。

苦しい経験だけど、いつか生きた証にできる日が来たら胸を張って「私はここにいる」と言えるのかな

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しいたけの狭間で

私にとってあなたはそれなりに人となりを知ってる顔見知り。友達でも恋人でもない。
強いて言うなら週に何回か上司になったり。行きつけの店がおなじとかそれくらい。

でも、どこか救いや希望なんだと思う。

あなたの彼女とも知り合い。よく話すしあなたからも話をよく聞く。

私の混沌とした日常の中の救済。
フォークリフトのバック音と荷物の山からちらりと見える疲れた横顔に救いを求めてしまう。

彼女が知らない

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わたし心と秋の空

夏、あんなに手の届きそうだった雲

秋になって、気づけば空高く、遠くに浮かんでいる。

穏やかで柔らかなひかりが降り注ぐ空には手を伸ばしても何も掴めない。

新しい季節の始まりに、手を伸ばす。

何にも届かない。

近くて遠くてそれでいて覆われている。

何も考えたくない、感じたくない私の横をいてつく秋風がかっさらっていく。

わたしは夏より弱くなった。

弱くなった訳じゃなくて、元のちからに戻っ

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すきなものは

好きなものはたくさんある。

それが合ってるか、そばにあるかは別として。

好きなものは、遠くても不可能でも近づきたいものだと思う。

その光に近づこうとすることこそが好きであること、つまり愛なんじゃないか、

人間は矛盾しているから、愛があるからストレートにいかない。遠ざかるくらいなら自ら離れようとすることもある。

人間の矛盾も弱さも私はいとおしいものだと感じる、

人が最も弱くなるのはその、

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アッシュトレー

基本的に灰皿は山盛りになる。
チャコールフィルターに文字が若干見えるくらいのやつが山盛り。

この灰皿はライブグッズだから大事にしてる。洗って錆びたりしないようにちゃんと拭いて乾かしたりなんかする。

彼氏も友達も煙草なんか吸わない。だから、ずっとあたしだけの茶色い山が出来る。

でも、ごく稀に、たまに、白い吸殻が混ざったりもする。

あたしは、チープなことが大好きだからそういうことに美学なんか感

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タコウェンズデー

タコウェンズデー

”Taco Tuesday”という言葉をご存じだろうか。

アメリカなどでは火曜日にタコスを食べるという習慣があるらしい。

この頃よく見る某料理系レトロYouTuberさんの影響で一人でタコパをしている。

日本食では味わえないあのスパイシーで爽やかな味はたちまち全ての悩みを吹き飛ばす。

そう、だがそれも一瞬のことである。

「あたしは学校に一秒も行かず、家でタコスをほおばる愚か者だ」という思

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ジャム

イチゴのヘタを取って鍋に入れる。

水と砂糖、蜂蜜を入れて火にかける。

甘ったるい奥にツンと酸っぱい匂いが立ちこめる。

イチゴを潰しながら勝てなかった戦を思い出した。

想いも、思惑も、愛も、努力も、そのピンクの沼の前では何もかも無力だった。

この鍋の中のように煮詰まっていって、しかし本質は変わらなかった。

私はどうして勝てなかったのか。何に負けたのか。どうして勝ちたかったのか。

たぶん

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