マガジンのカバー画像

遠藤良二の短編小説集

77
短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
運営しているクリエイター

記事一覧

【短編小説】突然の死

【短編小説】突然の死

#死 #突然  #

 僕の友達が十階建てのビルから飛び降りた。僕はその場を見ていた。衝撃的な出来事でとてつもなく驚いた。即死だ。それはそうだろう。なんせ、十階から落ちたのだから。自分から飛び降りたように見えた。彼に何があったのだろう。
 彼の名前は立川潤貴、十七歳。僕も同じだ。高校二年生。僕の名前は川上春樹という。
 立川は親友だと思っていたけれど、そう思っていたのは僕だけだったのか。はっきりとし

もっとみる
僕らの今後の行く末

僕らの今後の行く末

 僕は付き合って八年になる彼女がいる。でも、だんだん飽きてきた。性行為にしても、日常の会話にしても。
 僕の名前は早山幹人という。三十歳。
 職業は障がい者のためのヘルパーをしている。勤務時間は九時~十八時まで。一軒につき二時間で掃除、洗濯、食事を作らなければならない。激務だ。
 彼女は多田優実といい、三十五歳。五つ年上だ。優美は子どもを欲しがっている。でも、僕は子どもが嫌いなので反対している。だ

もっとみる
一目惚れ

一目惚れ

 最近僕には気になる女性がいる。どこで出逢ったかというと、僕が勤務するスーパーマーケット。そこで今年の四月に新しく入社してきた安藤杏、という名の二十二歳の後輩。因みに今は十一月。
 髪は縛ってあるけれど、黒髪のポニーテール。目は二重で鼻筋がスーッと通っている。唇は小さくぷっくらしている。痩せ型で、出るところは出ていて、しまっているところはしまっている。身長は百六十センチくらいかな。あまりにも可愛く

もっとみる
僕と彼女の関係性

僕と彼女の関係性

 僕は仕事を転々としている。スーパーマーケットやコンビニ、工場の工員、障がい者のヘルパー、土木作業員、荷物の配達など、全て人間関係の不和と言っても過言ではない。
 僕の名前は田原水太郎、二十九歳。今は大学にいこうと考えており、看護師になるため勉強している。父親には反対された。
「どうせすぐ辞めるんだから、普通に就職しろ」
 と言われてしまった。何ていう言い草。言い返してはいないけれど、正直ムカつい

もっとみる
気持ちの確認

気持ちの確認

 世の中、金が全てだ! と俺は思う。金が無いと何も欲しい物が買えないし、生活もできない。

 俺の名前は、横井拓、26歳。無職だ。交際中の彼女のひも状態。

 こんな俺でも捨てないで付き合い続けてくれる。俺に惚れているからニートでも続いているんだろう。

 それに、性交の相性も良いと思う。週に2回は体を交えている。彼女は、
金山美玖という名前で24歳。職業はソープ嬢。手っ取り早く金を得る為には風俗

もっとみる
【短編小説】家族が幸せなら、僕も幸せ

【短編小説】家族が幸せなら、僕も幸せ

 今日は僕の誕生日、10月20日、24歳になる。僕には彼女がいて、
山崎香織という。25歳。

 香織からは誕生日プレゼントとしてセーターをもらう。買ったものだけれど。彼女が僕のためにセーターを編もうとしていたので止めた。重いからやめてほしいと。

 香織は不服そうな顔をしていたが、素直にわかった、と言いやめてくれた。

 彼女のいいところは素直なところ。僕は外見がかわいいに越したことはないが、そ

もっとみる
結婚願望

結婚願望

 今は8月で真夏。太陽の日射しが強い。俺の職業は土木作業員。半袖の作業着だから、直射日光で黒く腕が焼けている。

 俺は、多田光一といい、35歳。彼女はいない。欲しい気持ちは強いけれど、なかなか出逢いがない。

 北海道に住んでいる俺は引っ越そうか迷っている。もし、引っ越すなら、札幌市だ。住むなら都会の中央区がいいな。

 家賃はきっと高いだろう。それ相応の仕事をしないと生活が成り立たない。
 

もっとみる
【短編小説】俺は負けない

【短編小説】俺は負けない

#短編小説 #一次創作 #ヒューマンドラマ #俺は負けない

 ここは北海道の田舎町。若い俺はやる事がない。あるとしたら、性行為くらい。彼女はいないので、街中でナンパした女とやっている。女の方から求めてくる場合もある。俺の名前は、下川龍太郎、21歳。茶髪のオールバック。鍛えているので筋肉が隆々としている。身長は高め。

