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御社の採用がうまくいかないのは、「相手を知らない」から

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
いい採用ができる会社とできない会社は何が違うのか?
 
その命題に対して、中小企業の採用コンサルのスペシャリスト・酒井利昌さんは、いい採用ができない会社に共通する5つの理由を挙げています。
 
①(採用活動を)片手間でやっている。
②(いい人財が採れないことを)他責にする。
③(求職者である)相手を知らない。
④採用マーケットを知らない。
⑤(採用活動の)計画性がない。
 
酒井さんの新刊『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』では、これらの5つの理由と対処法について詳しく解説しているのですが、前回のnoteでは「大企業のいい採用ができる理由は、知名度以外にある」というテーマで、「①(採用活動を)片手間でやっている」について紹介しました。
 

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今回は、「③(求職者である)相手を知らない」について、10月10日より順次発売開始となった同書の中から該当箇所を全文公開します。


知らなければ、戦略も立てられない

 売れる営業パーソンと売れない営業パーソンのシンプルな違い、3つ目は、「相手を知らない」ということです。
 営業という仕事は、突き詰めていくと、「お客様の問題を解決する仕事だ」と私は考えています。
 お客様の【あるべき姿(=ありたい姿)】に対して、そうなっていないという【現状】があれば、そこに【ギャップ】が存在します。
 たとえば、行きたい場所が【札幌】であるのに対して、現在地が【東京】であるならば、そこに【ギャップ】が存在します。直線距離にして、約832㎞のギャップです。
 このギャップを埋めることが、すなわち解決すべき【問題】です。その問題を自力で解決できるなら、他人の力は必要ないわけです。
 しかし、自力で解決できない場合、そこには何らかの【課題】があります。
 課題とは、問題解決(=ギャップを埋めること)のために取り組むべきテーマと言えます。自力で東京から札幌に行けないとしたら、そこには何らかの【課題】があるはずです。
 課題は、たとえば「飛行機で行く資金がない」とか「資金はあって予約もしてあったんだけど、大雪の影響で欠航になってしまった」とか。
 仮にあなたが旅行代理店の営業なら、そういった状況のお客様にどう対処するでしょうか?
 札幌に着きたい時間も把握したうえで、解決策を提示しなければなりません。
 時間に余裕があれば、「東北・北海道新幹線のはやぶさ」と「JR特急」で行く方法を提示するかもしれません。天気予報を確認して天候の改善が予測できるなら、空港に留まって、運行再開してすぐの便を予約することを提示するかもしれません。
 このように、課題を解決するには、プロセスが必要です。
 まずは、そもそもの【あるべき姿】を知ることがスタート。
 そして、その次に【現状】を知ること。
 そうすることによって、自ずと二者間の【ギャップ】を捉えられます。
 次に、このギャップを埋める【期限】を知ること。いつまでにギャップを埋める必要があるのかがわかれば、手段の選択肢が限られてきます。
 そして最後に行なうのは、その選択肢のなかから、最良の解決策を提案することとなります。

求職者について知っておくべきこと

 この一連のプロセスのなかで、重要なキーワードは「知る」ということです。
 あるべき姿と現状を「知らない」ことには話になりません。
 期限を「知らない」と解決策を正しく提示することができません。
 売れる営業パーソンは、お客様の【あるべき姿】【現状】【期限】をあらゆる角度からヒアリングします。お客様自身も言語化できず、気づいていなかったことをヒアリングすることで、顕在化させることもあります。
 そして、お互いの認識を揃えたうえで、最良の解決策を提示するのです。
 一方、売れない営業パーソンは、お客様の【あるべき姿】【現状】【期限】のすべてかいずれかをヒアリングできていません。
 営業パーソンはこれらを言語化できません。そして、言語化ができていないにもかかわらず、提案してしまう。それでは、売れるはずがありません。
 これでは営業とは言えません。これは営業ではなく、「売り込み」です。相手を知らずに、売りたいものを売る行為は、営業ではなく、売り込みです。
 お客様の問題は何か?
 お客様が解決すべき課題は何か?
 その課題(ニーズ)に対して、解決策を提示し、価値があると認められれば、正当な対価をいただく。これが営業活動であり、企業活動です。
 ここで認識を持っていただきたいのは、採用活動も企業活動の一部であるということです。
 新卒学生が就職先に求めていることは何なのか?
 中途の場合はどうだろうか?
 就職活動において困っていることは何だろうか?
 就職活動をするにあたって、どんな情報が必要なのだろうか?

