ルノーエリコ

南フランスの小さな村にピアノ教室をひらきました。 音楽、本、ヨガの暮らし。

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今朝、娘から担任の先生の年齢を聞いて驚いた。 44歳だって。え! 彼女は昨年秋からこの村の校長先生となり、 1年生と2年生の合同クラスも受け持っている。 失礼ながら…

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エメラルドの泉

4月末、プロヴァンス地方は 先週から2週間の春休みに入ったが 私は仕事をしていた。 今年は早々と6月末に日本に行くため、 そして生徒たちの試験も近いので 振り替えレッス…

13

未来の音楽

先日、娘にとって大切なピアノの試験が終わった。 音楽院の第3過程に進む飛び級試験で、 2ヶ月前からそのための準備をしていた。 審査員は院長先生と外部からの先生の3人…

16

彼のいない春に

夏時間になり 北向きで日当たりのあまり良くない我が家にも お日様がやってくるようになった。 テラスにもよく陽がさすようになり 洗濯物をたっぷりと干せて嬉しい。 猫の…

ルノーエリコ
2週間前
12

静かに正確に燃やすこと

先日、あまりピアノを練習してこなかった言い訳に オリンピックマスコットを学校から 持ち帰ったから、という子がいた。 マスコットって、フリージュのぬいぐるみ? で、…

ルノーエリコ
3週間前
17

音の繋がり

どうしてママはソロの曲を弾かないの?と 娘に時々聞かれる。 思い出したように バッハやショパンをさらっては また楽譜を仕舞い込んでいる様子を見ているのか、 あれ、も…

ルノーエリコ
3週間前
16

ようこそ我が家へ

このごろ外出中に思うのは 「早く帰ってピアノを弾きたい」 こればっかりだ。 なぜなら我が家には 3週間から新しいピアノくんがいるのである。 中古ピアノ探しの旅に出て…

ルノーエリコ
1か月前
13

夏時間とイースター

朝、雨戸を開けると 庭に勝手に生えて育った桑の木(たぶん)に 鳥がとまっていた。 フランスでは、毎年3月最後の週末に夏時間を迎える。 正確には日曜の午前2時に変わるん…

ルノーエリコ
1か月前
13

Be strong

夫が芸術監督を務める Les soirs du piano フェスティバルで 今年も素晴らしい演奏を聴いた。 イタリア人ピアニスト、レオノーラ・アルメッリーニ氏は 前回のショパン国際…

ルノーエリコ
1か月前
19

パリで歳を

パリ滞在3日目に私は誕生日を迎えた。 ママおめでとう!と 娘が朝一番にプレゼントをくれた。 自分で書いた短編だ。 「下水道の鼠についてのフィクション」 渋いタイトルに…

ルノーエリコ
1か月前
17

3月のパリにて

娘のピアノレッスンに付き合って 家族でパリに行った。 今回は2日続けてレッスンを受けることになり 改装中の16区のアパルトマンに引っ越した 友人一家の家に3泊、とっても…

ルノーエリコ
1か月前
19

大切なことはすべて子どもたちに教わった

マルセイユの猫劇場で紙芝居コンサート6公演。 忘れないうちに記録を残しておこうと思う。 50分くらいのプログラムを、という依頼だったので 今回は紙芝居を2本することに…

ルノーエリコ
1か月前
16

猫劇場の舞台で

猫の看板が目印の Théâtre des chartreux という劇場で 紙芝居コンサートをしてきた。 Chartreux シャルトルーというのは マルセイユ4区にある地区の名前で 中にChat(シ…

ルノーエリコ
2か月前
11

好きになりたい

2月も残りわずか、桃の花が咲き始めた。 スキー休みと呼ばれる休暇が始まったけれど いくつもの本番を控えているので 普段よりも忙しい。 そんな中、英語の宿題である 星…

ルノーエリコ
2か月前
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11

よく晴れたあの日から11年。 週末は親友のニナを呼んで パジャマパーティーをした。 満開のアーモンドの花の下で 自転車を試す少女たちが なんとも良い光景だった。 一ノ…

ルノーエリコ
2か月前
16

ボージャングルを待ちながら

眠りにつく前に 明日は 何の本を読もう 何の曲を弾こう とワクワクしていられることは幸せだなあと ふと思った。 日々のルーティンを大切にする男性を描いた 映画パーフェ…

ルノーエリコ
2か月前
14
中

今朝、娘から担任の先生の年齢を聞いて驚いた。

44歳だって。え!

