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「大丈夫なふり」ばかりがうまくなって

今日はしんどい一日だった。

自分の過去のことについて、ある程度の詳細でもって話す必要がある場面があって。笑って「こんなことあったんですよ〜」って話をしたんだけど。それを聞いたその人は、「本当に、つらいことがたくさんあった数年でしたね。大変でしたね。そりゃ、疲れちゃって病んじゃいますよ。よく頑張りましたね。」って言ってくれた。

それを聞いた瞬間、ぽろぽろと涙が溢れてきて。
その人は無言で、でも優しい笑顔で、ティッシュの箱を渡してくれた。


過去のことを話した後は、いつも回復するのに半日くらいかかる。それまでは、頭がぼーっとして、歩くこともしんどくなって、とても繊細になる。

本当に、つらいことの多い人生だったんだな。ああいう反応をされるとき、理解されたことへの感謝の気持ちと一緒に、自分自身に対して「可哀想なんだな」って思う自己憐憫というか、そんな感情も一緒に出てくる。見ないフリをして笑って誤魔化していたたくさんの傷が、目の前の人の反応で鏡のように反射されて、自分の視界に映り込んでしまって。それを見ることで痛みがそこにあったことを思い出してしまうみたいだ。


真っ直ぐ家には帰りたくなくて、ふらりと書店に立ち寄った。
おすすめの書籍の棚に『Dear ママ』というタイトルの本があった。吉川ひなのさんの本だった。1ページ目から流し読みをした。涙がボロボロと流れそうになって、なんだか胸を鷲掴みにされた感覚。これを読んだら、確実に病む。そして泣く。でも、この本が今、自分にとって必要だ。

その隣には、『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』というクルベウさんという方の本が置いてあった。自分に語りかけられている感覚がして、手に取った。

倒れてしまったら
もう二度と立ち上がれないような気がして、
心の痛みに気づかないふりをした。

心のよりどころがない人はよく大丈夫なふりをする。
自分が倒れても、
抱き起こしてくれる人なんていないと思うから。

つらくてもつらくないかのように。
悲しくても悲しくないかのように。
大変でも大変じゃないかのように。
そして自分で自分を苦しめる。

考えすぎるのをやめられず、
他の人々に至らない姿を見せないようにがんばり続ける。

『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』はじめに


まさしく、私のことだった。30年弱の人生の、そのすべてが、この短い文章に凝縮されていた。涙腺はいよいよ崩壊しそうで、流石にやばいと思って、その本も大事に手にとって、キャッシャーへと向かった。その道中、三浦しをんさんの『君はポラリス』が目に入ってきて、訳もわからずその本も手に取った。

今日はやたらと泣きたい日らしい。


帰り道の公園で、私は声をあげて子どもみたいに号泣した。
なにが悲しいのかもわからない。
とりあえず、すべてが痛くて、すべてがつらくて、すべてが悲しかった。
鼻水でぐしょぐしょになった顔をマスクと帽子で隠して、家に帰った。

そして、愛する我が子の前で、私は大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした。大人のつらさや悲しさなんて、この世に生まれて数年ぽっちのあなたが知る必要なんてないと、私は思う。だから、この「大丈夫のふり」は、私ができる最大限のあなたへの愛情表現。愛の証。


さて。
今日はゆっくり本を読んで、涙を流してデトックスしようと思う。
明日もまた、生きていくために。

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