増村 江利子

greenz.jp編集長。国立音楽大学卒。Web制作ディレクター→広告制作ディレクター…

増村 江利子

greenz.jp編集長。国立音楽大学卒。Web制作ディレクター→広告制作ディレクター→メディア編集を経て独立。ミニマリスト。三児の母。長野県諏訪郡の9坪の家で、家電を使わずに工夫して暮らす。森と水、里山と暮らしがテーマ。合同会社森に還すで、竹でつくった猫トイレの砂を販売中。

マガジン

  • BambooRoll国産化への道のり

    • 2本

    日本の竹でBambooRollをつくろうプロジェクトを始めたのは2022年冬。そこからの道のりを綴っていきます。

  • 水澄む草青む

    • 16本

    空から降り注ぐ雨水が、何十年もかけて森の奥の清らかな泉の一滴となるように。我が身を生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン。

記事一覧

洗濯機で洗濯するという“当たり前”を問い直す

冷蔵庫や掃除機を手放したことは、前回のnoteに書いた。次なる生活家電のターゲットは洗濯機だった。毎日使う洗濯機を手放すことはできるのか。手洗いはどのくらい大変なの…

増村 江利子
2か月前
8

冷蔵庫を手放すことで起きた、暮らしの革命

誰の家にもあるであろう冷蔵庫。炊飯器を土鍋に変えたことで、食事ごとにご飯を炊き、作り置きをせずに毎回作ることに慣れてきた頃にふと頭をよぎったのが、「冷蔵庫を使わ…

増村 江利子
2か月前
19

生活家電を卒業する。キッチンから始めた、配線ジャングルからの脱出

「家電量販店」という、家電に限った商品構成で商売が成立し、それが一つの業界になるほど世の中には家電があふれている、と感じている。かつて、戦後の日本で普及した「白…

増村 江利子
10か月前
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「洋服は2着ずつ」。小さな暮らしの実践は、ここから始まった

今や、インターネットで「断捨離」などと検索すると、とんでもない情報量が行き交っているのがわかる。モノや情報にあふれる現代社会において、ミニマリスト、エシカルライ…

増村 江利子
10か月前
79

竹からトイレットペーパーをつくるのは、何が難しいのか?(BambooRoll国産化への道のり #02)

竹でつくったトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を発売開始してからも、ずっと考えていたこと。それは、バンブーロールの国産化だ。日本の竹を使って、日本でトイレ…

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竹を伐採し、枝を落とし、運ぶ作業で見えたこと(BambooRoll国産化への道のり #01)

2021年1月、竹でつくったトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を発売開始した。おかげさまで多くのメディアに取り上げられ、たくさんのお客様からあたたかい励ましの…

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暮らしの中で、無意識に消費されていくものに目を向ける。サステナブル スタートアップを起業して「竹100%のトイレットペーパー…

2021年1月、私たちは竹100%でつくったトイレットペーパー「BambooRoll」を発売開始した。この「BambooRoll」を発売するに至った経緯や背景、思いをまとめた。 「土に還る…

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増村江利子の、肩書きのない自己紹介

ふだんは、編集者であると名乗ることが多いのですが、肩書きを語ることがあまり得意ではありません。編集者と言ったら編集者でしかなくなってしまうことに違和感があって。…

50

「聞く」ということ、「書く」ということ。書くことで何がしたいのか、ライターとしてのありかたを考える

空から降り注ぐ雨水が、何十年もかけて森の奥の清らかな泉の一滴となるように。生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン「水澄む、草青む」。 …

30

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。 「書くことで目指す目標みたいなものが…

10

人が、言葉の前に立ち止まるとき。

人が、言葉の前に立ち止まるとき、 そのときにしか見えない、風景が立ち上がる。 その風景には、きっとその人にとって特別な意味があると思う。 いま、言葉は乱雑に扱わ…

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洗濯機で洗濯するという“当たり前”を問い直す

洗濯機で洗濯するという“当たり前”を問い直す

冷蔵庫や掃除機を手放したことは、前回のnoteに書いた。次なる生活家電のターゲットは洗濯機だった。毎日使う洗濯機を手放すことはできるのか。手洗いはどのくらい大変なのだろうか。頭で考えていても、やってみないとわからない。それで、無謀かもしれないが、洗濯機を家の外に出して、洗濯物の手洗いを始めてみた。

実際に手洗いをしてみると、なかなか過酷な労働であることが見えてきた。洗うのも、すすぐのも、絞るのも

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冷蔵庫を手放すことで起きた、暮らしの革命

冷蔵庫を手放すことで起きた、暮らしの革命

誰の家にもあるであろう冷蔵庫。炊飯器を土鍋に変えたことで、食事ごとにご飯を炊き、作り置きをせずに毎回作ることに慣れてきた頃にふと頭をよぎったのが、「冷蔵庫を使わなくてもなんとかなるのではないか」ということだった。

そして実際に冷蔵庫を手放してみると、暮らしの「前提」ともいうべきものがリニューアルするかのような革命と、家電を手放す連鎖が起きた。今回は冷蔵庫を手放すに至った経緯と、起きた変化から、モ

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生活家電を卒業する。キッチンから始めた、配線ジャングルからの脱出

