【採用活動】なぜ「とりあえず採用してから育てる」は危ないのか?
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
現在、大手企業、中小企業問わず、限られた「いい人財」の争奪戦が激化していることは、先日のnoteでもご紹介しました。
そんななか、いい人財がコンスタントに集まる会社が存在します。
それは、御社が有名だろうと、無名だろうと、関係ありません。
それは、御社が大手だろうと、中小零細だろうと、関係ありません。
「売り手市場」でも、採用がうまくいっている会社があります。
「同規模の中小企業」でも、採用がうまくいっている会社があります。
「同業界」でも、採用がうまくいっている会社があります。
「同条件の企業」でも、採用がうまくいっている会社があります。
では、いい人財が「集まる」会社は、どういう考え方で採用活動をし、採用戦略を練っているのか?
そんな疑問や課題を解決するための思考法&実践法を完全公開し、ロングセラーとして高評を博してきた『いい人財が集まる会社の採用の思考法』(2019年刊)という本があります。
採用バイブルとして好評いただいた1冊が、約4年の年月を経て、来たる10月10日に【増補改訂版】としてパワーアップして刊行されることになりました。
大幅加筆の分量は、驚きの200ページ超……!
新たに加わった図版分量も旧版の2倍以上!
総ページ数は472ページという大作です。
もはや、旧版に書籍1冊分がプラスされたと言っても過言ではありません。
著者は、中小企業の採用コンサルのスペシャリスト・酒井利昌さん。監修は、ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者としても知られる経営学者・坂本光司先生。
今回は、同書発売に先立ち、このnoteで特別に、同書の「はじめに」を全文公開します。
*
はじめに――あの会社はどうして優秀な人財を採用できるのか?
「いろいろな求人方法を試しながら、採用活動をしてきた。それでも、なかなかうまくいかない」
◎求人数は増えているし、なかなか認知されにくい……。
◎他社との待遇面の競争にもさすがに限界がある……。
◎求職者にどうアピールしていいかわからない……。
その悩み、よくわかります。
実際、私はそのようなご相談をほぼ毎日受けているからです。
一般的に求人数は2年前と比較して倍増しています。人財獲得競争は激しさを増し、自社に入社してもらうにはどうしたらいいか、試行錯誤を続けている経営者、採用担当者の方が本当に多くいます。
今、この本をお手に取ってくださったあなたもその1人でしょう。
これから、ますます人財獲得競争は激化していきます。
このまま採用できないと、会社の成長はストップし、衰退することも想定しなければならないかもしれません。
◎採用できないために、マンパワー不足が足かせになり、思い切った戦略が実行できない。
◎採用できないために、組織が疲弊し、退職者が出てしまう。
◎事業そのものにはしっかりとした市場(マーケット)があり、ポテンシャルがあるからこそ、これからどんどん仕掛けていきたい。
それにもかかわらず、採用できないことがすべてを台無しにしている――。
もしあなたがそんな状況にあるのなら、なんとも歯がゆいことと思います。
目標を絶対達成させるコンサルタント
私は企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタントです。
取締役を務める株式会社アタックス・セールス・アソシエイツは、「絶対達成する会社を1社でも増やす」という理念を掲げ、クライアント企業の目標を絶対達成させるために、営業コンサルティング事業を展開しています。
世の中には数多のコンサルティング会社、研修会社がありますが、他社との決定的な違いは、私たちが何よりも「結果」にこだわっている、ということです。目標を絶対達成させる営業コンサルティング会社と名乗っている以上、何より「結果を出す」ことをゴール(目的)に支援を行なっています。
ですから、現場指導は、社員個人の能力やスキルを向上させるだけに留まりません。
個人のみならず、外部環境の変化に左右されず、安定的に結果を出し続ける、そんな強い組織をつくり上げることを私たちはミッションとしています。
代表取締役社長の横山信弘は、『絶対達成する部下の育て方』(ダイヤモンド社)、『「空気」で人を動かす』(フォレスト出版)、『最強の経営を実現する「予材管理」のすべて』(日本実業出版社)などの著書でも有名なコンサルタントですし、「壁マネジメント」と呼ばれる独自のマネジメント手法を世に送り出し、ベストセラー『結果を出すリーダーほど動かない』(フォレスト出版)など3冊の著書を出す山北陽平も当社のコンサルタントです。
