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■大河ドラマ『光る君へ』をめぐる旅⑤―パブリックビューイングへ行ってきました

えりたです。

先日、滋賀県大津市へ行ってまいりました。大津への訪問は2度目です。1度目は1月末日、放送開始記念のスペシャルトークショーに当選し、赴いたのでした。

このスペシャルトークショーから2か月半ほど経った4月14日、今度はNHK大津放送局さま主催の、大河ドラマ『光る君へ』パブリックビューイング&トークショーに当選し、馳せ参じたのです。

当選はがき♬

今回は、お昼に放送される『光る君へ』第15話大津市生涯学習センターのホールで、大画面で拝見した後、第15話のキーパーソンでいらっしゃった藤原寧子役の財前直見さんをお招きしたトークショーが行われるという、大変に贅沢な催しでした。

そんな大画面で贅沢な時間をいただいた第15話の感想はコチラ。

初っ端から大好きな関白道隆さまが、大画面にどどーんっとお出になり、ワタクシの持つなけなしの正気が迷子になりかけましたが、そこは踏ん張り。全力で全編を拝見したのでした(メモの字が乱雑すぎて読めないほどの本気っぷり)。

そんなこんなで、今回は放送後のトークショーについて書きたいと思います。


■「みちつなぁ、みちつなぁ♬」

いつもとは異なり、ホールで大画面に向かい、たくさんの人たちと物理的にご一緒しながら拝見した第15話。お話のなかにあった、石山寺での藤原寧子さまとまひろっちの会話に、会場はじわじわと温かな気持ちに包まれていました。

そこへ藤原寧子さま=財前直見さんがご登場になったのです。このときの会場の高揚感といったら! 言葉に尽くせぬほど温かく、また、心躍る瞬間でもありました。

また、財前さんが初っ端から「みちつなぁ、みちつなぁ♬」とおっしゃってくださり、会場中はほわわぁ~ん♡とした雰囲気に。たしか、お名前より先におっしゃっていたような記憶が…財前直見さん、ほんとうにステキな方です。

トークショーには、前回と同じく制作統括の内田ゆきさんもいらっしゃいました。内田さん曰く、財前さんは「明るくて、美しくて。チームを作っていくのに心強い方」だそうで。

1時間弱のトークショーの中でもですし、そのステージにお出になったときの雰囲気からもなのですが、財前直見さんが、内田さんの言葉通りの方だと強く感じられましたし。また、あの大河ドラマのなかで『蜻蛉日記』を書いた藤原寧子さまそのものだなとも思ったのでした。

■お衣装のこと

トークショーではいろいろなお話を伺いました。中でも印象に残っているのがお衣装についてのお話でした。その中の幾つかをピックアップします。

■蹴ってターン

大河ドラマ『光る君へ』に出てくる貴族の女性たちは、基本的に長袴を着用なさっています。「長袴」はその名の通り裾が超長い袴です(説明とは)。

でも、あれ、歩くのにも慣れが必要だそうで。たしかに、現代のパンツやスカートとはまったく異なる形状していますから「それはそう」と思うことしきり。

ですが、いちばん大変なのは長袴を履いて「ターンをすること」だそうで。普通に歩いていてはつんのめってしまうため、中から袴を蹴ってターンなさるのだとか。

状況的には『遠山の金さん』がこの桜田門…違うな…片肌脱いで見せつける仕草するじゃないですか、「このサクラダふぁ…桜が目に入らぬか」って。あのときの「蹴り」がまさに必要なのだそうです。

平安時代の貴族の女性というと、移動はほぼ膝行で動かないイメージが強かったのですが。動くためには「蹴り」も必要というのは、なかなかに斬新で、イメージが書き換わるなぁとしみじみ…やはり実際に着てみないと分からないものなのですね。

■リアル空蝉

たとえば、倫子さまたち、上級貴族の女性たちは何枚も衣を重ねてご着用になっています。それは寧子さまも同じでした。

これ、一枚ずつ丁寧に重ねてお召しになっているのだと勝手に思っていたのです。でも、それだとたくさん出演者さんがいらっしゃいますし、また、時間がかかって仕方がないなとも思っていたのです。が、今回のトークショーでその謎が解けました(じっちゃんになりかけたわけではない)。

どういうことかと言うと。

この十二単の上着部分は、予めスタッフさんが重ねた状態で着て、その形のまま脱いで置いておき。役者さんが撮影スタジオに入られてから、そのままかぽっと着せるそうなのです。

まさかの「リアル空蝉」がそこここに…?!