生活家電を卒業する。キッチンから始めた、配線ジャングルからの脱出

「家電量販店」という、家電に限った商品構成で商売が成立し、それが一つの業界になるほど世の中には家電があふれている、と感じている。かつて、戦後の日本で普及した「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」といった“三種の神器”と呼ばれる耐久消費財は、高度成長期には「カラーテレビ」「クーラー」「自動車」が“新・三種の神器”とされ、2000年代に入ると“デジタル三種の神器”として「デジタルカメラ」「DVDレコーダー

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「洋服は2着ずつ」。小さな暮らしの実践は、ここから始まった

「洋服は2着ずつ」。小さな暮らしの実践は、ここから始まった

今や、インターネットで「断捨離」などと検索すると、とんでもない情報量が行き交っているのがわかる。モノや情報にあふれる現代社会において、ミニマリスト、エシカルライフといった言葉が台頭して、消費することで満足するのではなく、敢えて手放すことで「豊かさを手に入れることができる」という考え方も出てきたように思う。

手放すことは、難しい。でも「これでいい」という自分なりの見極めができるようになってくると、

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竹からトイレットペーパーをつくるのは、何が難しいのか?(BambooRoll国産化への道のり #02)

竹からトイレットペーパーをつくるのは、何が難しいのか?(BambooRoll国産化への道のり #02)

竹でつくったトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を発売開始してからも、ずっと考えていたこと。それは、バンブーロールの国産化だ。日本の竹を使って、日本でトイレットペーパーの製紙ができないだろうか。

工務店「アトリエデフ」が「たのしく竹林プロジェクト」として実施していた竹林伐採に何度も参加して、伐採した竹を使わせてもらえないかと相談することにしたところまでを、前回の記事で書いた。

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竹を伐採し、枝を落とし、運ぶ作業で見えたこと(BambooRoll国産化への道のり #01)

竹を伐採し、枝を落とし、運ぶ作業で見えたこと(BambooRoll国産化への道のり #01)

2021年1月、竹でつくったトイレットペーパーの定期便「BambooRoll」を発売開始した。おかげさまで多くのメディアに取り上げられ、たくさんのお客様からあたたかい励ましの声をいただき、現在に至っている。

発売する前から考えていたことが、一つある。それは、バンブーロールの国産化だ。わたしたち日本人は、古来より竹とともに暮らしてきた。けれども、暮らしのなかで重宝されてきた竹製品は、プラスチック由

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暮らしの中で、無意識に消費されていくものに目を向ける。サステナブル スタートアップを起業して「竹100%のトイレットペーパー」をつくった理由

暮らしの中で、無意識に消費されていくものに目を向ける。サステナブル スタートアップを起業して「竹100%のトイレットペーパー」をつくった理由

2021年1月、私たちは竹100%でつくったトイレットペーパー「BambooRoll」を発売開始した。この「BambooRoll」を発売するに至った経緯や背景、思いをまとめた。

「土に還るのか、還らないのか」という問い

東京から長野へ、娘とふたりでダンボール6箱程度で移住してから5年が経つ。私は下着は2セットしか持たないようないわゆるミニマリストだが、長野での暮らしは、まず最初にDIYで使うイ

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増村江利子の、肩書きのない自己紹介

増村江利子の、肩書きのない自己紹介

ふだんは、編集者であると名乗ることが多いのですが、肩書きを語ることがあまり得意ではありません。編集者と言ったら編集者でしかなくなってしまうことに違和感があって。自分の職業やスキルを取っ払って、自分の好きなことで自己紹介ができたらと、「肩書きのない自己紹介」をまとめました。

朝を迎えるのも、夜を迎えるのも、等しく美しいと思います。
都心で暮らしていた頃は、勤務時間が長かったことはもちろん、高いビル

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「聞く」ということ、「書く」ということ。書くことで何がしたいのか、ライターとしてのありかたを考える

「聞く」ということ、「書く」ということ。書くことで何がしたいのか、ライターとしてのありかたを考える

空から降り注ぐ雨水が、何十年もかけて森の奥の清らかな泉の一滴となるように。生きることを通して言葉を綴る5人の書き手によるちいさなWebマガジン「水澄む、草青む」。

メンバーが集まると、自然と「書くこととは何か」「書く上で大切にしたいことって何だろう」といった話になります。

雑談だけど、私たちにとって、それぞれに大切な時間。
そんな話を、記録として残せないか。

今回は、インタビューの下準備から

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ライターとしての目標はなんですか?

ライターとしての目標はなんですか?

#ドーナツトーク は、誰かが出したお題についてバトンリレー式の連載。書き終えたら次の人を指名し、最後はお題発案者が〆めます。

「書くことで目指す目標みたいなものがあるんですか?」

さて、自分の番が回ってきてしまいました。書くことで目指す目標というのは、つまり、書くという行為の先にある、自分が掴み取りたいもの、ということですよね。

うーん、と考えてすぐに思い浮かんだのは、学生時代の先輩のことば

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人が、言葉の前に立ち止まるとき。

人が、言葉の前に立ち止まるとき。

人が、言葉の前に立ち止まるとき、
そのときにしか見えない、風景が立ち上がる。

その風景には、きっとその人にとって特別な意味があると思う。

いま、言葉は乱雑に扱われている。
嘘や誇張、ちいさな悪意をあざとく隠して、どんどん流れていく。

私はもう一度、言葉を信じたいと思う。

水が澄み、草が青む。
静かで満ち足りた風景が、人の心に宿ることを祈って。