春にさらわれそうな男の話
桜並木を歩いていた。
地元は桜が有名な場所だ。春には桜にちなんだ祭りが開催されるくらい。
僕はこの春地元に帰ってきたばかりだ。ついこの前まで大学生で、遠くの大学に通っていたため一人暮らしをしていたが、地元の企業に内定をもらい、実家から通える距離だったので帰ってきたのだ。
そんな僕が、4年ぶりの地元は自分の目にどう映るのだろうと実家の近くを歩いていて、ふと桜並木を見た瞬間、桜が満開の頃の記憶が呼び出された。気が付けば、桜並木に吸い寄せられるように近くを歩いていた。
今歩いている