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生活すること

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生きるって何だろう?それは生活することなのではないだろうか────30才で伊東市にある海の街へ移住して感じたことを書いています。
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#私の仕事

人生が充実すると創作は進まない

人生が充実すると創作は進まない

人生が充実すると創作は進まない。創作は自身の内側へと向かっていく行為なので、誰かと遊びに行ったり、イベントをしたりなど、ベクトルが外側へと向くようなことをしている間は何も生み出せない。さらに、しばらくの間はベクトルが向いた方向からは戻ってこられない。加速したままいきなりUターンはできないように、ブレーキを踏みながら緩やかに減速して、一度は完全に止まる必要がある。風景画展でベクトルが外側へと向いた私

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私はやっぱりシンガーソングライター

私はやっぱりシンガーソングライター

熱海から新幹線に乗り換えて、名古屋へと向かう。街が変わると、空気が変わるのを顕著に感じるようになった。ツアーをしていた頃は全く気にしていなかったのに。伊東での暮らしは、私の五感をより敏感にさせたらしい。おかげで都会へ行くと鼻炎になるようになった。いいのか悪いのか…。特に名古屋の地下鉄に乗ると、帰ってきたなあ~と感じる。学校へ行く時も、バイトへ行く時も、ライブへ行く時も、何度も何度も吸ったあの懐かし

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創作とは何かと対話すること

創作とは何かと対話すること

私は一人でいることを全く苦に感じない。道端でご近所さんと世間話したり、干物屋のおじちゃんと話したりで充分満足できる。だから家族も友達もいない街へ移住できたのだろうけど。一人っ子なこともあり、一人の時間を過ごすサバイバル術みたいなものを幼少期のうちに会得したらしく、むしろ友達付き合いは苦手な方だった。ツアーミュージシャンになってからも旅の道中は一人だったし、どこかへ属したいという気持ちも全くない。一

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創作することは体の機能の一部

創作することは体の機能の一部

新しい机を買った。机自体を斜めにすることができるため、姿勢が前かがみにならない。先日、腱鞘炎になってしまったため何かを改善しなければと思い、まずは姿勢を直してみることにした。だから作業部屋には、大きな机が2つ並んでいる。1つは音楽やWEB系の作業をするため、今回買った斜めの机は絵を描くためだ。

ふと、高校生の頃の自分を思い出した。絵も描きたいし、音楽もやりたい。けれども進路は一つに絞らなければな

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目的地のない芸術

目的地のない芸術

風景画展の片付けや発送作業なども終わり、また以前のような落ち着いた日々が戻ってきている。スマホのカメラロールに撮りためておいた写真の中から描きたい風景を選び、新作を描き始めた。以前まではなんとも思っていなかった景色でも、時間が経つと全く違う見え方がして面白い。自分には必要がない、興味がないからといって遠ざけてしまうのはきっとよくない。自分が持っている振れ幅を自ら狭めているようなものだ。半年前までは

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見返りを求めない芸術でありたい

見返りを求めない芸術でありたい

売れたいという気持ちは、アーティストやクリエイターの多くが持つ感情だろう。私も20代前半ではそういう気持ちを持ったことがあるけれど、根本的には違うなと感じていた。だから私の口から、メジャーデビューや紅白歌合戦出場などの夢を語ったことはないと思う。メジャーへ行ったら好きなことをやらせてもらえなさそうだと思っていたからだ。私は皆んながやっていなさそうなことを見つけて、好き勝手にやりたいのがある。言って

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ステージへ

ステージへ

1年前に雨で延期になった野外フェス「HAKO FES企画 つるまいカホンパーク」へ、今年も出演させてもらえることになった。私の環境が変わりまくる中でも声をかけてくださったのが嬉しかったし、ハコフェスを野外でやってほしいとそそのかしたのが自分だったのもあり、この日はなんとしてでも出たいと思っていた。でも正直なところ、私はもう何ヶ月も藤森愛に会えていなくて不安だった。地区の集まりでカラオケを歌った時に

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表現者

表現者

私は自分のことを根っからのミュージシャンだとは思っていない。音楽の魅力に取り憑かれてしまい、それがないと生きていけない人たちと比べると、私と音楽の間には距離があると感じる。イラストレーターやライターだともあまり思っていない。職業を説明する時に、どれかの名前に当てはめなければ伝わりにくいからとりあえず選んでいるような感覚で、プロフィールを話す度に自分は何者なのかについて考えてきた。時と場合によってや

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作り続ける一日

作り続ける一日

朝起きると、昨日から降っていた雨は止んでいた。でも風がすごい。この街には、時たま台風みたいな強い風が吹く日がある。引っ越して初めてこの風を体験した時は、少し怖くて夜が眠れなかった。今はどんなに強風でも爆睡している。前日は雨で買い物に行けなかったから今日は行きたいのだけど、この風の中でクロスバイクを漕ぐと吹っ飛ばされてしまう。それくらいの強風。買い物のことは後で考えよう。いつものようにキッチンをデフ

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仕事と趣味の境界線

仕事と趣味の境界線

趣味は何ですか?と聞かれたら答えに困るかもしれない。やっていること全部が趣味なようで、趣味ではないからだ。この社会には、仕事と趣味の間に境界線がある。日本特有の文化らしい。その境界線は人それぞれで、お金をもらっていたら仕事だったり、趣味だからお金をもらわずに無償でやったりする。私も以前までは、仕事と趣味が明確に分かれていた。音楽活動は仕事であって、ライブもプロジェクトもない時はニートですなどとよく

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