彼女は昨年秋からこの村の校長先生となり、

1年生と2年生の合同クラスも受け持っている。

失礼ながら、もっとずっと歳上だと思っていた。

とはいえ マスクで顔はよく見えないので

醸し出す雰囲気(なんといっても校長先生だ)や

エレガントな服装から勝手に。

考えてみたらこの国の大統領は77年の生まれ、現在43歳だ。

(私、

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エメラルドの泉

エメラルドの泉

4月末、プロヴァンス地方は
先週から2週間の春休みに入ったが
私は仕事をしていた。
今年は早々と6月末に日本に行くため、
そして生徒たちの試験も近いので
振り替えレッスンをしていたのだ。
その間我が家には
友人や義妹家族など
ずっと誰かが泊まりに来ていて賑やかな日々だった。

仕事のなかった木曜日、
珍しく晴れたので
家族でフォンテーヌドヴォークリューズへ行った。

エメラルド色の澄んだ泉が有名な

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未来の音楽

未来の音楽

先日、娘にとって大切なピアノの試験が終わった。
音楽院の第3過程に進む飛び級試験で、
2ヶ月前からそのための準備をしていた。

審査員は院長先生と外部からの先生の3人で、
写真は娘の先生が送ってくださった。

試験は土曜日の午前中、私は仕事があったので
夫が付き添った。
試験の時間中はソワソワソワして待っていたら
審査員の賞賛つき満場一致で合格、
という良い結果が届いた。
とても集中して良い演奏を

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彼のいない春に

彼のいない春に

夏時間になり
北向きで日当たりのあまり良くない我が家にも
お日様がやってくるようになった。
テラスにもよく陽がさすようになり
洗濯物をたっぷりと干せて嬉しい。

猫のパールは
ここ数日
朝は陽だまりの下で日光浴をしている。

その姿を見ながら
とつぜん思った。
ああ、
パールにとっては初めてのひとりの春なのだ。

相棒だった武蔵は11月の末に逝ってしまった。
太陽が大好きで、冬の間も
僅かな日の光

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静かに正確に燃やすこと

静かに正確に燃やすこと

先日、あまりピアノを練習してこなかった言い訳に
オリンピックマスコットを学校から
持ち帰ったから、という子がいた。

マスコットって、フリージュのぬいぐるみ?
で、何してたの、そのマスコットと?

と聞くと
それはもういろいろ、と
さぞ大変だったという様子で彼女は話し出した。
一緒におやつを食べたりブランコに乗ったり‥。

あまりにオリジナルな言い訳に
私は笑い出してしまった。

白血球みたい、な

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音の繋がり

音の繋がり

どうしてママはソロの曲を弾かないの?と
娘に時々聞かれる。

思い出したように
バッハやショパンをさらっては
また楽譜を仕舞い込んでいる様子を見ているのか、
あれ、もう聞こえないなと思っているのか、
まあとにかく心が一瞬でギクッと疼くことを
子供というのは外せないタイミングで言うものだ。

だって時間がないんだもん!と言うのが
いちばんの言い訳。
才能も努力も足りなかったことは事実だけれど、
ソリ

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ようこそ我が家へ

ようこそ我が家へ

このごろ外出中に思うのは
「早く帰ってピアノを弾きたい」
こればっかりだ。

なぜなら我が家には
3週間から新しいピアノくんがいるのである。

中古ピアノ探しの旅に出てから4ヶ月、
いろいろなピアノに出会った。
業者さんのところでも
個人のお宅でも
それぞれのピアノに
物語があって興味深かった。

あるお宅でのスタインウェイ。
素晴らしい音色に
少々予算を超えても、と心が動いたが
メカニックに故障

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夏時間とイースター

夏時間とイースター

朝、雨戸を開けると
庭に勝手に生えて育った桑の木(たぶん)に
鳥がとまっていた。

フランスでは、毎年3月最後の週末に夏時間を迎える。
正確には日曜の午前2時に変わるんだそうだ。
1時59分から2時を抜かして3時になる。
その瞬間を見たことはないけれど
とばされちゃった2時はどこにいくのだろう。

