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#小説
I’ll live for you.
I’ll live for you.あいいろのうさぎ
「おや? こんなところに子供がいるなんて珍しいな」
そう言われてエミリーは顔を上げました。その声はそれこそ子供のものだったので、エミリーは大人ぶった口調に違和感を覚えました。ですが、見てみるとそこにはやはり少年がいるのでした。
不思議に思っていると、少年は言葉を続けます。
「このバス停で待っていても何も来ないよ。ここが使われなくなっ
マーガレットは密やかに
マーガレットは密やかにあいいろのうさぎ
あなたはいつもキツ過ぎる香水の匂いを漂わせていた。
あなたは煙草の匂いを香水で隠そうとしていて、煙草臭いよりはマシだったけど、鼻につくその香りは好ましいとは言えない。一度はそれとなく別の香水を提案したこともあったけれど、あなたは頑なに自分の匂いを変えなかったし、煙草も吸い続けた。
あなたはとても頑固だった。
私が掃除をしても料理をしても何も言
いつかあなたに届けたい
いつかあなたに届けたいあいいろのうさぎ
心臓って耳の隣にあるんだっけ。
耳元に聞こえる自分の鼓動にそんなバカなことを考えてしまう。でも心臓が胸の真ん中にあるなんて今ばかりは信じられない。絶対耳の隣にある。こんな爆音でドクドク言っているんだ。耳の隣に無いなんてあり得ない。
……自分で思う。あり得ないほど緊張している。
彼氏に誕生日プレゼントを渡すだけなのに。
確かに彼と付き合い始
Happily ever after.
Happily ever after.あいいろのうさぎ
人の記憶を喰らう時、俺はその記憶の味と共に人生を見る。その味は何とも形容しがたい。一つの感情だけでは生きていけない人の生には、様々な味が詰まっているからだ。
ただ、今日の人間の記憶の味を一言で表すならば、「甘い」が適切だろう。スイーツのように甘く、甘すぎて、甘ったるい。
初めは苦しみの苦さに涙のような塩辛さが混じった、「甘い」とは
ドルフィンネックレス
ドルフィンネックレス
あいいろのうさぎ
なぜ私は水族館にいるのか。
そんなことを自問自答してしまうほど、この場を楽しめていない。まあ、「なぜ」なんていうのは簡単な話だ。これが学校行事で、参加しなければ欠席扱いになってしまうからである。楽しめていない理由も歴然としている。そもそも水族館に興味のない私はそれを楽しもうという気もない。同じ班のメンバーも遠足にワクワクしないタイプの人間で、言って