他にも非常に個性的なタレントが在籍しており、その全員が目標を絶対達成させるためにコンサルティングをしています。
そんなタレント集団に在籍する私も、年間250回以上の研修、セミナー、コンサルティング支援に従事し、これまでに営業にかかわる人だけでも累計3000人以上のビジネスパーソンに対して、現場指導や研修を行なってきました。
私の仕事は、「結果を出す」ことです。
中堅中小企業であれば社長から、一部上場企業であれば事業責任者から、「自分たちでは限界があるから、なんとかぜひお願いします」と言われ、コンサルティングに入ります。
そして、実際に結果を出してきました。支援1年目から過去最高利益を達成したり、支援開始から2年連続で前年売上額115%アップを実現したりと、目標達成はあたりまえで、それを上回る結果を出すことも珍しくありません。
目標達成できない原因を探って見えてきたもの
しかしながら、すべてのコンサルティング先ですぐに結果を出してきたかというと、決してそうではありません。結果を出せないまま、共に試行錯誤を繰り返し続けているクライアントが存在します。
結果を出せないのはなぜなのか、絶対達成コンサルタントである私は、24時間365日考え続けます。
◎部下たちの基礎力が不足しているから、別に研修を行なって鍛えよう。
◎マネジャーが部下たちに正しく指導できていないから、マネジメントルールを整えよう。
◎改めて外部環境分析を行ない、社長と営業戦略を策定しよう。
現場指導は、いつもこのように試行錯誤の繰り返しです。100%正しいプランは存在しません。プランを実行したら、確実に結果が得られるというものは世の中にありません。ですから、コンサルタント自身が現場の人たちと一緒になってPDCAサイクルを回していくのです。
多くのクライアントが正しくPDCAサイクルを回すことで結果を出していくなか、結果が出ない会社がありました。やっていることは間違いありません。それでも結果が出ないのです。
従業員数250人の専門商社――。
ある日の現場でのミーティング終了後、この会社のあるマネジャーが私を別室に呼んで、矢継ぎ早にこう言ってきました。
「うちのメンバーたちは、初めから目標を達成する気があるとは思えません」
「酒井さんの言うとおり、マネジメントしていますが、言ったことを本当にやりません」
「こちらからどうなっているのかと聞かない限り、報告も連絡も相談もしてきません」
「管理システムへの予材状態の入力すらもやったりやらなかったり、です」
「うちの人事に言ってやりたいですよ。何やっているんだよって。即戦力をちゃんと採用しろよって」
このような発言をするマネジャーに対して、いつもは「自責と捉えなければダメだ」と一喝する私も、このときばかりはその言葉が出てきませんでした。
「原石を磨けば、いつかダイヤモンドになる」
どこかで私はそう思っていました。
新入社員からマネジャー、経営幹部まで3000人以上のビジネスパーソンの指導に携わってきましたが、「育成により、人は変えられる」と信じて、これまでやってきました。
しかし、同時にいくら鍛えても結果を出せない人材がいる事実にも何度か直面してきました。
そして、このとき悟ったのです。
どんなに磨いても、石ころは石ころだ。ダイヤモンドにはならない──。
すぐに私は、社長に電話をしてこう言いました。
「人財採用をもっとちゃんとやらなきゃダメです」と。
社内の空気が変わった要因
それから私は、前職時代に知得していた採用ノウハウを、当社の絶対達成コンサルティングと融合させ、この会社で徹底的に実践しました。
その結果、この会社はどうなったか。
売上は1・7倍になりました。業績を上げた要因は、「社内の空気の変化」です。
1〜2人しか入社がなかった大卒人財が、今では毎年安定的に10人採用できるようになり、その過程で組織風土が劇的に改善され、30%を超えていた離職率が1%以下となりました(3年間で離職した人数はたった2人のみ)。
今では、社員たちはお互いを支え合い、全員でどんなに高い組織目標でも達成しようという活気に満ちあふれています。
この経験を通じて、私は次のようなことを実感しました。
◎経営目標を達成させるには、採用が本当に大事である。
◎育成には限界がある。
◎素材の目利き力こそが経営力である。
◎採用を間違えたら、「爆弾」を背負うようなものである。
