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暮らしの中で、無意識に消費されていくものに目を向ける。サステナブル スタートアップを起業して「竹100%のトイレットペーパー」をつくった理由

2021年1月、私たちは竹100%でつくったトイレットペーパー「BambooRoll」を発売開始した。この「BambooRoll」を発売するに至った経緯や背景、思いをまとめた。


「土に還るのか、還らないのか」という問い

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東京から長野へ、娘とふたりでダンボール6箱程度で移住してから5年が経つ。私は下着は2セットしか持たないようないわゆるミニマリストだが、長野での暮らしは、まず最初にDIYで使うインパクトドライバーや丸ノコを買い揃えるといった具合で、ものが増えつつある。誰かにお金を払ってお願いするのではなく、自分でやることが増えたためだ。

代わりにということではないが、冷蔵庫を手放し、一時は洗濯機も手放した。八ヶ岳の麓では、大規模な太陽光発電施設をつくるために森林がどんどん伐採されていた。美しい風景が切り取られ、黒いパネルが並んでいるのを見て、暮らしに必要なエネルギーが原発から再生可能エネルギーに代替されたところで、これまでと同じように湯水のように電気を使い続けることで森林がなくなっていくのは、あまりに代償が大きいと思ったのだ。

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そして水が湧き出る、川でいう最上流の場所に暮らしていることから、生活排水にも気を遣うようになった。洗剤は重曹とクエン酸のみ。ごみの出し方にも意識が向くようになった。玄関脇でごみを14種類に分別し、家の中にごみ箱を置かないようにした。すると、思いのほか容器包装プラスチックが多いことに気づいた。スーパーで肉や魚が白いトレーに乗っていることにも疑問を感じた。白いトレーは本当に必要なのだろうか?

そして家じゅうのプラスチック類を、何かに置き換えることはできないか、洗いざらい検証してみた。購入した食材を瓶に詰め替えるなど、プラスチックが見えないようにすることはできる。でも、それで容器包装プラスチックが減るわけではない。そこで、できる限り自分でつくるようになっていった。ドレッシングのような調味料はもともと買わないが、他に化粧水やリップクリームなど。ごみが少ないことを嬉しいと思うようになった。

生ゴミの堆肥化もはじめた。ダンボールコンポストに生ゴミを投入し、土をかき混ぜる。白い菌が土を覆ったときは目を疑ったが、それが生ゴミを分解してくれる菌だと知ってから、植物に水をあげるような気持ちで生ゴミを投入するようになった。玉ねぎの皮は、時間が経っても残っている。いつもは犬たちが食べる大根の皮も、コンポストにもあげるという気持ちで犬二匹とコンポストで三等分にしてあげる。皮はどこへ行ってしまうんだろう。数日は土をかき混ぜると残っているが、いつの間にかなくなっていて、不思議な感覚になった。

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次第に、土に還るものが自分にとって正解なような気がしてきた。10歳になる娘からも、ごみを捨てるときに「これは土に還るの?還らないの?」と聞かれる。そうだ、その二択だ、と思った。土に還るのか、還らないのか。この簡単な問いを自分ごとにするのに、だいぶ時間がかかった。


プラスチックを代替する「竹」の存在

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できるだけごみが出ないようにしていても、やはりごみは出てしまう。特にプラスチックごみを減らしたいと思った。プラスチックって、どうしてこんなにどの商品にも使われるようになったんだろう。例えば歯ブラシも、プラスチックでできている。国内のドラックストアでは見かけないが、海外に目を向けてみると、竹製の歯ブラシがあった。化粧水をつけるコットンを手放すために入手した繰り返し使えるコットンも、竹からできている。

それで、竹という素材に興味が湧いた。調べてみると、いろいろな商品がある。リサイクルやリユースができないあらゆる日用品を、竹に代替することはできないだろうか。そしてある日、トイレットペーパーはリユースもリサイクルもできない日用品であることに気づいた。

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トイレットペーパーは、それまで、自分があまり目を向けていないものだった。意識が向いていなかったのは、すぐにトイレに流されて見えないものになっているからだと思った。生活必需品なのに、どうしてそのことに気づかなかったんだろう。


地球はいま、待ったなしの状態にある

同じ頃、世界では大規模な森林火災がいくつも起きていた。毎回、ニュースに触れては大変なことになっていると思っていたが、これまでは、ほんのわずかにどこか自分ごとではなかったのだと思う。でも、今回は違った。なぜ違ったのかは、自分でもよくわからないが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、世界中の見えない誰かに想いを馳せるようになったからだろうか。そして、森林火災のあったオレゴン州に、ずっと一緒に仕事をしてきた松原さんがいたことも大きかったと思う。「窓を閉めていても家の中が煙たい」と言う友人を心配することが、自分ごとにつながったのかもしれない。

そこからはもう、畳み掛けるように自分自身がアップデートしていった。しばらくして、自分の覚悟が決まった。せっかくレジ袋が有料になったのに、Amazonを見るとレジ袋が売れていて軒並み在庫がないことに、理不尽さというか、何が正解なのかわからない気持ち悪さを感じたことや、自分自身が実践者となって、そこで得た知見を記事で届けたところで、社会は変わらないと実感していたことも背景にはあった。あらゆる人が、自分自身の足元にある暮らしに目を向けて、地球に負荷をかけない循環する社会をつくるには、ビジネスを手段にするのがいいのではないだろうか。


BambooRollに、社会への想いを託す

そこで、竹100%でトイレットペーパーをつくり、販売することにした。ここまで無意識に消費されるものは、日用品において他にないと思ったからだ。多くの人は、スーパーやドラックストアに並んでいる、一番安いトイレットペーパーを購入するのだろうと思う。シングルかダブルか、その選択肢のみで、そのブランドがどのような思いで、どのように原材料をどこから入手し、製造工場はどのように環境に配慮されているか、そこまで想像して購入する人はほとんどいないだろうと思う。でも、その意識をひっくり返さなければ、世界の森林は、もうもたないんじゃないかと思うのだ。

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一般的なトイレットペーパーが、ほぼ漂白されていることも気になった。コーヒーフィルターは無漂白の商品がたくさん並んでいるのに、肌に触れるトイレットペーパーは漂白されているというのは、おかしいのではないか。そこで、「BambooRoll」は無漂白にすることにした。そして、製造を再生可能エネルギー100%でまかなう工場と契約し、リサイクルできるダンボールにそのままトイレットペーパーを詰めること、ガムテープも紙を使うことで、届いてから使うまでにプラスチックごみが出ないように配慮した。

「BambooRoll」は、1箱に18ロールが入っている。家族4人なら、1ヶ月はもつ量だ。そして18ロールのうち2つは、誰かに贈ることができるよう紙で個装されている。「BambooRoll」を使ってみて、もしトイレットペーパーや日用品への価値観が変わったならば、それを誰かに伝えてみてほしい。ひとりひとりが暮らしの中に循環をつくることで、未来からの借り物を、地球に還す。私は、この「BambooRoll」を通して、新しい日常と循環をつくりたいと願っている。

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■ 竹でつくったトイレットペーパーの定期便サービス「BambooRoll」

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国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター。主なテーマは、暮らし、サステナブル、地域。三児の母。長野県諏訪郡へ移住し、八ヶ岳の麓でDIY的暮らしを始める。“小さく暮らす”をモットーに、賃貸トレーラーハウスにてミニマルライフを実践中。