 たとえば、大手就職情報会社が調査した、「(求職者が)企業研究を行なう上で知りたい情報」のベスト5は、次のとおりです。
 1位「実際の仕事内容」、2位「社風」、3位「給与水準・平均年収」、4位「他社と比べた強み・弱み」、5位「求める人材像」。近年注目が高まっている「柔軟な働き方の制度・実態」という項目は10位以内に入っていません(出典:キャリタス就活「2024「学生モニター調査結果〈2023年3月発行〉」 https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/202303_gakuseichosa_kakuho.pdf)。
 このような採用・就職関連の情報は、各就職情報会社が随時調査結果を発表しており、ネットで入手することは可能です。採用担当者や経営者は、これらの情報をこまめにチェックして、求職者のニーズや考え方を把握しておきたいものです。
 採用するとは、目の前の学生や求職者の人生を「預かる」ことです。
 相手の人生の目的を知り、自社に入社することで得られる価値とは何なのかを伝えることこそが採用活動なのです。

情報は、待っていても入ってこない

 また、トレンドとして求職者の思考を掴んでおくことも重要です。
 20代が採用ターゲットであれば、20代の職業観、流行していることなどは押さえておくべきです。
 就職情報会社が各種調査を定期的に発信しています。他にも「さとり世代」や「マイルドヤンキー」という流行語の生みの親である原田曜平さんの情報も参考になるかもしれません。
 あえて若者が使っているアプリを使ってみたり、コミュニティを覗いてみたり、積極性を持って情報を取りに行かなければ、「知ること」はできません。
 最近は、働く価値観も多様化しています。
 たとえば、プロジェクト型のオンラインサロンに集まる人たちは、会費を払ってコミュニティに所属し、そこでクリエイティブなアウトプットを世に出しています。
 つまり、お金を「もらって」働くという価値観ではなく、お金を「払って」働くという価値観なのです。
 相手を知らずに、採用活動をしているとしたら、それはもはや「売り込み」になっているかもしれません。
 
▼同書の「目次」をご覧になりたい方は、下記の記事をご覧ください。

【著者プロフィール】
酒井利昌(さかい・としまさ)

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 取締役/採用コンサルタント。
1981年、愛知県みよし市生まれ。南山大学総合政策学部卒業。学習塾の教室長、人材会社の法人営業担当兼キャリアアドバイザーを経て、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツに入社。アタックス入社後は、採用コンサルティング事業を立ち上げ、営業コンサルタントとの二刀流で、年間250回以上の現場支援、研修、セミナーに従事。採用コンサルタントとしては、超売り手市場のなか、これまで携わった会社すべてが短期間で採用目標達成を実現。支援してきた職種は、営業、SE、施工管理、警備員、建築・土木関連職、物流管理、製造現場職人、デザイナー、清掃、配送、機械メンテナンス、店舗接客、事務職など多岐に及ぶ。採用できない会社が自力で採用できる会社へと変わっていることから、これからも「強くて愛される会社を一社でも多く世に生み出す」「絶対達成する会社を一社でも増やす」ために、人財の採用から育成、戦力化までを一貫して担うコンサルタントとして、全国の会社に伴走し続けていく。
 
【監修者プロフィール】
坂本光司(さかもと・こうじ)

経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長。徳島大学客員教授。
1947年静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。他に、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行副委員等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。著書にベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)』(あさ出版)など多数。アタックスグループ顧問。

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