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ウクライナ領に繰り広げられる米露のダーティな闘い。

続く闘い

昨日(3月7日)時事通信が『原発攻撃に非難殺到=ロシアは「うそ」と否定―安保理』というネット記事を出した。記事そのものは数多い他の記事と変わらず、一例に過ぎないが、要は露がウクライナ国内原発を攻撃し欧州全土を危機にさらしているという西側の主張とこれを否定する露の反論を取り上げている内容となっている。日本のメディアは少々後れを取っていると言わざるを得ない。英文メディアと政治家の発言の和訳が主たる業務だから、当然のことだ。

一大事の様に騒がれたが、3月5日時点で既にIAEA(国際原子力機関)から該当の原発が無事に再稼働しているとの声明が出ている。露防衛省に言わせると、そもそもこれはウクライナ側の意図的な挑発で、逃げるついでに原発に火をつけようとしていたのもウクライナ工作員の集団の様だ。この原発は(ザポロージェ原発)ソ連(後に露)が1984∼1995年立てた原発で、6つのブロックから構成され欧州域内最大級の原子力施設。当然、安全面4段階対策が取られており、生半可なものではない。そして、上述のIAEA声明にもあるが、原発の建物自体には何ら影響はなく、火災(爆発)が起きたのは近くの練習センターだった。しかし、ヒヤッとしたのは露の方だ。

原子力発電 → 核兵器

ウクライナには現在合計15の原子炉(VVER-1000×13箇所、VVER-440×2箇所)を所有する4つの原子力発電所が稼働している。もちろん全部旧ソ連時代の技術を元に設計、建設されている2014年のクーデター以前は、ウクライナは核燃料の調達は言うまでもなく、露と協働で原子炉の増設まで決めていた。しかし、2014年の4月、米ウェスチングハウス社(どこかで聞いたことがある様な)と、同社からの核燃料調達に関する契約を締結している。2021年末時点で、上述VVER-1000 13箇所の内6箇所でウェスチングハウス製の燃料が使われていた。 日本国内で注目を数年前まで浴びていた東芝―ウェスチングハウスM&Aの関連でも原子力プラントの違い(沸騰水型、加圧水型)について言及する専門家がいたし、素人である自分からは核燃料の調達先を変えることでついて来るリスクに関する言及を控えたい。ただ、老朽化による事故が多発していることと、2011年にウェスチングハウス製燃料調達を試みたウクライナが2012年に発生したトラブルで同社との取引中断を余儀なくされていたことは事実なのだ。挙句の果てに、2021年8月、同社と新規に総額$300億といわれている4つの原子炉建設について合意に至った。この辺の情報を鑑みると、ウクライナのこの判断は、安全性よりも政治のベクトルに合っている言える。
一方、2月19日、ウクライナのゼレンスキー大統領のミュンヘンでの演説にも、核兵器保有を禁止するブダペスト条約の見直し(脱退)の示唆があった。また、露防衛相を始めウクライナには放射性物質散布装置の作成に必要な力と資源があると警鐘を鳴らす露の専門家もいる。露からみると、英外相を始め、西側から大量破壊兵器の利用を踏む挑発があり、窮地に立たされている感じもしないでもないだろう。売り言葉に買い言葉となって、プーチン大統領が軍に対し、抑止力を特別態勢にするよう指示した。

上:生物兵器研究所、下:露空軍攻撃地点

米協働 生物兵器研究所

もう一つあるのは、米がウクライナ国内に配置していた生物兵器研究所の話しだ。数週間前に露外相も言及していたが、とうとう露防衛相も実現場を確認したと発表した。その露防衛省曰く、露の特別軍事作戦が開始されるや否や、ウクライナ健康省がこれらの研究上に纏わる書類と危険な病原体の掃滅を指示している。公に『バイオ脅威低減プログラム』と称される取組にも拘わらず、これらのバイオラボ(実質:生物兵器研究所)関連資料を米駐ウクライナ大使館ウェブページから削除する必要性がなぜあったのだろう?理由は兎も角、既にネット中を飛び回っているので隠せるものではないが。流出している資料が本物だったら、米国DTRA(国防脅威削減局)の資金で、ウクライナ(とジョージア)で人体実験を含む生物兵器の研究が行われていたことになる。ちなみにこの類の研究所は旧ソ連域内に多数あり、当然ながら米から厖大な資金が投入されている。露国境沿いのこの動きを露が把握していなかったと思えない。そして、露のウクライナでの特別軍事作戦が開始された2月24日に同類の研究所、2箇所(キエフとオデッサ)の稼働開始が予定されていたのは偶然なのか?とてもそう思えない。

米防衛省バイオラボが配置されいる国

全世界が露に反対しているとの報道が連日流されている中、俄かに信じがたいことだが、露が今回の特別軍事作戦に向けて相当準備を重ね、勝算があったのではないかと思えてくる。

PS

露政府が3月5日、それまで米とチェコの2か国のみだった『日友好国リスト』に、日本やEUを含む46の国と地域を追加した((計48の国と地域)と7日報道された。これに対し、松野官房長官が『日本の国民や企業に不利益が及ぶ可能性のある措置を公表したことは遺憾であり、抗議をした』ようだ。一方の露はどういうつもりなのか?個人的には、露が『特別態勢』に引き上げている抑止力の次の的になりうる場所を示しているのではないか?と危惧している。世界平和を祈るばかりだ。

 今日はここまで。

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