マガジンのカバー画像

一日一記

479
江草が毎日何かしら考えたことを書く日記みたいなプロジェクトです。 2023年2月から一時的にお休み中でしたが、10月13日より再開します。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑨

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑨

感動のフィナーレ。

というわけで長々と続けてきた「時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい」シリーズ。
一通りとりあえず話したいことは話せましたので最後のまとめと参りましょう。

ざっくりと流れを振り返りますと、

私たちは時間がかからないもの(インフォ・プアーなもの)に時間をかけないようにして、その上で時間がかかるもの(インフォ・リッチなもの)にこそ時間をかけたいと自然に願うも

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑧

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑧

超続き。

なんやかんやあって「時間をかける訓練」を欠いて生きてきてしまった私たち。それゆえ「時間のかけ方」が分からずに「時間をかけないこと」ばかりで毎日が、人生が、埋め尽くされていってしまっています。
泣き言も文句も言いたいところですが、とりあえず現状できるかぎり自分たちであがいてみたくはなりますよね。

というわけで、ここからは「時間をかける訓練」の具体的な方法を考えていきましょう。

といっ

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑦

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑦

続きの続きの続きの…続き

時間が貴重になった現代だからこそ「時間が貴重と知りつつもあえて時間をかける訓練」が必要になのに、私たちにはこの肝心の「時間をかける訓練」が欠けているという話まで来ましたね。

これまでの話でもうお分かりの通り、ここで言う「時間をかける」というのは「時間をうまく使う」という意味とは異なります。
それこそ「スクリーニング戦略」なんてのは「時間をうまく使う発想」なのですが、そ

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑥

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑥

続きまくりの続き。

今回は、

「時間をかけて失敗したくない」という気持ちから、延々と「やってみたい気はするけど時間がかかること」を保留したまま「時間のかからない」スクリーニングをし続けてしまってる状況は、これはこれで失敗なんじゃないの?

というところから。

結局、違う形での失敗をしてるとすると、私たちはなぜ「時間をかけて失敗したくない」と思うようになったのかを考え直す必要があるでしょう。

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑤

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい⑤

引き続きの続き。

更新が週末をまたいだのもありますし、一回これまでのあらすじを一息で早口言葉的にまとめておきますと。

「時間がかかるものにだけ時間をかけたい」と私たちは思うけれど、どれが「時間がかかるもの」でどれが「時間がかからないもの」かがパッと見で分からないので、とりあえず私たちは「時間をかけず」に試食する「スクリーニング戦略」を取ろうとするのだけれど、「ワタクシには時間をかける価値があり

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい④

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい④

さらに続き。

「時間がかかるものにだけ時間をかけよう」と思ってとりあえず「試食」してみる「スクリーニング戦略」が、残念ながら無限スクリーニング沼に陥ってしまいがちである。
その現代社会ならではの外的要因を指摘したところまでやりました。

しかし、外的要因だけでなく「私たち自身がすすんでスクリーニングをし続けようとしてしまう」という内的要因もあるという話でしたね。

今回はこれについて考えていきま

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい③

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい③

続きです。

私たちは「時間がかかるものにだけ時間をかけたい」と思うけれど、その思いはまず時間をかけるべきものが区別が難しいという問題に直面しています。

そこに出てくるのが「時間をかけるべきものを探すためにまずスクリーニングしよう」という戦略です。倍速視聴なりなんなりしてちゃちゃっと「試食」してから、じっくり味わうべきかどうかを判断する作戦です。

これはまこと正攻法であるのですが、この「スクリ

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい②

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい②

続きです。

私たちの、時間がかからないものに時間をかけないようにして、その上で時間がかかるものにこそ時間をかけたいという自然な願い。
これが困ったことに実際にやってみようとすると結構難しい。
それはなぜなのかというところからでした。

この方針の実践に立ちはだかる重大な問題は、味わうのに「時間がかかるもの」と「時間がかからないもの」の区別が容易ではないことです。

確かに料亭のフルコース料理とフ

もっとみる
時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい

時間がかかるものにだけ時間をかけたいのにそれこそが難しい

今回から、こちらのnoteの最後に軽く触れた、「時間がかかる」と「時間をかける」の違いについて考えていきます。

先に要旨を言ってしまうと、私たちは自然に「時間がかかるものにだけ時間をかけたい」と願っているけれど思った以上にその実践が難しいために迷子になってしまっている、という話になります。

さて、まず「時間がかかる」と「時間をかける」の違いをあぶり出す素晴らしい洞察が『暇と退屈と倫理学』にあり

もっとみる
マインドレスネス空想のススメ

マインドレスネス空想のススメ

最近個人的に「今ここ」系のことを考える機会が多いのもあって、流行りのマインドフルネス瞑想の話をちょこちょこ読んでます。

素人のざっくり理解ですが、マインドフルネス瞑想では今ここの感覚に集中して、できるだけそれに評価を加えたり考えないようにするのが基本姿勢のようです。頭に色んな考えや思いが浮かんできてもそれを追いかけず手放していく感覚なのだとか。こうすることで、自己への執着が消え、心の安寧が得られ

もっとみる
「時間をじっくりかけること」の大切さ

「時間をじっくりかけること」の大切さ

ぷーおんさんの「倍速視聴」について考察されてるブログ記事に触発されまして、今日は「時間のかけ方」をテーマにしますよ。

このぷーおんさんの記事。何を倍速で観て、何を等速で観るのか、フローチャートも用いて丁寧に整理されていたのはさすがでした。こんなふうに自分なりの視聴速度ポリシーを明文化してる人はかなり少ないのではないでしょうか。

特に、記事から得られる大事なメッセージは「倍速視聴で得られる学びは

もっとみる
「再投資型」のように生きるな

「再投資型」のように生きるな

昨日「投資のような子育て」の話をしたついでに「投資家のような人生を生きること」についても少し語ってみましょう。

『投資家みたいに生きろ』に特に恨みも批判もなにもないのですが、語呂が良いので引き続きちょっとモチーフに使わさせてもらいます。

さて、投資家みたいに人生を生きる時の罠は、つい「再投資型」のように生きてしまうことにあるでしょう。

「再投資型」とは、投資信託における分配金の扱い方の一種で

もっとみる
投資のように子育てする時代

投資のように子育てする時代

「子どもをのびのび育てる方針」と言っていても、それが「子どもを成功者に育てるため」という暗黙のゴールに従ってるなら、手法が代わっただけで結局「詰め込み型教育」と大差ないのではと。

ホモ・ネーモさん、さすがの鋭いご指摘です。

実は、最近読んだ『限りある時間の使い方』でもちょうど似たような指摘がありました。

すごく大事な洞察だと思うので、少し長くなりますが引用します。

共通して問題視されている

もっとみる
マイクロマネジメントされる親たち

マイクロマネジメントされる親たち

人生そこそこ生きてきたはずなのに、親になってからようやく気づいたことのひとつが、世の中親に対する注意書きがやたらそこら中にあるってこと。

「子どもから目を離さないで」とか「子どもを立たせないで」とか「子どもの手の届かないところにおいてください」とか。

確かに子どもは思いもよらぬ行動に出ますから、どれも危険を避けるために大切な注意点です。

もっとも、危険を避けるため以外の指示も多々見聞きします

もっとみる