実際の話、他のドラマですと、役者さんは楽屋ですべて準備してスタジオ入りされるのだそうです。でも、『光る君へ』ではそれをしてしまうと、物理的にセットに入れないそうで…メイクをし、かつらを付け(髪は上にあげてある)、小袖と袴まで着た状態でセットに入り、そこで上着を着せて完成形になるとのこと。

そんなご苦労もあっての撮影なのだなぁと思うと、女性たちの集まる場面への見入り方も変わりそうですよね。

■烏帽子の高さに慣れる

女性陣もいろいろと苦労がおありなのですが、男性陣にも現代とは異なる苦労がおありだそうです。それが「烏帽子」なのだとか。

平安時代中期、男性たちは烏帽子必須の文化に生きていました。現代で言うところのパンツに近いレベルで、烏帽子を人前で取ることは恥ずかしい行為だったのです。だから、彼らは寝るときも烏帽子を付けていました。

ただ、それは平安時代中期の話であって、現代にはありません。でも、『光る君へ』にご出演の男性陣は、この烏帽子をずっと付けたままになるのです。

そうするとですね…つっかえるんですよね、柱とか天井とかに烏帽子が。実はその姿を武将さまのお姿でも想像できたりするのです。

たとえば。名古屋おもてなし武将隊の前田利家さま

現代に蘇られた利家さまは、そもそも187cmおありです。だから、烏帽子をかぶると190cmを超えていくのです。

しかも、そもそも利家さまの兜は「鯰尾兜」という上ににょ~んっと長いものですから、ほぼ2メートル超え……そりゃもう偉丈夫とはこのことを言うのね、と有無を言わせぬ迫力を醸します(しかも、イケメン)。

兜姿のお写真が見つからなかった…無念。

実際に400年前を生きられてた利家さまも、身の丈が六尺(180cm)を超えていたそうで…それであのにょ~んな兜を被って、肩に長槍を担いでいたら、そりゃ当時の人にとっては怪物以外のナニモノでもなかったでしょうね…

って、何の話だっけ。あ、そうそう。烏帽子の話(をい)そんな戦国武将だけではなく、平安時代中期の男性たちも烏帽子必須の日常に放り込まれていました。

そうして、ある時のお話。

まひろっちのパパりん藤原為時役の岸谷五朗さんが、ロケバスに乗る様子をご覧になったそうで。そのとき。為時さんが華麗に絶妙に烏帽子が当たらないように首を曲げ、ロケバスに乗られたそうで…そのスキルの高さに感動されたとか。

為時パパりんご着用の狩衣

そのお話を踏まえた上で、F4はじめとする男性貴族のみなさまが天井の低いところを通られるところを想像すると、それはそれで大変にかわいらしいなと思ってしまい…

しかも、私の最推しである関白道隆さまは183cmでいらっしゃいますから…2メートル超えなお姿で、ひょいっとつかえないようになさるお姿とか…やばい、かわいい…(*ノωノ)♡

背高兄弟。

■感動の第14話のこと

兼家パパりんは、東三条殿にいるときにはかなり厳しく、剛腕な政治家な側面が強調されていました。

一方、寧子さまや道綱どんとご一緒の兼家パパりんは、のほほんっとしたマイホームパパだったり、弱いところも見せ(て「みちつなぁ、みちつなぁ」と魔法をかけられ)たり、存外普通のヒトである側面が描かれていました。

