■大河ドラマ『光る君へ』を巡る旅⑨―紫式部さんに会いに行ってきました
えりたです。
大河ドラマ『光る君へ』も第26話までやってきました。何だかもぅ…毎回感情をぶんぶこ振り回されて、うぉうぉ言っていますが(擬音過多)
今回は、まだちょっと気が早いかもと思いつつ、ここまでの旅で出会った「紫式部さん―紫式部像」をご紹介します。
■石山寺【源氏の間】
今から1000年前、『源氏物語』という長編物語を著した紫式部。彼女は、石山寺を参詣した折に、びわ湖に映る月を見て、物語の着想を得たと言われています。
その逸話をもとに、石山寺の本堂には【源氏の間】が設えてあります。
そこで筆を執る紫式部さんです。
彼女の眼差しの先にはびわ湖があり、物語を書き始めたときの様子がリアルに感じられます。
大河ドラマ『光る君へ』における『枕草子』は、ただひとり定子さまのためだけに紡がれた作品です。ドラマのなかで『源氏物語』がどのような動機で書かれるのかは分かりませんが……「書くことで救われるかなしみがある」という言葉がきりりと映じた場面になるのではないかと。
この【源氏の間】に座す紫式部さんを見ていると、そんなふうにいろいろと想像してしまいます。
■石山寺光堂近く
石山寺は、その名の通り「石の山」に建立されたお寺です。なので、わりとダンジョンの入り口あたりから、上りの階段をよっこらせっと行くことになります。
そんな風に、存外と体力勝負なお寺だと知ったのは、初めて行った1月なのですが💦 それでもこのとき、なんとか会えた紫式部さんがこちらです。
実はこのとき、時期が早すぎて、【源氏の間】の紫式部さんがお留守だったのです(号泣)だからこそ、この光堂近くの紫式部さんに会えたときの感激は自分でもびっくりするほど大きなモノでした。
「やっと会えた。」
思わず、そう呟いてしまうほど、嬉しかったのです。
厳寒のなか、しかも、人少なな山道っぽい傾斜をずんどこと歩いた果てに出会えたこの式部さんが、もしかすると、私のなかではいちばん強く印象に残っているかもしれません。
■紫式部公園―越前富士を望む
さて、先日まで大河ドラマは「越前編」が放送されていました。その越前にも紫式部さんはいらっしゃいます。それがこちらです。
たいていの紫式部さんは座っていらっしゃるのですが、この越前―紫式部公園にいる紫式部さんは立っておられます。そうして、その眼差しの先には越前富士―日野山があるのです。
この立像は、全方位から見ることができるのも、他にはない特徴かと。
曇りの日に撮った写真をいろいろいじっていたら、不思議な空色になってしまいましたが💦 それでも、女房装束を着た姿を後ろからも見られるのは、なかなかに稀有な体験で、坐像とはまた違った感慨が湧いてくるのでした。
■宇治川―宇治橋近く
さて、『源氏物語』には、宇治を舞台に紡がれる「宇治十帖」があります。それに関連して、宇治川の傍にも紫式部さんはいらっしゃいます。
宇治橋近くに座っている紫式部さんは、どちらかというとかわいらしい感じです。それでも女房装束の襲具合がとてもリアルで、よいなぁと。
そういえば、この紫式部さんは背景が一際すてきですよね。宇治川があって、宇治橋があって。もともとの宇治橋の位置はここではないのですが、それでも、借景な「紫式部」感が弥増すシチュエーションに、ひっそり気持ちが高揚します。
また、宇治川のほとりには「宇治十帖の像」もあります。
『源氏物語』の最終巻「夢浮橋」の名を冠する像です。『源氏物語』自体は、大団円でもなく、「それでも人生は続いていく」みたいな終わり方をします。何とはなしに、そのあたりの余情を感じさせる像でもあります。
■蘆山寺―紫式部の暮らした場所で
まだ、記事にはしていないのですが、京都で紫式部さんを巡っていたとき蘆山寺にも参りました。そこにある「源氏の庭」が、心の底から「ずっといられる…」と思える場所なのです。そのあたりはまた改めて書きます。
さて、このお寺にも紫式部さんはいらっしゃいます。
これまで見たなかで、もっともお顔がリアルに造形されているような。でも、このお姿を見た瞬間、気持ちがすっと静かに穏やかになったのを覚えています。
蘆山寺はもともとは紫式部さんの曽祖父である藤原兼輔の邸宅です。紫式部さんはここで育ち、宣孝との結婚生活を送り、また、『源氏物語』の多くもここで書かれただろうと言われています。
第26話であった、「髭黒大将事件(笑)」もきっとここで行われたもの。そう思うと、遠く1000年の昔に生きた紫式部さんが超身近な人に思えてくるから、不思議です。
■番外編
紫式部像、ではないですが、こちらの写真も番外編として載せておきます。
大津からの帰りに偶然出会えた「ラッピング電車」です。なんの気構えもなかったところに、この車両がしゅうっと入ってきたので、めちゃくちゃ慌ててiPhoneで撮りました。
ここにある「わたしを生きてみせる」って、現代の私たちにも響く言葉ですよね。
今よりももっと、「わたしであること」を貫くのが困難だった時代に、それでもあがいてもがいて生き抜いた女性たちがいたこと。その姿を、虚構の物語であれ、目の当たりにできるのはほんとうに幸せなことだなと思います。
・ ・ ・
そんなこんなで、今回は紫式部さんを巡った旅でした。
これからも、ご一緒に大河ドラマ『光る君へ』の世界を楽しめたら、とても嬉しいです。
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