娘が小さい時
朝は、おひさまおはよーっと空に挨拶をして
ママ、夜はどこにいるの?と
よく聞いていた。

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Be strong

Be strong

夫が芸術監督を務める
Les soirs du piano フェスティバルで
今年も素晴らしい演奏を聴いた。

イタリア人ピアニスト、レオノーラ・アルメッリーニ氏は
前回のショパン国際ピアノコンクールの入賞者だ。
夫が何度もラブコールを送り
演奏会が実現した。

リハーサルに夫は
娘と、彼女の親友ニナを連れて行った。
ニナのママはイタリア人、
マネージャーさんとのメールのやり取りでは
ずいぶん助け

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パリで歳を

パリで歳を

パリ滞在3日目に私は誕生日を迎えた。
ママおめでとう!と
娘が朝一番にプレゼントをくれた。
自分で書いた短編だ。
「下水道の鼠についてのフィクション」
渋いタイトルに負けず
中身はかなりミステリアス。
私が子供の頃に書いていた双子の話を
覚えていて
ヒントにしてくれたそうで嬉しい。

日本の家族や親友、
南仏の友人たちからメッセージをもらい
ジーンとしていたら

夫の計らいで
昼食は
夫の親友と

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3月のパリにて

3月のパリにて

娘のピアノレッスンに付き合って
家族でパリに行った。
今回は2日続けてレッスンを受けることになり
改装中の16区のアパルトマンに引っ越した
友人一家の家に3泊、とってもお世話になった。

ずいぶん前、留学準備でパリにひとりで到着し
最初に泊めてもらったアパートも16区だった。
オスマン建築の建物が並ぶ高級地に
胸が高鳴った。
あの日から25年が経とうとしているのに
やはり私には場違いな感じだ。

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大切なことはすべて子どもたちに教わった

大切なことはすべて子どもたちに教わった

マルセイユの猫劇場で紙芝居コンサート6公演。
忘れないうちに記録を残しておこうと思う。

50分くらいのプログラムを、という依頼だったので
今回は紙芝居を2本することになった。

まずは
「おおきく おおきく おおきくなあれ」
(まついのりこ作)

この参加型の楽しい紙芝居は
娘が小さな頃から大好きで、
コンサートでも日本語の授業でも大活躍、
ここに湯山昭氏のお菓子の世界の音楽をつけた。

そして

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猫劇場の舞台で

猫劇場の舞台で

猫の看板が目印の
Théâtre des chartreux という劇場で
紙芝居コンサートをしてきた。

Chartreux シャルトルーというのは
マルセイユ4区にある地区の名前で
中にChat(シャ=猫)が入っている言葉遊びなのだそう。

小さなアップライトピアノと紙芝居の舞台が
なんだかレトロで良い感じ。
この舞台で
2月28日から4日間に渡り6公演!

なかなかハードな、
すごーく貴重な

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好きになりたい

好きになりたい

2月も残りわずか、桃の花が咲き始めた。
スキー休みと呼ばれる休暇が始まったけれど
いくつもの本番を控えているので
普段よりも忙しい。

そんな中、英語の宿題である
星の王子様を読んでいる。

先週、9歳の生徒くんに読書は好き?と聞いたら
生真面目な様子で
「好きになりたいんです」
と返ってきた。

好きでも嫌いでもなく
好きになりたいという
思いがけない言い方に胸を打たれ
粋なこと言うわね、、と

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11

11

よく晴れたあの日から11年。
週末は親友のニナを呼んで
パジャマパーティーをした。

満開のアーモンドの花の下で
自転車を試す少女たちが
なんとも良い光景だった。

一ノ瀬カイは親友とピアノの師に出会い、
ビリー・エリオットは踊ることで自由を手にし、
アン・シャーリーはグリーンゲイブルズに到着しました。11歳、夢の始まりにふさわしい歳に!

美しい音色と心躍らせるリズムを、
鮮やかで詩的な言葉を

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ボージャングルを待ちながら

ボージャングルを待ちながら

眠りにつく前に
明日は
何の本を読もう
何の曲を弾こう
とワクワクしていられることは幸せだなあと
ふと思った。

日々のルーティンを大切にする男性を描いた
映画パーフェクトデイズを観たあと、
正反対の世界を表す本を読み終わった。

ちょうどバレンタインにぴったりの
ロマンティックなラブストーリー。
デュオを組んでいるチェリストのエルザが
貸してくれた。

フランス人作家のオリヴィエ・ブルドー氏の

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