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拙著『フェリックス・ユスポフ公爵の暗殺計画』紹介
・作品の背景について フェリックス・ユスポフ公爵はグリゴーリー・ラスプーチンの暗殺の首謀者です。共に暗殺を遂行した人物の中には皇族も国会議員もいました。だが、皇帝ニコライ二世、とりわけ皇后アレクサンドラ・フョードロヴナは血友病の皇太子の苦痛を癒してくれるラスプーチンに心酔しており、国政の舵を取っていたのは実質的にはラスプーチンでした。ラスプーチンの周囲の上流社会には醜聞が絶えず、その国政干渉に憤っ
もっとみる拙著『さまよえるコジマとリヒャルト・ワーグナー』紹介
ワーグナーについてワーグナーの楽劇が好きで好きで堪らない。《ローエングリン》を聴いても、《タンホイザー》を聴いても、《トリスタンとイゾルデ》を聴いても、《ニーベルングの指環》を聴いても、感涙を流さずには居られない。途切れずに演奏される音楽のどの部分にも、不思議な温かさと共鳴を覚え、ワーグナーの魂を認識し、涙が迸る。ああ、何とかワーグナーに近づきたい。彼の異様な奢侈ぶりや、ルートヴィヒ2世の好意に甘
もっとみるKindleで発売中の拙著「女たちは列に並んだ アンナも列に並んだ」について
帝政期ロシアで愛の詩を書き、素晴らしいパフォーマンスと共にそれらを朗唱して一世を風靡した美貌の詩人アンナ・アフマートワは、ロシア革命後、一切の詩の発表を禁じられ、政治犯として無実の罪で投獄された一人息子への差し入れのために、猛暑の夏も厳寒の冬も名も知らぬ女たちの長蛇の列に一日中並ぶことを余儀なくされた。女たちの夫や息子たちも皆、不運にも密告され、罪状なきまま深夜に逮捕されたのだ。アンナの夫は政治犯
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