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色なき風と月の雲 11


羽那ちゃんがRuby-boyzのライブDVDやCDを大量に貸してくれた。


休みの日にまとめて観たり、スマホにダウンロードしてみた。すきま時間に聞いたりして本格的にルビボのオタクになってきた。


揃ったダンスはとても美しく、どれもひき込まれる。MCやファンサを見ていると、それぞれ個性が出ていて面白い。

メイキングやバックステージで、メンバー同士仲良くしているところや真剣に作品を作っている姿は、とても美しい。

麗さんは相変わらず。どこのシーンでもクールなキャラクターで、これがアイドルモードの麗さんなんだろう。スイッチはギリギリまで切らないのかな。

CDショップへ行き、今まで踏み込んだことのなかったエリアに行く。推しのコーナーとは比べ物にならないくらい広く陳列されている。

過去の作品から最新アルバムまで、ずらーっと並んでいるのは迫力がある。


デビュー当時の初々しい麗さん達を見ていると、顔が思わず緩んでしまった。

最新アルバムと、過去のベストアルバムやライブDVDを数枚購入した。



徐々に増えていくルビボ関連の物。麗さんにはバレないように、推しのグッズの奥へ隠す。あの時のペンライトや団扇も眠っている。


オンライン配信までの間、過去の作品を見漁った。推しよりもルビボのことで頭がいっぱい。


楽しみすぎるもの。その為に頑張ろうと自分を奮い立たせた。


麗さんのツアーが始まり、忙しいのか全く連絡が来なくなった。

私も自分の仕事で忙しく、そんなことを考える暇はない。


今回担当の会場は広くはないが、裏の造りがが複雑でスタッフはバタバタしている。あまり好きではない会場だ。

上司は相変わらずイライラしているし、舞台の主役はマイペースすぎて終演時間をオーバーしても喋り続けている。

今日も今日とて残業か。

スタッフ皆が考えていることは同じだろう、
─早く帰りたい


次の日はまた別のグループの現場。昨日の残業のせいで少し身体が重い。

今日の公演は夕方には終わる予定だからまだ頑張れる。

同世代のアーティスト集団がキャッキャしながら挨拶回りをしている。

元気がいい。爽やかで、見ているだけで癒やされていく。

「お疲れさまです。今日はよろしくお願いします」

下っ端の私にも挨拶をしてくれる。


偉ぶらない人達だからこそ、人気になるのだなぁ。

麗さんも、全然偉そうにしないし、謙虚で可愛い。我儘だったりする時もあるけれど、気を許してくれているのだろう。

ふと思い出すのは麗さんのこと。

そういえば連絡来ないけど元気かな。ツアーが終わった頃に連絡しておこう。

立て込んでいたイベントスタッフの仕事はひと区切りつき、買っておいたオンライン配信のアーカイブをやっと観ることができる。

部屋を暗くし、手にはあの時のペンライト。

テレビに繋げて再生した。


早速、メンバーが当時するシーンから始まる。

ここは自分の部屋なのに、会場にいるかのような臨場感がある。

実際会場に居ると、殆どスクリーンでしか顔を見られないがオンライン配信だとカメラでしっかり顔を捉えてくれるので、すべての表情を見逃すことなく見ることができる。

それぞれメンバー専属のカメラがあり、推しだけを見ることもできるって凄い。

会場の空気感も大好きだけど、こうやって見られるのも良いよね。

好きなシーンも巻き戻せるし、期間中は何度も見られる。DVDまで待たなくていいってのもポイント。


いいなぁ、推しの配信もこうしてくれたらいいのに。私の舞台も─でも、売れてないから採算取れなさそうだな


売れているアイドルの凄さを感じる。

まだまだ頑張らなきゃね。


何件かフリー素材みたいな広告の仕事を終えたあと、麗さんに連絡をしてみた


〈ツアーお疲れさまです。体調は崩されていませんか?ご飯をしっかり食べて、身体を休めてくださいね。お休みの件ですが、月末の3日間空けれたので伝えておきます。〉


月末っていっても、来週なんだけど。大丈夫かな。

〈ありがとう。そんなに心配ならうちに来てくれたらいいのに。じゃあ28日、そっち行くから。何も用意しなくていいよ〉

─来てくれるのか。何時なんだろう。

〈了解です。着く前には連絡下さいね〉

何をするのかよく分からないけれど、とりあえず楽しみにしておくことにする。




オリジナルのフィクション小説です。

題名を「初めて書いた物語」から「色なき風と月の雲」に変更しました、


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