◎採用ミスによる組織へのダメージは計り知れない。
◎付加価値を生み出す「いい人財」を採用しないと意味がない。
それからというもの、私は営業コンサルティングの傍ら、採用コンサルティング事業を開始し、クライアント企業の単年目標を絶対達成させるのはもちろん、外部環境の変化に左右されず、安定的に結果を出し続ける強い組織をつくり上げるご支援を日々行なっています。
採用がうまくいっていない会社の共通点
採用がうまくいっていない会社には、ある共通点があります。
それは、
「採用活動を一所懸命にやっていない」
ということ。
「ふざけんじゃない、やっているよ!」と、もし気分を害されたとしたら、申し訳ありません。
ただ、私がこれまで膨大な数の会社を見てきて、採用がうまくいっている会社に共通しているのは、まさに「一所懸命やっている」ことなのです。
「一所懸命」という言葉は、鎌倉時代の頃の武士たちが先祖代々伝わっている土地など(所領)を命懸けで守ったことに由来しています。
まさに「命懸け」で採用に取り組む。
人は、これを実践している会社に惹かれ、事実、優秀な人財ほど、そういった会社に集まっています。
採用市場における、偽らざる事実
ここで、ズバリお伝えしたいことがあります。
採用は、競争であり、勝ち負けである──。
これは隠したくても隠せない、明白な事実です。
大手求人会社が公表しているデータがあります。
◆転職求人数は、2019年と比較して約2倍に増加している。
◆求人倍率は2・26倍で、現基準での集計を開始した2019年1月以降で最高。
◆2022年度下半期の中途採用にて、「確保できなかった」と回答した企業は52・7%であり、「確保できなかった」と回答した企業の割合は前年度からプラス7・3%ポイントと増加している。
◆「確保できた」企業(45・8%)と「確保できなかった」企業(52・7%)の割合差(「中途採用確保D.I.」)は、全体でマイナス6・9%ポイントとなり、比較可能な2013年度下半期以降、最も低い値となっている。
◆「中途採用確保D.I.」を従業員規模別にみると、すべての従業員規模でマイナスとなっている。特に、1000〜4999人企業でマイナス13・4%ポイント、300〜999人企業でマイナス11・3%ポイントと低水準となっている。
新卒採用でもこの傾向は同様です。
◆全国の民間企業の求人総数が前年の70・7万人から77・3万人へと6・6万人増加している。
◆学生の民間企業就職希望者数は、前年44・9万人とほぼ同水準の45・1万人である。
◆つまり、求人に対して、32・2万人の人財が不足している。
◆学生の希望については、300人未満企業では4・3%、5000人以上企業で
は4・5%それぞれ減少している(300〜999人企業を希望する学生が3・5%、1 0 00〜4999人企業では5・7%増加)。
◆300人未満企業の大卒求人倍率は6・19倍となっている。
このデータから読み取れることは、採用とは「限られたパイの奪い合いだ」ということです。
営業の世界で「他社の売上が上がったら、自社の売上は下がるのか?」というと、そんなことはありません。
しかし、他社が採用する人を増やしたら、自社が採用する人は減ります。
営業は競争ではありません。しかし、採用は競争なのです。
そして、この競争に勝つか負けるかは、「一所懸命やっているか」「片手間でやっているか」の差になります。
本書では、付加価値を生み出す人財を採用し、成長し続けている会社に共通する「採用」に対する考え方、ノウハウ、実践法を完全公開します。
事例を豊富に盛り込んで解説しますので、採用がうまくいっている会社が、いかに採用活動に取り組み、仕組みとして人財を集めているかを知ることができます。
また、自社で実際に応用できるよう、ノウハウを体系化して紹介しています。
「とりあえず採用してから育てる」は危ない
人事労務分野の情報機関が2022年10月にまとめた実態調査が興味深い事実を示しています(出典:産労総合研究所「2021年度教育研修費用の実態調査」https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/kyoiku/kyoikukenshu/pr2210.html)。
企業の教育研修費用予算額が増加し続けています。
◆教育研修費用総額の2021年度実績額は5221万円、2 020年度実績額と比較すると、596万円の増加。
◆従業員1人あたりの教育研修費用の2021年度実績額は2万9904円で、前回調査より5063円の増加。
