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静かに正確に燃やすこと
先日、あまりピアノを練習してこなかった言い訳に
オリンピックマスコットを学校から
持ち帰ったから、という子がいた。
![](https://assets.st-note.com/img/1712868184788-iNbsncam8F.jpg?width=800)
マスコットって、フリージュのぬいぐるみ?
で、何してたの、そのマスコットと?
と聞くと
それはもういろいろ、と
さぞ大変だったという様子で彼女は話し出した。
一緒におやつを食べたりブランコに乗ったり‥。
あまりにオリジナルな言い訳に
私は笑い出してしまった。
白血球みたい、などと周りの友人達には
不評のフリージュだけど
子供達には人気なのかしらん。
娘も、だんだん可愛く見えてきた、と言っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1712868591942-ou5r1Kf9j5.jpg?width=800)
オリンピックにはそこまで興味はないけれど
ものすごく感動したことがあった。
2008年の夏、私はたまたま帰省していて
実家でのんびりとテレビを見ていた。
その時に金メダルを得た水泳の北島康介選手が
「勇気を持って、ゆっくり行け」と
コーチから言われたと話していたのだ。
スピード勝負の競技で
ゆっくり行けとは興味深い。
勝てる自信がなくては
かけられない言葉だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1712869368172-kbXEyv69h3.jpg?width=800)
さて今日は、私が伴奏を務める
クラリネットクラスの試験だった。
リハーサルを重ねた甲斐あり
皆なかなか立派に演奏をした。
そのあとに外部からいらしていた審査員の先生が
生徒たちにこう言った。
目標を掲げて闘志を燃やすのは良いことです。
でも、メラメラと怒りのように燃やすのではなく
静かに落ち着いて正確でいることが大切です。
そのためにはゆっくりゆっくり、
自分と向き合って練習する必要があります。
良いこと言うなあと頷きながら
とつぜん北島選手のことを思い出したのだった。
音楽もスポーツも
一回勝負の体験だ。
その一回に今までの全てが出る。
悩んでぶつかって転んで泣いて
それからスクっと立ち上がって
急に冷静になることがある。
自分に足りなかったことを理解して対策を練る。
足りなかったのはスピードではなく
体と頭の使い方、そこについていく熱い感情と
冷静な判断。
失敗が怖くて
ひたすらスピードを上げて練習していた時には
見えなかったことが
転んだ後ではよく見える。
そしたらきっと
勇気を持ってゆっくり行ける、かもしれない。
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