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生活すること

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生きるって何だろう?それは生活することなのではないだろうか────30才で伊東市にある海の街へ移住して感じたことを書いています。
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2023年8月の記事一覧

静かに繰り返される生の美

静かに繰り返される生の美

朝起きて、台所をデフォルトに戻し、コーヒーを淹れて、窓を開けて、文章を書き、観葉植物へ水をあげる。このルーティーンをすると心が落ち着く。グラグラしていたものが真ん中へスッと戻ってくる感じがする。躁鬱人の私には一貫性というものがないから、ずれてしまった時計の針を合わせるように、毎朝のルーティーンが調整の役割をしてくれているのだろう。

躁鬱人は自分が今どの辺りにいるのかを認識しづらい。一貫性もなけれ

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漂う色彩に落ち着く日常

漂う色彩に落ち着く日常

目まぐるしく過ぎていく日々が少し落ち着く。久しぶりに何も予定がない日。洗濯物を干して、掃除機をかけて、ずっと気になっていた冷蔵庫の中を掃除した。この家に住み始めてから家事をするのが好きになった。自分がこだわりまくった好きなものしか置いていないからかもしれない。好きなものの状態はやっぱり綺麗に保っておきたい。

いただいていたデザインの納品を済ませて、新しい風景画の制作に取りかかる。今まではずっとA

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見えている世界への問いかけ

見えている世界への問いかけ

私にとって絵が描けるのは当たり前なことであり、なぜ描けるのか説明できないものでもある。漫画家になりたかったから描く絵はいつも空想上の人物ばかりで、模写をしていた記憶はほぼない。それでもなぜ今、風景画が描けているのか。それは、これまで脳内で映し出される空想上の映像を現実世界へ持ってくることで鍛えられた画力と、私が現実世界で見えるようになった視点が合わさり、風景画という形になっていると予測している。

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ここにないものを求めてしまうのは

ここにないものを求めてしまうのは

先日のインタビューで夢や目標は何ですか?と聞かれて、ありませんと答えた。これではインタビューの意味がない(笑)だけど本当にないのだ。今の私は、海がある街で作品を作り続けられることで完全に満たされてしまっているため、これ以上どうこうしたいが思い浮かばない。明日のことすら想像できていない。2週間後のことを考えなければならないとなると、少しソワソワする。世間一般的にはこれを、堕落した人間と言うのだろう。

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寂しさは認知している世界の狭さから

寂しさは認知している世界の狭さから

ずっと漠然とした寂しさを感じていた。一人は好き。でもいつも心の片隅に寂しいが膝を抱えて座っている。その寂しさの正体が分からず誰かに会ってみたり、どこかへ行ってみたり、何かをやってみたりしたけれど埋まらない。ライブハウスへ行けば音楽仲間がいて、会場にはたくさんのお客さんがいて、お茶をしに行く友達もいて、実家へ帰れば家族もいる。これのどこが寂しいのだろうか。その得体の知れない寂しさがどこから来ているの

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頑なに引っ張らない

頑なに引っ張らない

ここ1ヶ月の間に何度か落ちた。でもすぐに真ん中へ戻すのが上手になってきた。真剣に休めば数日で元に戻せる。転ぶのを怖がっていたらいつまで経っても自転車に乗れないように、揺れるのを怖がっていたらいつまで経っても暮らしを楽しめない。一時期は心の揺らぎが怖くて誰かに会うのも、どこかへ行くのも躊躇していた。薬で初めて知った安定した自分に寄りかかりたくなってしまうのだ。だけどいつかは補助輪を外して自転車を漕が

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そこにあると気づくこと

そこにあると気づくこと

目が覚めたら9時だった。10時間ぐらい寝てしまったらしい。ここ1、2週間色んなことがあったため、流石に疲れていたようだ。コーヒーを淹れて文章を書こうとしたけれど、言葉の出が悪い。久しぶりに書こうとすると、どうやって書いていたのかを思い出すところからになる。観葉植物たちに水をあげていると、皆んな少しずつ大きくなっていることに気がついた。小さな新芽がにょきっと顔を出していたり、枝が窓の光に向かって伸び

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書くことが好きな理由について

書くことが好きな理由について

書くことが好きだ。というよりも考えることが好きだ。文章は考えていることを即座に保管するツールに適していると感じる。今日は書くことがなぜ好きなのかについて噛み砕いていきたいと思う。

さっきも言ったように、「書くことが好き=考えることが好き」という方程式が成り立つと思っている。書くことがないと悩んでいる人は、そもそも書きたくなるほど考えていることがないのではないだろうか。書くことが好きな人は日々ぐち

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無敵ではない人

無敵ではない人

風景画展が始まり、少し慌ただしい日常を送っていた。お店での搬入作業をし、初日ではたくさんの方が来てくれて、テレビの取材も2本受けた。そして私は今、鬱に入って動けなくなっている。スマホの今月のギガ数が足りなくなるみたいに、キャパオーバーになってしまっているようだ。以前までは波があるのを隠していたから、側からしたら上手くいっている部分しか見えず、無敵な人に思われていた節がある。移住して1年も経たないう

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私の安定剤

私の安定剤

マガジンの記事がもうすぐ100本になる。でもマガジンに入れていない記事や、ボツにした記事もあるからとっくに100本は超えているだろう。全て自分で作詞作曲・演奏・アレンジ・レコーディングした、4曲入りの新譜もリリースできた。風景画は30点を超えている。移住してからの半年間でたくさんの作品を作ることができて、我ながら上出来だと思う。自分を支えるのは他者からの評価ではなく、これだけ作ったという事実だ。も

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