ムラムラしてきたので、ナンパした女に電話をした。
「もしもし、邦子?」
『うん

もっとみる
【短編小説】家族の不幸の果てに

【短編小説】家族の不幸の果てに

 今日は祖父が亡くなった8月7日、北海道では七夕だ。僕は祖父のことが大好きだった。死因は自死だ。祖父は足が痛くて歩くのもやっと。7回目の手術がある。だが、手術当日、祖父は家からいなくなっていた。どこに行ったのだろう。祖父は父の親。地元の親戚や近所の知り合いに連絡してもいなかった。仕方がないので警察署に行き、捜索願をだした。
 そして数日後、僕のスマホに警察署から電話がかかってきた。でも僕は仕事中で

もっとみる
【短編小説】妻と愛人

【短編小説】妻と愛人

#短編小説 #一次創作 #妻と愛人

 俺は35歳で山国雄一という。奥さんは9つ年下の山国達子、26歳。結婚6年目。今日は3月3日、ひな祭りの日で、結婚記念日。子どもは1人いて3歳の女の子で年少さん。幼稚園に通っている。達子はとても娘の凛を可愛がっている。でも、俺は子どもが嫌いだ。だから、自分の子どもでも可愛いとは思えない。このことは達子には言っていないけれど。できちゃった婚だから責任をとるために

もっとみる
家族の事情

家族の事情

#短編小説 #一次創作 #家族 #乳がん

 僕の家族は6人。両親、祖父母、妹、僕。端から見ると幸せな家族に見えるらしい。でも、実際はそうでもないのだ。父は心臓の病気を抱えている。心房細動という病名らしい。2ヶ月に1回、受診している。母は副鼻腔炎といういわゆる蓄膿症という鼻の病気。祖父は肺炎でこの前まで入院していた。祖母は糖尿病でインスリン注射をしている。僕は心の病を患っている。妹は乳がんで手術す

もっとみる
夢の邪魔をする病

夢の邪魔をする病

#短編小説 #一次創作 #夢 #病

 僕には夢がある。それは、小説家になって、印税生活をすること。別に楽をして生活をしたいわけじゃない。決して怠けているわけでもない。ただ、単に好きなことをして、それを仕事にし たいだけだ。

 毎年、出版社に小説を応募しているがなかなか上手くいかない。どうしたら、選考に残れるのだろう。上には上がいる、ということはわかっている。言われるまでもない。

 小説を書き

もっとみる
僕達の事情

僕達の事情

#いじめ #脳梗塞 #じいちゃん #ばあちゃん

 僕は苛めにあっている。お父さんに話すと、そんな奴らに負けるな! と応援してくれる。
僕としてはお父さんに先生と話し合って欲しいと思っている。そのことはまだ伝えていない。お父さん、先生と話し合ってくれるかなぁ。
 ちなみにお母さんは僕が小さい頃、離婚したらしい。僕は今、小学校6年生で最近、離婚したという話しを聞いた。それまでは、病気で遠くの病院に入

もっとみる
強気な俺

強気な俺

#短編小説 #一次創作 #強気な俺

さっき、俺の親父が遺体となって発見された。死因は首吊り自殺。なぜ、そのような行為に及んだのか。貧乏生活に嫌気がさしたか。でも、それなら親父ばかりじゃない。俺やお袋、妹だって同じ思いをしているはずだ。一人だけ逃げたのか。卑怯だぞ、親父! 苦しいのは家族みんな一緒だぞ! でも、そんなことを言っても既に他界した親父には伝わらない。自殺した現場は物置だった。

 俺は

もっとみる