だからこそ、第14話のあのシーン―「嘆きつつ」の和歌のシーンがより胸に迫るものになったのだと思うのです。

■段田さんの言いまつがい(笑)

と、そんな感動的な場面で兼家パパりん=段田安則さんが台詞を言い間違ってしまったそうで(笑)

その瞬間、寧子さま=財前直見さんが段田さんの手を「ぺちんっ」とはたいたのだとか(笑)しかも、財前さんがちょうどいい按配のところに手を重ねていらっしゃったため、なかなか絶妙な「ぺちんっ」が展開したようです。

あの感動的な場面に至るまでに、そんなかわいらしい出来事があったとは…もう一度あの場面を見直したくなりました♡

また、あのときの兼家パパりんはお衣装も白く、顔色も青白くなっていらっしゃいました。しかも。私は気付かなかったのですが、あのときの兼家パパりんは顔やお衣装だけでなく、手や足まで真っ白でとてもお綺麗だったそうで。

それに気づかれた財前さんが段田さんにお尋ねになったそうなんです、「手や足まで死に化粧したの?」と。そうしたら、段田さんはもともと手足がお白いそうで。「もとからだ!」とのお答えだったとか。実は、手足さえうるわしい兼家パパりん…ちょっと萌えます(笑)

そんな細かいポイントも録画を見直さねば、な気持ちにさせたのでした。

■ドラマと現場?のギャップ

財前さんは寧子さまですから(言い方)、兼家パパりんの柔和な表情やちょっと弱気な表情などを存分に見ていらっしゃいます。むしろ、そういったところしか見ていないとも言えます。

だから、財前さんご自身がドラマをご覧になったとき、「え、兼家ってこんなに怖い人だったの?!」と驚かれることも多かったそうで。それは私たち視聴者が感じているよりも、もっと強いギャップだったようです。

そう考えると。

花山院をおろし奉るとき、突然「姿を見たものは始末せよ」とパパりんに言われた道綱どんの驚きもリアルにわかるような…そりゃ、いつもは温和なパパなのに、今「始末」って言った…? ってなりますよね。

・ ・ ・

もう一つ印象的だった話を。

『光る君へ』のお芝居の中で、藤原寧子以外でやりたい役はありますか? と問われた財前さん。おっしゃった答えは「兼家」でした。予想もしなかった答えに会場中が「おぉ…」となりましたが。

そのとき、財前さんが「でも、段田さんがとてもうまくていらっしゃるので、観ていてとても惹き込まれるし、役者としてうらやましい」とおっしゃたのです。

役者さんが、同じ場面を創りあげた役者さんを率直に賞賛なさるということ。

それはとてもすばらしいことだと思いますし、また、そういう心根の役者さんが創られたからこそ、寧子さまと兼家パパりんの場面は絶妙にほっこりしつつ、しっかり感動をくださるものになっていたのだろうと、そんなことを思いながらお話を伺っていたのでした。

■まとめ

藤原寧子さまは第14話のあの場面で退場だそうです。そう伺い、まだまだお出になると思っていたので、すごく驚きました。

でも、あの石山詣の場面が今後まひろに跳ね返ってくるとのこと。物書きの先輩としてのあの言葉、観ている私たちにもずんっと響きましたよね。

財前さんによると、あれは寧子に娘がいたら伝えたであろう言葉でもあったそうで…そう考えると、今後のまひろっちの人生に大きく温かな指針を与えてくれたのだなと思いますし、そんなまひろっちの今後を見つめていたいとも強く願うのでした。

・ ・ ・

日程的にかなりの強行軍で参加したパブリックビューイング&トークショーでしたが、行って良かったです。

トークショーで伺った話もとても興味深く、おもしろかったですし、何より、たくさんの方と大好きなお話をご一緒に、大きな画面で見るという体験は得難いもので…お話の濃さも相俟って、強く印象に残る物語になりました。

これからも大河ドラマ『光る君へ』、noteを通して、みなさまとご一緒に楽しんでいけたらと思います。


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んじゃ、また。

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