◆2021年度と2022年度で予算額を比較すると、「増加」49・3%、「減少」35・3%で、4年ぶりに増加が減少を上回る。
◆教育研修費用総額の今後1〜3年の見通しは、「増加」とする企業(かなり増加+やや増加)が55・8%と半数を上回る。
この数字から、人手不足が深刻化するなか、人財を外部に求めるのではなく、社内の人財をいかにして育てるかに企業が取り組んでいることが見て取れます。
私もその恩恵を受けて、ありがたいことに数年先までスケジュールが埋まっている状況です。
しかし、あえて言いたいのです。
間違えた人を採用したら、どんなに教育してもムリなものはムリ──。
どんなに腕のいい料理人であっても、素材が悪ければ、何ともなりません。味を良くするにも限界があります。
変化の激しい今こそ、いい素材の仕入れ方法を改めて知っておくべきなのです。
採用の考え方、やり方が劇的に変わる
あなたが本書を手に取っているということは、採用のやり方を改善しなければならないと真剣に考えておられる証でしょう。
本書では、採用のやり方を改善するために必要な重要エッセンスを凝縮してお伝えしていきます。
第1章「採用をなめてはいけない」では、採用がうまくいっていない会社が陥りがちな採用に関する大きな勘違いを指摘しつつ、採用が会社にとってどれだけ大切なのかをロジカルにお伝えしていきます。
第2章では、いい採用ができない会社に共通する5つの理由について事例を交えながら詳しく解説していきます。
第3章では、いい採用を実現するために重要なエッセンス「誰を採用するか」について、前提となる考え方を提示していきます。
第4章では、いい採用を実現するための戦略策定ステップを大きく5つに分けて解説します。
第5章では、いい採用を実現させるための採用プロセスの設計、求人票やスカウトメールの書き方、面接や内定者フォローの仕方など、詳しく解説します。
「思考法」というタイトルからお察しのとおり、単に「これをやるとうまくいきます」といったことは書いていません。
あくまで「この思考の手順で採用活動をやるとうまくいきます」といったことを書いています。それも「ずっとうまくいきます」と。
時短を求める人にとっては、説明が長いと思う箇所があるかもしれません。でも、思考法ですから、説明は長くなります。
また、本書をいわゆるノウハウ本にはしたくないという意図もあります。ノウハウであれば、ネットで見つけることも難しくないからです。
私はこの本を通して、あなたが採用について見つめ直す、そんなきっかけをおつくりできればと思っています。
もし、あなたが最近の採用マーケットに精通しており、すぐにいい採用を実現させる具体的なステップを知りたい場合は、第3章や第4章からお読みいただいてもかまいません。
なお、本書では、あえて「人材」ではなく、「人財」と表記しています。
少し違和感を持たれるかもしれませんが、企業にとって社員とは、財産のように貴重な存在であるという意味を込めて、あえて「人財」と表記することにします。
自社にとって、本当の意味で「財産となる人」はどのような人なのか。
どのような人であれば、活かすことができるだろうか。
どのような人だと活かすことができないだろうか。
人は生きている以上、価値のある存在です。
自社でその価値を最大化できるか否か、企業側はもっと真剣に考えねばなりません。他社に行けば輝いた人を自社が採用してしまったがために、その価値を無為にしてしまう場合だってあります。そのようなミスマッチは避けなければなりません。
本書が、貴社の採用活動を変えるきっかけとなり、新しいことにチャレンジし、業績を伸ばし続けるためにお役に立てるなら、著者としてこんなにうれしいことはありません。
▼同書の「目次」をご覧になりたい方は、下記の記事をご覧ください。
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いかがでしたか?
元本に比べて図表も倍増、特に第4章、第5章は、ほぼ今回の増補改訂版の書き下ろし原稿となっています。人財不足で悩む中小企業のために、いい人財を集めて、見抜き、つかまえ、離さない技術を徹底解説した新刊『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』は、Amazonでは10月10日からネット書店および全国書店で順次発売されます。興味のある方はチェックしてみてください。
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